概要
西方諸国(オクシデンツ)内の国家の一つ。
クシェペルカ王国とはロカール連合諸国を挟んで向かい合うように位置している。
「世界の父」の後継を名乗り、西方統一の為に強大な軍事力でクシェペルカに侵攻。大西域戦争を引き起こした。
銅牙騎士団がフレメヴィーラ王国から強奪した技術で幻晶騎士を開発、量産しているが、盗用した技術以外にも源素浮揚器(エーテリックレビテータ)を使用した飛空船(レビテートシップ)、高濃度のエーテルの供給を行う源素供給器(エーテルサプライヤ)など独自の技術を持つ。
当初は技術的優位によって快進撃を進めていたが、銀鳳騎士団の協力を得たクシェペルカ王国の反抗の前に大敗を喫し、兵力を多く消耗したことで周辺諸国に逆に攻められ、滅亡こそしなかったが、国土を六割も失った。
アニメ版では自国の敗北が決定的となった事を知ったカルリトスが玉座から崩れ落ちる場面でジャロウデクサイドの描写が締め括られている。
当初は他の西方諸国と同じくフレメヴィーラ王国を「魔獣番」と呼んで蔑んでおり、テレスターレを盗んだのも「魔獣番には過ぎた兵器」だからという理由である。もっとも、西方諸国はフレメヴィーラ王国の尽力もあって師団級魔獣などの災害とは長年無縁だった事もあって平和ボケしており、対してフレメヴィーラ王国はベヘモスを始めとした脅威に晒されながら戦い続けており、双方の魔獣への認識が野犬と怪獣並み(師団級や旅団級に至ってはゴジラレベル)に相違がある。そのため、テレスターレ強奪とそのために魔獣を呼び込む禁法アイテムを使った事から、フレメヴィーラ王国上層部は「テレスターレ強奪犯は、自国への恩義を忘れた西方諸国のどこか」と目星をつけていた。
大西域戦争では、その認識と練度の違いが仇となった上、テレスターレ強奪事件で辛酸を嘗めさせられた経験からの新型・新機能を開発し、相手がテレスターレ強奪事件の下手人とわかって打倒ジャロウデクへの士気が上がった銀鳳騎士団の介入で、蹂躪されている。
当初は銀鳳騎士団を完全に舐めきっており、総大将であるクリストバルは部下からの報告を受けても鬼神の力を予想出来ず(ただし、その鬼神が前代未聞の空飛ぶ幻晶騎士だったため信じられなくても無理はなく、報告したドロテオも「信じられなくなったら首を跳ねても構いません」と前置きしている)、自身の力量と飛空船の力を過信した事もあって自ら討伐に赴いたが、銀凰騎士団が開発した対空装備によって予想外の大打撃を受け、出撃した配下の黒鎧騎士団は総崩れとなり、クリストバル自身も鬼神に完全敗北。
鬼神の騎操士から事実上の無条件降伏と王族機引渡しを要求された事で錯乱・自暴自棄に陥って自害し、戦死する。
総大将を失い、一時は大きく勢いを削がれたものの、それでも参謀であるドロテオの尽力、グスターボやケルヒルト(アニメ版ではクリストバルより先に戦死している)といった凄腕の騎操士を有していた事や、そして軍隊全体がクリストバルの仇討ちのために本気になった事もあって瓦解には至らず、
オラシオが開発した飛竜戦艦の圧倒的性能によって巻き返し、大西域戦争終盤からは銀鳳騎士団相手に互角に戦えるほどになった。
しかしこの頃には既に主力量産機であるティラントーの抱える欠点である整備性の燃費の悪さが如実に表れ始め、更にはクシェペルカ側もティラントーに対抗可能な新型の量産に成功。
鬼神の存在もあって戦況そのものは覆る事はなかった。
そして、最終決戦となる四方楯要塞防衛戦において飛竜戦艦が鬼神に敗れ大破。更には第一皇女カタリーナがクシェペルカに囚われ、ドロテオやケルヒルトといった主力の騎士も軒並み戦死した事で敗戦が決定的となってしまった。
web版では第一皇子カルリトスは敗戦の責任を取らされ追放処分となり、
