概要
竜生九子(りゅうせいきゅうし)とは、中国の伝説上の生物で、竜が生んだ九匹の子、いわば竜のなりぞこないを指す。
それぞれ姿形も性格も異なっている。各々の性格に合わせた場所で各々の活躍を見せるが、親である竜になることはできなかったという。これを「竜生九子不成竜」と言う。
竜生九子という言葉は古くからあったが、生んだ子がどのようなものだったのかはずっと語られなかった。明の時代になりさまざまな書物に記載されるようになったが、記載されている書物によって名前・順序が異なる。
四凶まで混じっているため、まぎらわしい。
さらには麒麟、望天吼、螭首、貔貅も竜の子に含まれる場合があるらしい。
リスト
概要で述べたように、竜生九子の名前・順序などは書物によって異なる。ここでは『升庵外集』と『懐麓堂集』の内容について説明する。
『升庵外集』の説
- 贔屓(ひき、びし):形状は亀に似ている。重きを負うことを好む。
- 螭吻(ちふん):形状は獣に似ている。遠きを望むことを好む。
- 蒲牢(ほろう):形状は竜に似ている。吼えることを好む。竜頭の由来で、鯨を恐れるとされる。
- 狴犴(へいかん):形状は虎に似ている。力を好む。
- 饕餮(とうてつ):形状は獣に似ている。飲食を好む。
- 蚣蝮(虫八、虫夏、はか):形状は魚に似ている。水を好む。
- 睚眦(がいし、がいさい、やず):形状は竜に似ている。殺すことを好む。
- 狻猊(さんげい):形状は獅子に似ている。煙や火を好む。
- 椒図(椒圖、しょうず、じょくと):形状は貝や蛙に似ている。閉じることを好む。
『懐麓堂集』の説
- 囚牛(しゅうぎゅう):音楽を好む。
- 睚眦(がいし):殺すことを好む。
- 嘲風(ちょうほう):遠きを望むことを好む。
- 蒲牢(ほろう):吼えることを好む。
- 狻猊(さんげい):煙や火を好む。
- 霸上(はじょう)/覇下(はか):重きを負うことを好む。
- 狴犴(へいかん):悪人を裁くことを好む。
- 贔屓(ひき)/負屓(ふき):文章の読み書きを好む。
- 螭吻(ちふん)/鴟吻(しふん):遠きを望むことを好む。