CV:潘恵子(ドラマCD版)/島本須美(ドラゴンクエストウォーク、ドラゴンクエストライバルズエース)
ピサロ様、概要ですわ
ロザリーヒルの塔に住んでいるエルフ族の少女。
彼女が流すルビーの涙を目当てに過去に人間族から酷い仕打ちを受けていた所を魔族の青年ピサロに助けられ、『エルフの娘では、いちいち呼ぶのも大変だな…これからお前は「ロザリー」と名乗るがよい。』と現在の名前を授かった。(名前の由来は、彼が世話になっている村の名前から)
普段の生活はロザリーヒルの塔内で護衛のピサロナイトとスライムと一緒に生活している。
人間族を殲滅することを胸に計画を進めるピサロに『人間族を殲滅することは やめて欲しい』と何度も頼むのだが、自身の過去を知っているからか中止することはしなかった。
しばらくして、自身を訪ねて来た勇者一行に『ピサロ様を止めて欲しい』と頼み込むが、その後、人間族に襲われてしまい帰らぬ人になってしまった。
だが、彼女を殺めた真犯人は……?
当然ながら上述の行為から魔族の間では賛否の分かれる存在であり、エルフの庇護を称賛する者もいれば魔族の覇道を妨げる障壁と見なす者もあり、一概に誰もが好意的に思っていたわけではない。
なお、リメイク版ではロザリーヒルに墓ができており、1000年に1度咲くといわれる「世界樹の花」を供えると蘇生するイベントがある。真相を何となく把握しているようであり、ピサロの暴走を止めるためにパーティへ同行する(戦闘には参加しない)。そしてピサロのもとへ連れて行くと、そのルビーの涙によってピサロが自らに施した進化の秘法を中和。ピサロを説得し、彼をパーティへ加入させる。
リメイク版で公式イラストが登場したピサロと違い、ロザリーは現在まで公式イラストが存在しておらず、4コママンガ劇場などでは各作家ごとに異なる容姿になっている。
多くはロングヘアにドレス姿かワンピースで、匿われている部屋も天蓋付きベッドがあるなど、あまり不自由を感じさせない内装で描かれることが多かった。
2019年になってようやくドラゴンクエストタクトにピサロに15年以上遅れて公式イラストが実装されたがこれ以後のゲームもこのイラストに準拠していく形になる模様。
CDシアターでは上述の通り潘恵子氏が演じていて、一方ピサロは池田秀一氏が演じており、そしてシアター版のDQ4勇者の名前は「レイ」と、この作品を連想する人もいるとか。
小説版
魔界の一角、『まどろみの都』サルムラーンを統治していたエルフ族の王女。エルフ族の特徴として、尖った耳の他に細い尻尾があるという描写がなされている。
魔界の帝王ナルゴスへの恭順を拒否した為にサルムラーンは滅ぼされ、王族達は毒を飲んで自決。魔法で隠された部屋の中に潜んでいたが、祖父ナルゴスの軍に付き従っていたピサロに発見され、幼いロザリーはピサロに保護された。
以来ピサロによって密かに育てられるが、外に出て太陽が見たいと願い、叶わぬとなるとルビーの涙を流して「あんたなんか大嫌い」と言う程度には気が強く我儘だった。これを宥めるためにピサロにいけない事をされ、己の裡にも太陽のごとき輝きがある事を恍惚の内に思い知らされる。
しかしこうした隠し事はピサロの政敵によって暴かれ、目をかけていた孫の執心に不興を抱いたナルゴスにより、ピサロは能力と記憶を奪われ、ロザリーと共に地上に追放される。ロザリーはすっかり様変わりしてしまったピサロに献身的に尽くし、小さな村を作ってささやかだが幸福な日々を送る。その中にあってピサロがいくばくかの魔法を取り戻すと、夜の内に世界を駆け、様々な悪戯や遊びを楽しむまでになった。
しかし人間に扮して海辺の村の祭りに参加した時、占い師に見とがめられて呪いの言葉をかけられる。折しも危篤状態にあったナルゴスはピサロ追放の黒幕を知ると自らの魔法を解き、魔界の王子としてピサロは復活を果たすのだった。
