概要
『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』の前番組として1971年に放送されていたという特撮番組。正式なタイトル表記は、スペースが入った『大権威 ガ・ダーン』。
『TAROMAN』の最終回のアイキャッチに登場していた謎のヒーローの正体である。
悪の帝国アンデパンダンから日本を守るために戦う。権威棒という棒が武器。
権威によって敵を倒すというテーマが子供たちに受け入れられず、僅か5話で打ち切りとなり『TAROMAN』にとってかわられたのだという(その最終回も、敵に洗脳されたガ・ダーンが仲間を惨殺し、最後にガ・ダーンが敗北し日本が滅亡したというテロップが流れて終了するという内容の打ち切りバッドエンドだったらしい)。
後に製作された『あつまれヒーロー!藤映テレビまんがまつり』では、タローマンの敵役として登場し共演を果たした。残念ながら映像は再発見されていないものの、スチール写真が1枚だけ残されている。
共演時の姿を見てガ・ダーンを再評価したファンも少なからずいるという。
『ガ・ダーン』本編では等身大ヒーローとして描かれていたようだが、『あつまれヒーロー!』のスチール写真を見る限り巨大化も可能な模様。
解説
以上のような説明とともに、2022年9月23日より「展覧会 岡本太郎」と併催された「タローマンまつり2号」にて当時のスーツが展示され、併せて最終回の末尾が上映された。
上記の短い解説と断片的に公開された映像のみしか資料がないため、どのような作品だったのかは判然としないが、権威を振りかざして戦うというそのコンセプトや、タローマンの敵役として登場したという設定を見る限り、正統派ヒーローというよりダークヒーローのような描かれ方をされていたのかもしれない(ただ、敵役になったのは最終回で洗脳された影響とも考えられる)。
撮影用のスーツは、奇獣と同様、キャラクター造形師のいぬいはじめ氏が手掛けている。
モデルについて
名前の由来は“画壇”と思われる。
岡本太郎はその奇抜な作風や思想故、当時の日本画壇からは快く思われておらず、一方の岡本も権威主義的な日本画壇に対して批判的な立場を取っていた。
番組の打ち切りとそれに伴う『TAROMAN』の放送開始という一連の流れは、「権威主義的な日本画壇が大衆の支持を得られずに衰退し、自由な作風の岡本太郎がそれに取って代わった」と解釈することもでき、中々に風刺的であるとも言える。
デザインの元ネタは、1985年のつくば万博にて展示され、現在はつくばエクスプレスの万博記念公園駅前に移設されている岡本太郎作のモニュメント「未来を視る」だと思われる。
敵の名称として用いられている「アンデパンダン(indépendants)」とは、無審査・無賞・自由出品を原則とする美術展のこと。芸術の都・パリに端を発し、その後世界各国で同様の美術展が開催されている。岡本太郎も日本アンデパンダン展に何度か作品を出品している。
これも、権威を振りかざすヒーロー(=権威主義的な70年代当時の日本画壇)に対するアンチテーゼとしてはぴったりな名前と言える。