概要
ローマ字(ローマン文字)とは、ラテン語を表音表記するアルファベットの一種であり、正式にはラテン文字という。ラテン語に由来するイタリア語、フランス語、スペイン語などだけでなく、英語をはじめ、多くの非ラテン系ヨーロッパ系言語の表記にも採用され、現代ではその他の言語の表記(コンピューター言語を含む)にも広く使われている。
日本語をラテン文字で表記する時にもこう呼ぶ。
特に日本には難読地名が多いため、道路標識等でローマ字併記があると日本人にも恩恵があったりする。
文字種の変遷について
現代の英語で用いられるアルファベットは26文字であるが、ラテン語で用いられていた最初期のアルファベットは
A B C D E F H I K L M N O P Q R S T V
の19文字しかなかった。その後、紀元前3世紀頃までには
- 元々Cは/k/と/g/の2つの音を表していたが、不便なので早いうちに/g/の音を表す専用の文字としてGを作った
- ギリシャ語からの外来語を取り入れる関係上、ギリシャ文字のΞ・Υ・Ζに対応させる形でX・Y・Zの3文字を追加導入した
と、4字が増加、ローマ帝国の時代には以上23文字が使われていたという。それ以外の文字については西ローマ帝国崩壊から遥か後に成立したものである。
- 元来Iは/i/と/j/、Vは/u/と/w/と、それぞれ母音と子音それぞれの発音を表していたが、15世紀頃からIから子音/j/専用の文字としてJが、Vから母音/u/専用の文字としてUがそれぞれ分離した。
- Wに関してはラテン語ではなくそもそも英語発祥の文字である。11世紀にそれまでルーン文字を使っていたアングロサクソン人が新たにラテン文字を使い始めた際、Vが母音/u/および子音/v/・/w/の3つの発音を表していた。当初は子音/w/の発音を表すのに元々使っていたルーン文字からǷ(ウィン)を持ってきて表記していたもののPと似ていて紛らわしく、代わりにVVと書くようになり、いつしか合字Wが成立するようになった。
日本語のローマ字
日本語を表記する時に使われうるローマ字は以下の通り。
訓令式
A E I O U K G S Z T D N H B P M Y R W (19文字)
ヘボン式
A E I O U K G S Z J T D N H F B P M Y R W (21文字)
「ピクシブ」の綴りは‘pixiv’だが、ローマ字に忠実に転写するなら‘pikusibu’か‘pikushibu’になる。定められた書き方が数パターンあり、シをsiと書くものを日本式、shiと書くものをヘボン式という。
日本においてはPCで文章を書く時に多く使われるが、実際にローマ字で日本語を書くことは基本的になく、自分の名前など単語の読み方を日本語話者以外の人々に提示するときくらいしか、使うことがない。
敗戦後、GHQによって日本語をローマ字表記にするよう政策が構想されていたことがあり、段階的な漢字の廃止と共に学校教育にも導入された。この政策は完遂されずに終わったが、学校教育に現在でもローマ字学習があるのはその名残である。昭和末期には無用の長物化していたが、平成に入りPC操作に必須レベルの知識になった。
ふつう日本語を日本語以外の話者へ向けて正確に近い形で音写する場合、訓令式ではなくヘボン式が採用される。一方訓令式は必要字数が少ないことからPCにおいて入力する際に使うことが多い。どちらも日本語入力環境で使いにくいマクロンやサーカムフレックスの利用を前提としていたため、今ではルールに忠実な表記はあまりされてない状況。
また、SNSでは作品名・番組名のハッシュタグをあえて訓令式のローマ字の方にしている場合があり、これはヘボン式では無関係な海外スパムが混ざることが多いためである。
関連タグ
w:このアルファベット1文字で「笑」を表すのはローマ字由来である(「warai」のイニシャル)。