なんだこれは!
そう、それは芸術の巨人、タローマンである!
芸術なデータ
身長 | 55m |
---|---|
体重 | 5万2000t |
出身地 | シュールレアリズム星 |
べらぼうな概要
NHK製作の短編特撮テレビ番組『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』の主人公。
英語表記の「TAROMAN」とも呼ばれる。
太郎系第3惑星・シュールレアリズム星から来た「芸術の巨人」。
1970年代、相次いで出現するようになったアバンギャルドな怪生物「奇獣」に対して現れた。
現代芸術家・岡本太郎の思想を行動原理としており、それを体現するかのようなべらぼうででたらめな行動を以て奇獣達に立ち向かう。
でたらめな人物像
奇獣退治の専門家然とした立ち位置に反して、奇獣との戦闘や人助けは二の次三の次。
岡本太郎の思想に則って生きることを何よりも優先しており、自分だけでなく他人にも、岡本太郎の思想に則った生き方を自身の超能力を用いてまで強制する。
岡本太郎的に生きる中で、奇獣を倒さずに事態を収束させたり、奇獣の棲処に人間を案内したりすることもある。
そんなタローマンの振る舞いを見て、進むべき道を見出した人間が複数名いたことも、また事実ではあるのだが……。
物事を言葉通りに受け取りがちなようで、作中では奇獣に捕らえられて「孤独をバネにインスピレーションを得ようとした」と強がる作家を宇宙に置き去りにする一方で、岡本太郎的に生きていると判断した場合は、感動と善意で応援することも。
唯一にして最大の弱点は、自身の「でたらめさ」を損なわれること。
原因の自他を問わず、べらぼうででたらめであり続けるにはどうすればいいか悩むあまり、スランプをこじらせて(主に心理的なダメージで)ピンチに陥り、ビルに頭を打ち付け、光線技を己に放ち、奇獣よりも街を破壊している。
岡本太郎の思想に則った生き方を心がけていることもあってか、安易な自己模倣を嫌うとともに、「でたらめであることを妨げる」「岡本太郎的に生きることの邪魔になる」場合は、人間・奇獣問わず容赦なく抹殺することも。
岡本太郎的に生きるためなら、街の破壊を積極的に行ったり、わざと負けたりすることも厭わず、最終的にはとんでもない暴挙に出るような侵略者以上に厄介な精神性・行動もあってか、公式サイトでは「正義の味方ではない」と明言され、視聴者からは「タローマンもまた奇獣の一種ではないのか?」と推察されることもある。実際、「タローマン大統領」においては奇獣扱いされていた。
ただし、メタ的な視点から見れば、タローマン自体が「自分自身ではなく岡本太郎の思想を行動の指針としている、1970年代の特撮ヒーローの“模造品”」という、あまりにも残酷な自己矛盾を抱えていたりするのだが……。
タローマン本人は(少なくとも劇中で描写された限りは)そのことを自覚しているような素振りは一切見せておらず、地球人サイドにもそのことを指摘する者は1人もいなかった。
自分の中にこんな部位を持て
その身体「タローボディ」の中には、骨格のような形を取った「生命の樹」が存在し、そのしなやかででたらめな動きを支えている。
伸縮も自在で、赤い手・青い手に粘土のようにこね回され、体の形さえ変えられても平然としていたどころか、逆に相手を飲み込んで自らの一部に変えてしまい、太陽の塔に翼を生やしたような異形の姿となってどこか遠くへ飛び立ってしまった。
走る速さにも定評があるらしく、風よりも速く走る疾走する眼とチェイスできる。
第23話では「動体視力日本一の巨人」の二つ名の通り、傷ましき腕がダーツのように投げつけた道路標識をたやすく受け止めた。
太陽を象った顔のような部位は「タローマスク」という仮面で、脱ぐと単眼のような模様のついた顔が現れる。また、飛行中はタローマスクのみの形態を取ることもある。
太陽のフレアを表現している計11本のタローマスクの角「タローホーン」には、その1本1本に特殊な機能が備わっている。本編ではうち3本のタローホーンに「太郎汁」という美味しい液体が詰まっている様子が描写されており、タローマンも活躍後にタローホーンをへし折って喉を潤している。
太郎汁にはタローホーンごとにパワーアップ、回復、毒の3種類の効果があり、タローマンは自ら毒の太郎汁を飲むこともあるらしい。
更にタローブーメランというものもあり、こどもの樹に対して使われたが命中することはなくそのままタローマンの手元に戻ってきた。
タローマンなんだこれは入門によれば攻撃には使わない遊び専門のツノらしく、大統領を決めるための戦いであるためか子どもの樹を殺傷する目的で使用した訳ではない模様。
その他のタローホーンにはそれぞれタローナイフ、タローフォーン、タローボム、タローペン、ホーン奇獣、アクセサリーツノ、ただのツノとしての機能が備わっているという。
タローホーンは折れてもすぐに再生するらしく、アクセサリーツノを中心に時々勝手に折れることもあるという。
