電通
でんつう
もしかして→電気通信大学(電通大)
※広告代理店の「電通」と直接の関係はない。
概要
日本最大、世界5位の広告代理店。売上高は日本2位の博報堂の4倍近い。通信社「日本電報通信社」をルーツに持ち、国策企業であった「同盟通信社」(同盟)、「満州国通信社」(国通)の流れを汲み、広告代理店の中でも特に政府との関わりが強い。経済産業省の子会社である。
本社は東京の汐留。CMやテレビ番組の制作、イベントのプロデュースなどを行っている。社員には芸能人や政治家、マスコミ関係者など有名人の子女が多いことから、人呼んでコネ通。
電通の実態としては単なる広告代理業ではなく、あらゆる業務の企画立案企業である。多くのマスコミ(テレビ局など)や大企業のキャンペーンに関わり、ライバル企業の双方と契約を交わしていることもある(他国では信義に反する行為とみなされる)。また、国策企業としての流れから特に自民党との関係が深く、東京オリンピックやクールジャパンなど国策キャンペーンにも電通が大きな役割を果たした。このため「日本経済の黒幕」「日本の政治は電通が動かしている」と言われることも。
近年は行政改革(公務員の削減や外郭団体のスリム化)により、政府や地方公共団体の仕事を民間企業に外部委託する流れが進んだため、電通はパソナグループなどとともに元請けを担うことが増え、「仕事を下請けに丸投げして金だけ抜いている」と言われたり、行政との癒着が問題視されたりする。
来歴
1901年、光永星郎が「日本広告」を設立。
1907年、光永が設立した通信社と合併し、「日本電報通信社」となる。
1936年、国策によりライバル通信社「新聞聯合社」と「電通」の通信業務を統合した「同盟通信社」(第二次世界大戦後解体され「共同通信社」と「時事通信社」に分割される)が創立され、「電通」は広告代理店専業となる。
1947年、上田碩三が公職追放され、吉田秀雄が第4代社長に就任。軍隊的な社則「鬼十則」を作る。
2001年、東証一部に上場。
2012年、世界8位の広告代理店「Aegis」(イギリス)を買収し、ロンドンに「電通イージス・ネットワーク」を設立。電通グループの売上の半分以上を稼ぎ出す企業となる。
2020年、「電通グループ」に社名変更し、持株会社体制へ移行。
不祥事
過労死問題
広告代理店業界全般にありがちな問題ではあるが、凄まじい時間数の残業で知られている。
1991年には24歳の男性社員が自殺し、遺族が民事訴訟を起こした。
2015年12月25日には入社初年の女性社員が自殺。
この女性社員の母親が労働問題の腕利き弁護士とタッグを組み問題を広く訴えた。
また自殺した女性本人もTwitterで追いつめられて行く心理状況が露になった書き込みを残していた。その中には「仕事のミスを庇ってもらう代わりに見返りが避けられない」といったセクハラ常態化を窺わせる記述や「睡眠不足が慢性化する状況まで働かせながら、「化粧ができていない」「目が充血している」ことに叱責される」といったパワハラ被害、残業時間記録の改竄が常態化していたことが明らかになったことで大きな反響を起こした。
この事件を受け、厚生労働省は2016年11月に長時間の違法労働の疑いで支社も含めた電通社屋を捜索。
電通側は「22時には退館、消灯」するとしたが、あっさりと「今度は早朝から出社させて過重労働は変わっていない」ことが近隣住民と思われる人物のtwitterで暴露されている。
2020年6月中間連結決算では新型コロナウイルス感染拡大の影響で売り上げが激減したが、リモートワークで残業が減り、純損益157億円と、2年ぶりの黒字となった。