応龍
おうりゅう
古代中国に伝承される幻獣の一種。
翼のある龍とされ、『四霊』に数えられる龍族の王とされる。
概要
古代中国の妖怪図鑑である『山海経』に記される幻獣。中国語ではインロン(Yinglong)と呼ぶ。
「応」は「黄」に通じ、すなわち黄河そのものを意味する。
伝説上における中国最初の皇帝・黄帝に仕え、黄帝に仇なす蚩尤との決戦では応援に駆け付け、嵐をおこして敵軍を蹴散らす活躍をしている。
しかし、この行為が殺人を犯したとして神獣としての責務を問われ、応龍はやむなく南方へ隠棲することとなった。このことが原因で、中国では南方以外で旱(ひでり)が多発するようになったと伝えられている。
また『述異記』には、「泥水で育った蝮(まむし)は五百年にして蛟(雨竜)となり、蛟は千年にして竜(成竜)となり、竜は五百年にして角竜(かくりゅう)となり、角竜は千年にして応龍になり、年老いた応龍は黄龍と呼ばれる」とある。
余談
東洋龍も西洋竜もどちらもルーツはギリシャ神話で(化け鯨・ケートスが東洋竜やマカラのデザインのルーツと推測されている)、東洋竜の究極体である応竜が翼を持つのも、ギリシャ神話への先祖帰りとも言えるだろうか。
ケートスのデザインはラクダのおかげで開通したシルクロード経て中国等に伝わって竜やマカラになり、鯨を竜王として崇める文化が古代中国等にあり、中国の竜の頭のデザインの由来はラクダであり(竜頭の語源は竜生九子の蒲牢でクジラを恐れる)、中国竜の最初期の姿は猪の頭を持つ竜であり、鯨と駱駝と麒麟と猪が分類学上の親戚なのも因果を感じる。ペルシャの十二支の辰が鯨や他の国では鰐なのも、ヨウスコウワニも中国の竜伝説の由来の一つとされており因果を感じる。
ちなみに、鯨類の故郷もギリシャ周辺のチテス海であり、現代のギリシャの国獣もイルカである。