タローボディには「タローライン」という線が描かれている。これの色はタローマンの生命力と連動しているらしく、普段は赤だが危機に陥ると変色してしまうという。
ただし、劇中では色が変わったシーンはない。つまり前述したスランプや自身への奇行では、肉体面では大したダメージは負っていない。
また、胸と両掌には「タローアイ」という第二第三の目があり、それらにも視力があるようだ。
さらに地獄耳の持ち主のようで、陰口や自らのポリシーを否定する言動・評価などを広範に聞き付ける能力があり、それも前述の奇行につながっている。
真剣に、命がけの技
タローマンなんだこれは入門によると、タローマンは108つある「でたらめ拳法」の使い手だと言う。その内の技の一部がこれらである。
タローマンの代名詞と言うべき芸術エネルギーの「爆発」で、これを受けた相手は色鮮やかな絵の具のような液体になって辺り一面に飛び散ってしまう。かの光の巨人が腕を十字に組んで放つ技に相当しており、劇中でこの技を無効化もしくは相殺できた事例はなく、発動すれば勝利が事実上確定する文字通りの「必殺技」である。
劇中での高津博士の解説によれば、ただの爆破攻撃ではなく「その瞬間瞬間の全存在をかけていのちを燃焼する行為」であり、気軽に使うことは出来ないとのことらしい。しかしながら、そのことが明かされた後も2回使用することもあり、使った後に疲労感なども見せていないことから、実際の所本人にどの程度の負荷がかかっているのかは不明。
放つ際には、両掌のタローアイをタローマスクの前に掲げ、岡本太郎の肉声を流用した「芸術は爆発だ!」の叫びを発する。ただし、予備動作をすっ飛ばして片手間に発射することも可能。
- コントルポアン
手の先から放たれる高出力の光の波動。
手から矢のような形の波動を連射するスラッシュ光線系の小技。
こちらも、使用する際に「コントルポアン!」と技名を叫ぶことがある。
コントルポアン(Contrepoint)とは、対位法(対照的なものを組み合わせて表現する技法)を意味するフランス語で、岡本太郎が1935年に発表した同名の絵画がモチーフ。よく見ると、光弾が絵画の右側にある白い矢のような物体の形になっている事がわかる。
- 緊縛光線
絶対にちぎれない光の輪で相手をビルなどに縛り付ける技。
第9話で使用。
キャッチリングに相当する拘束技と見られるが、スランプに陥ったタローマンは敵に負けるためにこれで自分の体をビルに縛り付けた。
- 洗脳光線
受けた相手の思想をタローマン的思想に変えてしまう恐ろしい光線。
第12話で使用。
作中では軽いお遊び気分で物事に取り組む者に対して思念を送り込み、何事であろうと真剣に、命がけで打ち込む岡本太郎のように素晴らしい人間へと矯正した。
- 人質スマッシュ
第23話で使用。奇獣傷ましき腕が投げつける人質が入った電磁カプセルを、ガソリンスタンドの屋根で打ち返す。人質が入ってる分、コントロールが利くらしい。
- 円盤投げ
第25話で使用。午後の日の宇宙船である「ターン・バリーン号」をタンバリンの如く遊んだ後、宇宙の彼方へ投げ飛ばした。
- 切り裂き観覧車
第30話で使用。近くの観覧車を引き抜き、クルクル回転させながら飛ばしてカッターの様に相手を切り裂く。
- 明日の神話
タローマンが奇獣明日の神話から吸収・会得したもの(と言う設定)。
「明日の神話」と叫びながら手を素早く動かし、岡本太郎の絵画「明日の神話」を再現し、エネルギー波として放つ。
広範囲に及ぶ凄まじい破壊力を誇る攻撃の為、使い所を見極めなければならない。
- 千手
「千手」と叫びながら両手の親指と人差指で輪を作りそれを合わせることで岡本太郎の絵画「千手」を再現し、拡散する無数の波動を放つ。
「帰ってくれタローマン」内のミニコーナータローマンじゃんけんにてじゃんけんの手として使用された。これを出されると相手は問答無用で負ける。
- 雷人
タローマンが奇獣電撃に倒された奇獣雷人の力を受け継ぎ会得した技(と言う設定)。
「雷人」と叫びながら身体を大きく捻って岡本太郎の絵画「雷人」を再現し、エネルギー波として放つ。また、タローマン自身の体内のエネルギー量を上昇させる効果も持ち身体をひねればひねるほど効果が上がるらしい。
前述した明日の神話、千手と合わせて連続で使用され、その3つの技は「太郎」の文字を描きつつ合わさって2体の太陽の塔を爆破したが……。
因みに、絵画「雷人」は岡本太郎が人生の最後に描いた絵画である。
- ビルなぐり
「帰ってくれタローマン」内にて放送された本放送第18話にて使用。鷲野グループのビルを引っこ抜いて敵を思い切り殴りつける技。奇獣重工業とぶつかり合った。
- 自分の中の毒を撃て
体内の毒を勢いよく噴射し、敵をひるませる技。
「帰ってくれタローマン」内にて放送された架空の第10話予告編にて使用。
胸部のタローアイから緑色の毒ガスを放っていた。
他にも、
- 近くのタワーに敵をぶっ刺す、タワー串刺し
- 手頃な電車を武器にする、電車ヌンチャク
- 誰も見た事がない威力のキック・タローマンパンチ