元々病床に伏していた国王バルメドロも敗戦による心労によって寿命を縮め、敗戦〜周辺国との抗争の間に逝去している。
書籍版以降ではカットされているため、彼ら王族の顛末は不明。
数年後の浮遊大陸騒乱編のころには見る影もないほどに落ちぶれており、グスターボたち精鋭部隊が新発見された浮遊大陸まで源素晶石(エーテライト)を採取、場合によっては採取に来た他の勢力を襲撃、略奪するという「出稼ぎ」に行かなければならないありさまとなっている。
ただし、浮遊大陸での騒動の解決にエル達が奔走されている間に(流石に放っておくと自国も大変なことになるのでチョットだけ助太刀したが)、ちゃっかり大量の源素晶石を入手しており、書籍版11巻によるとにわかな好景気に沸いているとか。少なくとも、経済面では復興のメドは立ちつつあるようだ。
ちなみにアニメでは全体的に禍々しいデザインになっているが、これは国王の趣味による物という裏設定が存在する。エルやオラシオもそうだが、この世界の趣味人にまともな奴はいないのだろうか‥‥。
(寧ろデザインがアレな事を考えるとある意味エル達より酷い)
主要人物
設定資料兼備忘録によると、人物名はスペイン系を元に命名されている。
(これはクシェペルカも同様)
王族
ジャロウデク王国国王。
大西域戦争開始時点で病床に伏しており、政治・軍事全てを息子達に任せている。
人物像については描写が殆ど無いが、web版でのテレスターレ視察や漫画版のケルヒルトの過去から専制的国王だった様子。
web版では敗戦の心労から寿命を縮め、戦争後半中に逝去した事が語られている。
ジャロウデク第一王子。年齢は設定資料兼備忘録によれば30くらいとの事。
父・バルドメロに代わり周辺諸国に宣戦布告し、大西域戦争の発端となる。
弟妹とは違い戦争には直接参加せず、本国を取り仕切る。
web版では敗戦と国土喪失の責任を問われ、王位を継承することなく諸侯の手により放逐された。
ジャロウデク第一王女。書籍版から追加されたキャラで、web版には登場しない。年齢は不明だが、カルリトスとクリストバルの年齢から推察すると20代後半〜30前後と思われる。
クシェペルカ王国侵攻戦前期の占領地統治最高指揮者。
(クリストバル戦死後は現地指揮官も兼任)
冷静かつ冷徹な振る舞いだが、クリストバルが戦死した際は涙を流すなど、肉親への情を垣間見せる一面もある。
また、任務に失敗したドロテオに暴行を振るうクリストバルを諌めるなど、王族の中では比較的穏健派。
飛竜戦艦が撃沈し、敗戦が決定的となった際は無抵抗のまま降伏し、クシェペルカに囚われる。その後は不明。
ジャロウデク第二王子。
クシェペルカ王国侵攻前期の現地指揮官兼ジャロウデク軍総大将。年齢は20代後半。
兄や姉とは違い軍事専門で、好戦的かつ苛烈な性格。
直情的な面が目立つが、上述のドロテオの(当時の常識では)信じられない報告を聞いてもそれを聞き入れたり、敗色濃厚となって激昂しつつも冷静さを失わないなど、指揮官としての腕は確か。
騎操士としての腕も高いが、作中最強の騎操士の駆る鬼神の前では手も足も出ず、最期は自ら死を選ぶ形で戦死した。
曲がりなりも人望はあり、彼の死はカタリーナとドロテオに強いショックを与え、涙を流す部下もいた程。
アニメ版では苛烈な面ばかりが強調され、上記の優秀さや度量を示すシーンが殆ど端折られてしまい、エルとのやりとりもあって小物な印象が強くなってしまっている。
ジャロウデク軍
ジャロウデク軍参謀。ジャロウデク内でも五指に入る実力者とされている。年齢は40代。
アニメ版では事実上のラスボスとなる。
クリストバルの指南役を務めていた事もあり、彼に対する忠誠心は誰よりも強い。
クリストバル戦死後は鬼神への復讐を誓い、飛竜戦艦の艦長を務めるも、最終決戦において敗北。
