DATA
概要
第12話「鳥を見た」に登場。
第三氷河期以前に絶滅したと言われている肉食性の巨大怪鳥。巨大な鳥そのものといった姿だが、劇中の図鑑に掲載されている画はコウモリのものに似た翼がある。
劇中の記録では10世紀半ばにインド西部の都市で大量発生したと伝わっており、既に絶滅した生物とされていたがある日、その1羽が998年前の船と共に現代へと現れた。
平時は文鳥に似た小鳥の姿をしているが夜間には巨大化。捕食のため動物園や漁村の家畜などを襲っていた。この巨大化の原理や要因などは不明だが、脚本では太陽の異常活動による宇宙線の変化で巨大化すると示唆されていた。
鋭い嘴をもち、巨大な翼で風速40mの突風を起こし、マッハ1.5の速度で500時間飛び続けることができる。
本編での活躍
冒頭で、深夜の動物園を襲撃して動物達を食い荒らし、見回りに来ていた従業員に致命傷を負わせた後、漁港に漂着した無人船の中から小鳥の状態で万城目達に発見されるが、無人船が沈没したため逃走に成功。文鳥の姿で孤児である三郎少年に飼われ、「クロオ」と名付けられた。
しかし、三郎が寝ている間に集落を襲い家畜を全滅させたことと、三郎に暴行を加えた漁師たちを攻撃したことから存在がばれ、一の谷博士の言葉で存在を危険視した警察によって三郎から引き離され、署内の留置所に隔離される。その後、留置所の中で巨大化して警察署や周囲の市街地を破壊した。
三郎とは共に暮らせないことを悟ったのか、三郎へ別れを告げるかのように姿を見せていずこかへと飛び去って行った。
人や家畜を襲うなど凶暴な性質の持ち主だが、一方で、自分を飼育してくれた少年に対して何かしら特別な感情を抱いていたと思われる描写、終盤に三郎の近くを飛ぶ際には暴風を起こさぬよう羽ばたかず滑空していることなど、意外に高い知性と豊かな感情を持っていたのかもしれない。
飛翔禍威獣ラルゲユウス(シン・ウルトラマン)
本作では別名が「飛翔禍威獣」に変更されている。
映画冒頭ダイジェスト形式で紹介された禍威獣問題の情報にまさかの登場。
『Q』のものに比べて頭部がやや小さく、胴体の羽毛はボリューミーになっているのが特徴。カラーリングは薄いグレーの全身にくちばしのみが黄色い。
暴風を巻き起こし猛威を奮ったとされるが、松本城の真横を飛んでいるだけにも見えること、劇中では名言がないため被害の実態は不明。原作と同様駆除されずに行方を晦まし、現在も消息がわかっていないらしい。
劇中ではステルス機能を持つと疑われていたが詳細は不明。もしかすると、原作同様文鳥サイズに小さくなる能力を持っているのかもしれない。
僅かながらも映像作品への登場は『Q』以来実に56年ぶりとなる。
酩酊!怪獣酒場2nd
第51話では「怪獣ラーメン」の従業員である10体の鳥怪獣「怪獣ラーメン十傑」としてまさかの登場。役割はラーメンの鍋に浸かって出汁を取る事である。
長らく再登場の機会のなかった彼がラーメンの出汁役で再登場するとはリアタイ視聴者も想像していなかったに違いない…。
余談
- 表記揺れの多い怪獣で、放送当時から平成に至るまでの出版物では「ラルギュウス」、「ラルゲリュース」、「ラルゲリウス」、「ラルギュース」等の表記がみられた。
- ちなみに本放送時の生テロップでは「ラルゲユース」表記だったという。
- ラルゲユウスによって発生した突風シーンは、『空の大怪獣ラドン』などのライブフィルムの流用。一応セットは組まれたものの破壊シーンに不満があったためライブフィルムを流用したらしい。
- 未使用に終わったセットで撮影したと思われるスチル写真が現存している。
- 複数あった操演用の人形はラドンから改造されたものもあり、後にリトラに再改造されたと言われている。作中の図鑑と翼の形状が違うのはこのせいかもしれない。
- 三郎少年を演じたのは、後にウルトラマンでホシノ・イサム少年を演じる津沢彰秀氏である。また、警官の一人として助監督の満田かずほ氏も登場している。
- 劇中で歌っている歌は台本にあった歌詞をもとに津沢が即興で作曲したもの。津沢曰く「記憶にあった昔の童謡をもじっているから印税は入らない」。
- 後に平成ゴジラや超星神シリーズで特技監督を務めることになる、川北紘一氏が合成を担当している。ちなみに、これが川北氏のテレビ番組での初仕事となった。
- この回のみオープニングにスタッフロールが表示されなかった。
- 『ウルトラマンオーブ』第1話で、SNS上でのマガバッサーの目撃証言の1つに、このエピソードのサブタイトルである「鳥を見た」というフレーズが使われている。
- 獰猛な肉食の怪鳥と少年が心を通わせるという童話的、あるいは空想的な作風ではあったが、飼育員に求愛行動を繰り返すハシビロコウや、アニメキャラのパネルに寄り添うペンギンなどの例もあり、全く荒唐無稽な事とも言い切れない。
- 体色は白黒版の『Q』では不明だが、後年発売されたフィギュアや『総天然色ウルトラQ』などではグレーの体毛に、黄色いくちばしという解釈がされることが多かったが、撮影時の模型は赤っぽい色であったという。