- キックの如き威力のパンチ・タローマンキック
- 常人離れの肺活量から繰り出す、吸い込み
- 敵の急所を突き刺す、タローナイフ
といった技がある。
タローマンの呼び方には色々ある。そう、岡本太郎も言っていた。
タローマンが登場する際には、独特な音楽と共にナレーションによるタローマンの説明が入る。
その際、ナレーションの説明するタローマンの肩書きは話ごと、場合によってはパートごとに変わっており、タローマンの行動や心理を解説し、同時に岡本太郎の思想や哲学について言及される。しかし、肩書きの大半がタローマンのどうでもいい個人情報だったり、肩書きとは裏腹な行動を取ったりと、かなり適当なものになっている。
その際は必ず「そう、岡本太郎も言っていた」で締め括られる。
No. | タローマンの肩書き | 備考 |
---|---|---|
1 | 芸術の巨人 | |
2 | にらめっこ無敗の巨人 | |
3 | 譲り合う心をもつ巨人 | |
4 | 人助けの巨人 | この肩書きで紹介されると同時に、たまたま助けたパトロール機を雑に放り捨てている。 |
5 | 驚きの聴力をもつ巨人 | |
6 | じっとしていられないの巨人 | |
7 | ビルの谷間を覗く巨人 | |
8 | いつまでも変わらぬ巨人 | |
9 | あなたが呼べば来る巨人 | |
10 | 毒物大好物の巨人 | |
11 | 踊らずにはいられない巨人 | |
12 | 足の速さが評判の巨人 | |
13 | ストレスがたまった巨人 | |
14 | 宇宙遊泳チャンピオンの巨人 | |
15 | 若者の心に寄り添う巨人 | |
16 | 時の流れを無視する巨人 | |
17 | 法律に縛られない巨人 | |
18 | 元祖ビルを壊す巨人改め力自慢をしたい巨人 | |
19 | 気軽に時空を歪ませる巨人 | |
20 | 時を超え愛される巨人 | この紹介で登場した直後、市民から愛されないように奇獣にいいようにやられている。 |
21 | 結局は負けず嫌いな巨人 | |
22 | 好奇心旺盛な巨人 | |
23 | 動体視力日本一の巨人 | |
24 | 義理人情の巨人 | |
25 | 空を眺める巨人/無所属の巨人 | 前編の最後と後編の最初で肩書きが変わっている。 |
26 | 平泳ぎ世界チャンピオンの巨人 | |
27 | パリを燃やす巨人 | |
28 | 道に迷った巨人 | |
29 | 帰ってきた巨人 | |
30 | べらぼうな巨人 | 「べらぼうなものにはべらぼうなものを」の前置きは、岡本太郎本人が"大阪万博の大屋根に対する太陽の塔"を指して言ったものであり、そのまま"太陽の塔に対するタローマン(若い太陽の塔)"にスライドして使われているところが意義深い。 |
EX | でたらめ強度ナンバーワンの巨人 | 「帰ってくれタローマン」内にて放送された劇場版「タローマン大統領」での肩書き |
マイナスにとびこむ余談
スーツアクターは、パントマイム俳優の岡村渉氏が担当している。
タローマンのスーツは通気性に乏しく、撮影時に照明からもかなりの熱が発せられたため、岡村氏は靴の中に水が貯まる程の量の汗をかきながら撮影していたとのこと。
また、大阪中之島美術館での「タローマンまつり2号」開催に伴い、新たにアトラク用のスーツが製作されている。
「芸術は爆発だ!」を放つ際の掛け声は生前の岡本太郎氏の肉声を使用しているが、その他の技の掛け声は『TAROMAN』編集の奥本宏幸氏が担当している。
タローマスクのモチーフは、1970年大阪万博のシンボルとして有名な「太陽の塔」……ではなく、そのプロトモデルとされる「若い太陽の塔」(日本モンキーパークに所在)である(ただし特集番組『タローマンヒストリア』での紹介では、「TAROMAN」放送終了後にオープンしたタローマンランドの一部として若い太陽の塔が造られたということになっている)。一方、タローボディのカラーリングや設定は太陽の塔がモチーフ。
なお、デザインは監督なども務めた藤井亮氏が担当している。
ちなみに、偶然にも生前の岡本太郎がそっくりなデザインのスーツを着用したことがあるらしい。
『タローマンヒストリア』では、タローマスクは『TAROMAN』以前のパイロット版の1つであった時代劇『太郎侍』の主人公の顔パーツの流用である、という情報が明かされている。
公式には変身ヒーローか否かの言及はないが、第3話でCBGと未来を見たが銃撃戦をしている際に、隊員の1人(新人隊員)が不自然に画面外に移動し、その直後にタローマンが出現するシーンがある。
また、第8話でも基地のモニターで傷ましき腕による深刻な被害を目の当たりにした新人隊員が、徐に顔を上げて意味深な表情を見せるシーンがある。
彼はOP(「べらぼうなゆめはあるか」の場面)にもアップで出てくるが、実はタローマンが登場するとそれ以降は必ず姿を消している。そのため出番が他の隊員と比べて極端に少ないのだが、タローマンとの関係はいかに?