最後の足掻きで特攻を仕掛けるもののキッドの駆るツェンドリンブルの突撃によって討ち取られ、戦死した。
ドロテオの養子(戦友の遺児)で剣に強い拘りを持った凄腕の騎操士。年齢は20歳ほど。
ジャロウデク軍主力が軒並み戦死する中で唯一生き残り、周辺諸国からの侵攻を防ぎ切った救国の英雄。
……といえば聞こえはいいが、「剣は強い!強いもんいっぱい持ってるやつが一番強い!当り前じゃないか!!」と豪語し、愛機の全身に無数の剣を張り付けるほどの剣バカ。
しかしながらその実力は本物であり、単純な操縦技術のみで言えばエルにも匹敵する。
間者集団である銅牙騎士団の団長。年齢は30代。
フレメヴィーラから開発中だったテレスターレを強奪し、開戦の一因を作った人物。
書籍版とアニメ版でタイミングは違うが、いずれも最期はカザドシュ事変から続く因縁の相手に討ち取られている。
ジャロウデク王国開発工房長。
一族の研究成果である純エーテル理論を基に飛空船を開発した張本人でエルのライバル的存在。
ジャロウデクに対する忠誠心は薄く、敗戦後はジャロウデクを離脱している。
スーパーロボット大戦30では?
今回ナイツ&マジックに参戦したスーパーロボット大戦30において登場。但し本作最大の違いは同じ参戦するファンタジーロボット作品『魔法騎士レイアースのザガートや2部以降の国家と結託して『異世界軍』と名乗っている。そのためか原典で行っていたエレオノーラ奪還に失敗、やむなくノーラは潜伏に徹して調査を行っている(そのためかエレオノーラ救出とノーラとの対面はジャロウデク壊滅後になる)。そして異世界連合は遂に並行世界の侵略を目論み並行世界へ移動してくる。レイアースのモンスターだけにとどまらず、調査を行っていた本作で主力兵器である『幻晶騎士』の技術は通常技術(主力量産機であるジェガンやイチナナ式)より高く長く対応に困難を極め長い間敵対する。その後、ドライクロイツの活躍でクリストバルやドロテオは戦死、他の者は全員降伏してジャロウデクは事実上壊滅するが、この背後に真の黒幕が関与することになる。
ティラントーを始めとした幻晶騎士には「ENが一定量以上の時、相手の射撃武器による被ダメージを減らす」という特性があり、これにより地球側の兵器を相手に終盤まで優位に立っていた。
なお、オラシオの発言によると、総大将であるクリストバルは(少なくとも中盤以降から確実に)増長・暴走しており、本国からの指示を無視して侵略を推し進めていたらしく、オラシオとケルヒルトはそれを疑問に思う部分があった模様。
(ただし、オラシオは自分の欲求のため、ケルヒルトは自身の出世のため、暴走に気付きつつもそれに便乗していた)
本人は気付いていないが、実質的に黒幕の操り人形でしかなかった。
なお、本作ではナイツマ原作再現が(最終決戦を除いて)殆ど行われず、グスターボは会話の話題に上がっただけで参戦せず、ケルヒルトも他のジャロウデク兵と同じくティラントーに乗って戦っている(その代わり、銀鳳騎士団もエドガーやディートリヒといった先輩勢が未参戦)。また、原作ではイカルガに手も足も出ずに討たれたクリストバルが終盤まで生存しており、飛竜戦艦もクリストバルが生存した状態で登場している。
また、最終決戦においてケルヒルトを撃墜せずにクリストバルと飛竜戦艦を撃墜してクリアすると、ケルヒルトが撤退して生存する。
(とはいえ、彼女の視点で見れば自国が敗戦した上、自身は開戦の一端を担った戦犯とも捉えられる可能性がある事を考えると、生存したと言っても手放しに安心は出来ないだろうが・・・)
関連タグ
アマルガム 亡国機業:ライトノベル原作ロボットアニメ(後者は厳密にはパワードスーツ)に登場する敵勢力、これらはいわゆる死の商人である、