概要
鉄血のオルフェンズの世界観において、二束三文の値段で人身売買される孤児たちのことを指す言葉。
現実世界で言われる誘拐奴隷等の人身売買被害者たちの俗称である。
その呼び名は「宇宙で集めたくず鉄のような値段で取引される存在」ということに由来し、別に「人間のクズ」という訳ではない。
企業や宇宙海賊などの所有物としての登録書があり、そこから逃れるには金で自身を買い戻すか、登録書を自分で手に入れるしかないが、現実的には後述の理由もあって相当困難である。
供給源
ヒューマンデブリとなる孤児の事情は様々だが、貧乏コロニーや火星のような地域で親を失った子が貧困と治安の悪化で身寄りもなく浮浪児となったり、海賊の襲撃を受けた民間宇宙船に乗っていた子供達がそのまま誘拐され奴隷となるケースも存在する。
海賊や民兵組織に所有された者の大半は戦闘において使い捨てにされ、強制的に阿頼耶識システムの手術を受けさせられた上、苦痛に耐え切れずに死んだり、重度の障害を負うものもおり、そういった阿頼耶識施術に失敗した者は、廃棄物扱いされ、人知れず死んでしまうということが多い。
運良く阿頼耶識が定着した者もMSによる戦闘に駆り出され、少年兵として使われることとなり、「宇宙ネズミ」と蔑まれている。
ID
社会的には戸籍(ID)が抹消されており、死んだも同然の存在で、教育もまともに受けられず、読み書きもできない者が多く、阿頼耶識を埋め込まれるのはそのせいもある。(阿頼耶識は機体とパイロットを直結させるため、識字能力が無くても使用できるが故)
尤も、最終話でID改ざんが通常は不可能と言われてしまいどうやって戸籍=IDが抹消という改変がなされたのか、何故広まっているのかの説明が付かなくなってしまった。(戸籍に於いて死亡と推定死亡、行方不明は区別されるためであるため)
待遇
扱いの程度は所有される組織によっては「若干マシ」程度の場合もある(ブルワーズがスティック状フード1本だったのに対し、CGSはヒューマンデブリでない未成年従業員と同じスープ状の食事)が、総じて食事も粗末なものを与えられ大人の暴力のはけ口になるのは共通している。
教養も、先の見通しもないまま酷使される子供達の精神は磨耗していき、親も殺されていたり行方不明で帰る場所もなく投降してもまともな扱いなど受けられない(或いはそう信じ込まされている)ことから卑屈で後ろ向きな思考になってしまう者も少なくない。
戦場に出されれば自らを守ることを殆ど考えず、阿頼耶識による不規則な動きを駆使し文字通り死ぬまで戦う為、ギャラルホルンなどの正規軍にとっては厄介な存在であると言える。
また、海賊に所有された子供達もそのような戦い方をする為、これによる被害でまた孤児が増え、ヒューマンデブリになる者が増加するという悪循環となっている。
これは現実の少年兵でも生じている問題である。
鉄華団の前身であるCGSでは見分けを付ける為にヒューマンデブリ出身者のジャケットには赤線を入れたジャケットが支給されており、他の海賊組織でもパイロットスーツに赤線を入れるなどして区別されている。
鉄華団との旅の道中で彼らの実情を目の当たりにしたクーデリア・藍那・バーンスタインは、火星帰還後に孤児の福祉や教育に自社で取り組み始め、孤児達がヒューマンデブリとならないようにする方法を模索し始める。
ただし、孤児院を幾ら作ったところで元を断っている訳ではなく焼石に水であり海賊による誘拐奴隷・貧困からの人身売買をどうにかしなければ根本的な解消とはならず対処療法の域を出ない。
終盤
マクギリス・ファリドの一連の騒動が終結した後、蒔苗東護ノ介の協力もあり廃止策が進められ、ラスタル・エリオンとクーデリア・藍那・バーンスタインを中心に禁止条約が締結された。
なお、ラスタル側にしてみれば「今後鉄華団のような『阿頼耶識システムを使用した反体制派武装集団』が現れるのを防ぐ」という実利的な意味合いもあった。