……と思っていたら、第10話でタローマンとは別々に登場しており、思わせ振りなだけの無関係な別人であることが判明した。
山口一郎氏が「TAROMANと私」で持ち出したタローマンのデラックスジャンボフィギュアは、差し替え式でタローマスクを外した姿が再現可能なことが後に判明しており、そこには青年の顔が象られている。
これがタローマンの素顔なのか、マルサンやブルマァクのソフビ人形などで見られたような変身者の素顔を模したものなのか、はたまた玩具オリジナルの要素なのかは不明。
なお、変身ヒーローとしての描写がない以上変身シーンも存在しないが、代わりにOPの冒頭にぐんぐんカットのようなシーンが映る一幕がある。
タローホーンと太郎汁の設定については、撮影中にタローホーンが何度も折れていたことから「いっそのことそれを利用しよう!」という考えになったらしい。
なんだこの関連タグは!
パイラ人:岡本太郎デザインによる特撮キャラクターの先達。
ブルトン:現代芸術家の名を冠した特撮キャラクターの先達。名前の由来となったアンドレ・ブルトンは、岡本太郎に影響を与えタローマンの故郷の元ネタにもなったシュルレアリスムの創始者である。
ウルトラマンタロウ/東光太郎、ドンモモタロウ/桃井タロウ:「太郎」という名がつく特撮ヒーロー。前者を産み出した会社は『TAROMAN』にも関与しており、後者は同じ年に放送されている。
ウルトラマンブレーザー:『タローマン』放送の翌年に放送された特撮作品の主役ヒーロー。劇中では原始人や野蛮人を彷彿とさせる(場合によってはヒーローらしからぬ)荒々しい言動を見せ、現状意思の疎通を図ることもできないため、主役でありながら真意を汲み取りかねるやや不気味な存在ともなっている。こうした特徴から劇中でも本当に人類の味方なのか警戒されてもおり、『タローマン』も視聴したファンからは「単に見た目がそれっぽいというだけでヒーロー扱いするのは危険」「タローマンが最後の最後にしでかしたことを考えれば疑ってかかるのは当然」という意見も出ている。
但し、タローマンとは異なり、ブレーザーは一貫して人類の味方である。
また、ブレーザー自体がこれまでのウルトラマンと比較して異色とも言える要素が多いことから、「でたらめをやってごらん」を体現しているウルトラ戦士と評されることも。
NNネレンコ:激走戦隊カーレンジャーに登場した怪人。同じく太陽の塔及び若い太陽の塔がモデルで、メインは落書き行為だが、新たに与えられた高カロリーで太るスプレーを使い、スプレーを浴びせた建造物を太らせて最終的に"爆発"させてしまう等岡本太郎自身もモデルの一部になっている。
カーレンジャーの内の4人を太らせ、身体が爆発する寸前まで追い詰めたのだが、その中にヒロイン2名も含まれていたことで、視聴者の子供達に戦隊ヒロインの肥満化やボテ腹化というマイナスに飛び込むような非常に業の深い性癖を植え付けてしまった。
ミャクミャク:2025年大阪・関西万博のマスコットキャラクター。愛称が発表されたのが『TAROMAN』の第1話放送と同日だったため、新旧大阪万博キャラ(ただし、前述のようにタローマンは厳密には異なる)を絡めたツイートやイラストなどが飛び交うことになった。その後、10月25日放送の「第22回 わが心の大阪メロディー」にて共演が実現した。