概要
1968年8月11日放送。
とある下町の円盤騒動をえかく。
STORY
星空が輝く夜の下町。アマチュア天文家のフクシン三郎青年は、隣に住むゲンさんの嫌がらせ騒音がおさまった頃、
自宅の物干し台から望遠鏡で天体観測を楽しんでいた。
その寝不足が原因で、昼間の街工場の仕事に集中できず社長に怒られる始末。
自転車で仕事から帰る途中、川原に寝転がって空を見上げるフクシンは、お弁当箱を拾ってくれた少年と出会う。
帰り道、その少年に自分の愚痴をこぼし、自分の持つ夢を語った。
その日の夜。いつものように望遠鏡で星を眺めていると、そこに写ったのは円盤群だった。
フクシンは慌ててゲンさんの家へ急行。ゲンさんの電話を借りようとするが、全く相手にされなかったためやむを得ず、公衆電話でウルトラ警備隊に通報した。
早速、ダンとソガはウルトラホーク1号で調査するが、全然異常はなかった。ただ、ダンは星が多いことを不思議に思っていた。
翌日。団地の空き地で寝転がっていたフクシンは、野球をしていた不思議な少年と再び出会う。
「円盤見つけたことを知らせたけど、錯覚だった」とぼやくフクシンに
少年は、「東の空に、今日こそ円盤が見られるよ」と言って野球する友達の方へ戻った。
その後、シゲさんが経営する蕎麦屋の増田屋へ寄り道した後、昨日の件でご立腹のゲンさんの妨害騒音を無視して、望遠鏡を覗くと・・・。
再び円盤群を目撃。怒って乗り込んで来たゲンさんにも望遠鏡を覗かせ、再度ウルトラ警備隊に通報。
しかし、証拠に撮ったフィルムがあるにも関わらず、何の異常も観測されなかったため、ただの見間違いと判断されてしまった。
次の日。川原の道でダンプカーとすれ違い、自転車から転んでしまったフクシンは、またもや不思議な少年と出会った。
川原で座り込むフクシンは少年に、「星の世界へ住んでみたい」と話す。
その夢を聞いた少年は「きれいな星に連れてってあげる」と望遠鏡を売っている自分の家へ案内した。
野球中継のラジオが流れる中、フクシンが夢中になって望遠鏡を覗くとまたしても円盤群が!
さらに少年が「大きく見せてあげる」と押入れを開けると、中に入っていたテレビの画面にも円盤群が写っていた。
不思議な少年の正体は、ペガッサ星雲第68番ペロリンガ星からやってきた、地球侵略を企むサイケ宇宙人 ペロリンガ星人だった。
「君が見たものは正しかったのさ。ウルトラ警備隊や天文台が信用しなかったのは無理もない。
私達は円盤を星にカモフラージュしたんだからね。君の素晴らしい直感で円盤と見えたものも専門家には星としか見えない。
これで専門家を油断させるのが、私達の狙いさ。つまり、ウルトラ警備隊やウルトラセブンをね。
私たちはなるだけ穏やかに事を運びたいのさ。『狼が来たー!』幾度も言っているうちに誰も振り向きもしなくなる。
本当の狼は、その隙にやって来る!こんな地球の童話を私達も知っているよ」
そう言って ペロリンガ星人は唖然とするフクシンに黒い電話を差し出す。
「普通の地球の電話機さ。試してごらん。『私は今、宇宙人のペロリンガ星人と話をしている』と言って」
フクシンはウルトラ警備隊に三度電話を掛けるが、全く相手をされず呆然とした。
「ほうら、もう本当のことを信じちゃくれないし、本部の誰にも取り次いでもくれないだろう?
人間なんてそんな動物さ。専門家は常にアマチュアより正しいと思っているのさ。
そこを突けば、油断している隙に苦もなく地球へ大円盤群を着陸させられる。
ははっ、約束を果たしてあげよう。私は地球に飽き飽きした君を星へ連れていってあげるよ。
もう随分大勢の地球人を私は星へ連れていってあげたんだ。ほら、ある日突然蒸発していなくなった人達が、君の身の周りにもいるだろう?」
ペロリンガ星人の優しく魅力的な言葉に、思わず耳を傾けてしまうフクシンであった。
一方。地球防衛軍北東支部では、アンヌ隊員の分析により、星の写真がカモフラージュした円盤群であることが発覚。
さらにダンの報告で、先ほどの電話の録音テープにペロリンガ星人の声が混ざっていることもわかった。キリヤマ隊長は、ダンとソガに宇宙パトロール出動を命じた。
宇宙へ飛び立ったウルトラホーク1号に襲いかかるペロリンガ星侵略部隊。飛来するペロリンガ星人。
そこへ我らのウルトラセブンも駆けつけ、ペロリンガ星人と激しい空中戦を展開する。
ウルトラセブンとウルトラ警備隊の総攻撃により、サイケ宇宙人 ペロリンガ星人は爆発。侵略部隊も全滅した。
事件解決後。フクシンはウルトラ警備隊からウルトラ勲章を授かった。ゲンさん、シゲさんを始め近所の人々に賞賛されるのだが、残念そうな表情のフクシンは自宅の物干し台から夜空を見上げた。
そして、いつもと変わらない普通の生活に戻るのであった。
おまけ
ペロリンガ星人の声を担当したのは、ウルトラマン ウルトラセブン ミラーマン ジャンボーグAの
ペロリンガ星人が変身した不思議な少年役の高野浩幸氏は、東映特撮「超人バロム・1」
主人公の一人。白鳥健太郎を演じる。
『ウルトラマンタイガ』第6話「円盤が来ない」は、このエピソードの続編とも言える内容になっている。ただし、セブンやウルトラ警備隊によって倒されたはずのペロリンガ星人が生きている等、直接つながっていると考えると矛盾する点もある(過去には『マックス』においても似たようなエピソードがあった)。