概要
「キン肉マン」シリーズに登場する潜在的な力の総称であり、本シリーズにおいて、主人公のキン肉マンを奇跡の逆転ファイターたらしめている要因である。最近、その力の正体は友情パワーであると判明した。
「家が火事になった時に、一人で抱えきれない量の荷物を持ち上げる、普段の力では開けられない扉をこじ開ける等、人は窮地に陥ると生き延びる為にとんでもない怪力を出せる」という「火事場の馬鹿力」が名前の由来かつ類似系の力である。
キン肉マンが強敵と対峙し生死の境目まで追い詰められた際に、己の限界を超えた力として発揮する潜在力であり、本来ならば超人強度95万パワーであるキン肉マンの力を7000万パワーに底上げしている。生存本能の赴くまま無意識に繰り出されるため、先読みの困難な柔軟な技が次々と繰り出される。
後にパイレートマンとの戦闘の際でキン肉マンが完全な火事場のクソ力を発動させたとき、8000万パワーを持つパイレートマンでさえも技を振りほどく事が出来ずに敗れた事により、恐らくは現在のキン肉マンの超人強度は既に8000万パワーを越えていると考えられる。
もっとも、キン肉マンは火事場のクソ力をミキサー大帝によって封印された状態でも強豪超人達と渡り合っているため、絶対的に必要な代物ではない模様である。
実際にオメガマン・ディクシアは8600万パワー(当時では神を除いた最大の超人強度)を所有していたが、完璧版マッスル・スパークとカメハメの52の関節技を習得したキン肉マンによって倒されている。
アシュラマンの言葉を借りるなら、超人強度に優劣があっても、より鍛え抜いた方が強いということだろう。火事場のクソ力とはキン肉マンが努力と根性、そして友情によって後天的に昇華させている能力なのである。
火事場のクソ力の根源はキン肉マンが戦いの中で他の超人達と育んできた友情であることは先述の通りだが、友情のパワー自体は他の超人や人間達にも伝播していくモノでもあった。
そのため、キン肉マンと戦い友情を交わした超人達は本来の超人強度を超える力を発揮するようになり(公式ガイドブック『77の謎』ではロビンマスクが運命の5王子や知性チームと言った超人強度1000万越えの超人と渡り合えたのもひとえに火事場のクソ力を発揮したおかげとしている)、引いては見ていた人間たちにも何らかの影響を与えるようにもなった。
しかし、そのことに危機感を覚えた超人閻魔により、完璧超人たちとの全面対決を引き起こしてしまった。
またオメガ・ケンタウリの六鎗客がオメガマン・ディクシアの報告から、故郷のオメガ星を滅亡から救う希望としている存在でもある。
更に火事場のクソ力には三段階の強さがあり、「己のため」、「友のため」、「敵を含めたすべてを救うため」と状況に応じてより強い力が引き出されることが判明している。
また、キン肉族は代々この火事場のクソ力を有しており、王族に至っては101歳のヨボヨボ老人(Ⅱ世当時)であるキン肉真弓や、王位継承権を放棄したキン肉アタルでもランタン(後述)に火をともすことが出来る。
魂のランタン
キン肉王家に代々伝わるランタン。火事場のクソ力を持つ者だけが、正義の炎を灯すことが出来る。
二期生入れ替え戦後のキン肉万太郎は種火程度の炎しか灯すことが出来なかったため、凶悪囚「ノーリスペクト」との戦いという試練が課せられた。
炎の要素は三つあり、それぞれ「負けた敵を許すことのできる寛容の炎」「己の欲望を忘れて立ち向かう無我の炎」「絆を紡ぐ友情の炎」と呼ばれており、(後付けではあるが)火事場のクソ力の三段階に対応している。
類例
この火事場のクソ力に類するものは他の超人にも存在する。
例えばアシュラマンは重傷を負っても魔界のクソ力と言い張って立ち上がり、ノーリスペクトの3人は墓場のクソ力という強欲、残虐、非道をエネルギー源とする負のクソ力を有している(先述のランタンでは火ではなく氷柱が展開される)。
『キン肉マンⅡ世』では、ロビンマスクの息子ケビンマスクが「大渦(メイルストローム)パワー」と呼ばれる、火事場のクソ力に匹敵する潜在パワーを発揮していた。
火事場のおっぱい力
『キン肉マンレディー』を参照
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ここより先はネタバレ注意!
衝撃の事実
完璧超人や超人の神々から「世を乱す力」として警戒されてきた火事場のクソ力。それまでは一般超人に完璧超人や超人の神々に下克上を成し得る可能性をもたらすために危険視されていた思われていたが、事実はより残酷であった。
それは超人の神との戦い、ランペイジマンとロビンマスクの戦いで明かされた。超人を滅ぼさんとする神々に断固として抵抗するロビンにたいし、ランペイジマンは静かに語り出す。
宇宙に於けるエネルギーの総量は一定であること。そして現在、宇宙のエネルギーに不均衡が生じ、様々な天変地異が起こっている。その原因は、超人達の持つエネルギーが急激に増大しているため。そう、過酷な環境に適応し超人強度を進化させたオメガの民や火事場のクソ力で超人強度を底上げしてきた地球の超人達、その強大な超人強度は宇宙の熱エネルギーを大幅に消費していたのである。何千万パワーもの超人強度を誇るオメガの民の母星が滅亡の危機に瀕していたのも、元を辿ればオメガの民の高すぎる超人強度が星のエネルギーを喰ってしまっていた所為だったのだ。そして現在進行形で、火事場のクソ力で超人強度を増大させている超人達の住まう地球では、異常気象などの環境変化が現れている。
すなわち、火事場のクソ力は誇張抜きで宇宙の存続を脅かしているのである。ただでさえ超人たちの進化は進んでいる上に、それを更にブーストさせる火事場のクソ力は神々にとっては由々しき存在であったのだ。