概要
アニメ・ゲームなどでも使用自体を避けるか、別のマークに置き換わっている。
代表的な例が鉄十字(✠)である。
ちなみに現在ドイツでは公の場で出すことを禁止されており、展示又は使用すると民衆扇動罪で逮捕される。
鉤の向きを逆にした卍のようなマークのため、非ナチ団体が、誤解を避けて卍マークの使用を自主的に制限する例もある。
由来
元はトロイ文明の遺跡の碑文に用いられていた文字であり、インド・ヨーロッパ語族でも文明にかかわらず広く伝播していた文字で、この記号そのものに忌避すべき意味は特にない。現在でもヒンドゥー教においてはシンボルマークであり、フィンランドでもメダルや装飾品の飾り文字として目立たないようにあしらわれていたりする。
ナチスがこれをシンボルとしたのは、ハインリヒ・シュリーマンがこの記号がインド・ヨーロッパ語族における宗教的シンボルとみなし、それの頂点に属するアーリア人たるドイツ帝国のシンボルとして相応しいとしたからである。
ただこの記号自体は第一次世界大戦後にドイツ国内で結成された反革命義勇軍・エアハルト海兵旅団のシンボルとして起用されたことがあり、そのほかにも歴史上の各所で使用されていた。
……と言っても前述の通り、ナチスの大規模な人道的犯罪にこのマークが加担していたことは事実であり、現代社会においてこのマークをナチスを抜きにして語ることはほぼ不可能である。
公の場でこのマークを持ち出すようなことはやめるのが賢明である。特にヨーロッパにおいては取り返しのつかない事態に発展する恐れがある。冒頭に書かれてある通り、ドイツではこのマークを提示するだけで犯罪なのだ。ただし「歴史上の資料」として解説を添える形での使用や、マークを燃やす・ゴミ箱に突っ込む・×印を付けるなどそのシンボルが意味するものに対して否定的な評価を下していることが明らかな場合の使用は容認されている。
ドイツ以外ではナチスから直接の侵略を受けたフランスやポーランド、ハンガリー、チェコ、ヒトラーの出身国であるオーストリア、ユダヤ人国家であるイスラエル、そして敗戦後にナチスの幹部が相次いで亡命したブラジルでもマークの使用が規制されている。
そのため欧州で発売されているプラモデルのデカールなどではそのままハーケンクロイツを印刷する訳にもいかないので、分解して印刷しユーザーの手で組み合わせるようになっているなど回りくどい小細工を施して流通させているものも多い。
パロディ
チャップリンの映画『独裁者』では劇中でナチスをモデルにした「トメニア」のマークとして、楕円を縦にして「×」を二つ入れた『ダブル・クロス』なるものが登場する。
このダブル・クロスは「裏切り」「欺き」の意味を持っているという。