概要
インドゾウとは、アジアゾウの一種。
亜種を含めれば、野生ではインドやインドシナ半島(東南アジアの大陸部)、中国の雲南省、スリランカやボルネオ、スマトラなどに棲息するが、人間の影響で絶滅した地域を含めれば中国北部やカスピ海の流水域まで分布していた。とくに、カスピ海方面の亜種はとくに巨大だった。家畜としても飼育されている。アフリカゾウと比べて小柄で、耳が小さく四角い。性質はおとなしく、労役に用いることができるが、別にアフリカゾウが特に狂暴だとか、アジアゾウがその逆だということではない。一部のアジアゾウやアフリカゾウが凶暴化した原因に人間がいるのも事実。
他の大型動物同様、人間の影響で全体的に小型化しているが、「王象」こと Raja Gaj という、肩高3.5mの規格外に巨大で、頭がマンモスやナウマンゾウのように先祖還りしたかのごとく張り出していた個体が少し前まで存命していた。
アフリカゾウより小型でも5tはある体格で成獣個体に天敵らしい天敵は居ないが、アフリカゾウに比べると大人しいと言われ、トラの奇襲でパニックに陥ったところを殺されてしまうことがある。なお、跳躍力に優れ木登りも得意なトラはインドゾウの弱点である背中に飛び乗り、一方的に攻撃を加えることが可能なため、時々オスの成体もトラに殺される。ゾウにとって唯一の恐ろしい相手がトラである。
主な亜種
- インドゾウ(メイン画像)
一般的な種で、インドやタイなどに棲息する。体重2~6トン。上野動物園や市原ぞうの国など、日本国内の動物園で飼育される多くの個体が該当する。
以前は地域によってインドゾウ、マレーゾウ、タイゾウと分けられていたが、現在では大陸産のアジアゾウは全て同一亜種と判明した為、インドゾウに統合された。
- ボルネオゾウ
その名の通りボルネオ島の固有種。本土の近縁種から約30万年前に分化し、島での森林生活に適応するため小型化した。国内にいる個体は広島県の福山市立動物園のふくのみ。
農地開発による森林伐採や作物を荒らす害獣として駆除され、生息数は2000頭に満たない。
- スマトラゾウ
その名の通りスマトラ島の固有種。体重2~4トン程で、他の亜種と違い肋骨が20対(他の亜種は19対)。体色は亜種内では明色。
ボルネオゾウと同様、農地開発による森林伐採や作物を荒らす害獣として駆除され、現在の生息数は2400~2800頭ほど。
- セイロンゾウ
その名の通りスリランカ(セイロン)の固有種で、近年ではスリランカゾウとも呼ばれる。体重2~5.5トンで、耳介はもっとも大型。体色は亜種内では暗色。
近年日本国内の動物園に導入される個体の大半を占めており、愛知県の東山動植物園や多摩動物公園などで飼育されている。