以後はロザリーヒルの小塔に匿われ、ピサロナイトを護衛としてつけられる。人間絶滅を目論むピサロが折々に訪ねては言葉を交わすが、愛する者に罪を重ねさせたくないという慟哭は夢として人間に作用し、イムルの村では毎夜毎夜同じ夢を見るという現象を引き起こす。
ピサロの野望を止める為に旅をしていた勇者一行は夢を手掛かりとし、遂にロザリーヒルへと至る。ピサロナイトに辛勝した勇者達の前に初めてロザリーは姿を見せ、自らが無意識のうちに彼らを呼んだと理解すると慟哭。それでもピサロを助けたいという一心から、どうか彼を止めて欲しいと願うのだった。
以後はロザリーヒルでひっそりと生きていたが、エビルプリーストの神託を受けた黒衣の男達と、開拓団とは名ばかりの悪党がロザリーヒルを襲撃。ピサロナイトが倒されていた事も災いし、ロザリーは連れ去られてしまった。
エスターク復活を目前としながらこの知らせを聞いたピサロは迷った末にロザリーを助けるべく、陽光に苦しめられながら世界の半分を飛ぶ。しかし間に合わず、深く傷つけられたロザリーはピサロの腕の中で息絶えてしまうのだった。
最終決戦において、デスピサロとなり果てたピサロは光によって浄化。
元の美しい姿を取り戻すと細い腕が出現し、二人が愛を誓ったサークレットをピサロの頭に被せる。子供のように泣きじゃくるピサロを腕の主は優しく抱き締め、そのまま共に光の中へと消えていくのだった。
ロザリーヒルのお友達よ
- ホビット:ロザリーヒルに住まう妖精族でロザリーを慕い、ピサロに対しても尊敬や忠誠心(ただし地獄の帝王復活計画には恐怖している者も)を持つ。人間である勇者一行をも差別せずに受け入れるが、ロザリーを殺したのが人間だと知ると泣きながら嫌悪する子供もいる。
ゲーム本編では尖がった帽子(白雪姫の小人に近い)をかぶってヨーロッパ風の衣装を着た姿(船長や木こりなど人間の男性にも流用されることも)だが、『知られざる伝説』や『ドラゴンクエスト4ワールド漫遊記』など関連書籍のイラストでは耳が尖った小柄な体型と、人間離れした風貌で描かれることが多い。
- 老人:道具屋・武器屋・防具屋と教会の4つを掛け持ちする唯一の人間。ホビットからは商売上手な存在と見做されたり、トルネコからもやり手と褒められる才覚を持つ。『知られざる伝説』では魔族を見張るべくゴットサイドから派遣されたスパイの神官だったが、ホビットのわがままに振り回されつつ商売をする中でロザリーに出会い、その優しさに触れて任務を放棄、ロザリーヒルに住みついた。
余談だが外見は本編と知られざる伝説で大幅に異なり、前者はモブのお爺さん(つるつる頭と長いヒゲ、長衣姿)が使われ、後者では後頭部にのみ頭髪があってヒゲはなく、長衣は就寝時を除いて殆ど着用せず、動きやすい仕事着ないしは簡素な僧侶服で描かれている。
- ピサロナイト:詳細は同名の項目を参照されたし。『知られざる伝説』によるとアドンと言う名前の青年魔族で、取り立ててくれたピサロに尊敬の気持ちと強い忠誠心を誓いつつも、ロザリーに恋心を抱いていたことが語られる。
- スライム:人語を話すモンスターで、ロザリーを「ロザリーちゃん」と呼ぶ。ロザリーをいじめる人間を嫌うが、勇者一行が敵ではないと知ると有益な情報をくれる。ワールド漫遊記には、ピサロとロザリー、ピサロナイト亡き後の皆の死を受け入れていない彼が登場する後日談が収録され、ドラクエ4コマでも哀しみにくれる姿が描かれた……が、リメイク版6章ではロザリー死後も意外と冷静であり、むしろピサロを案じている。DQ11(3DS/S)にも登場。ここでもしっかり者な一面が見られる。
- シスターと動物達:前者は動物や妖精が集まる教会を管轄する修道女で、訪問して来た勇者らに「ここはあなたたち人間のくるところではありません(種族は不明)」と述べたり、ピサロでさえ頭が上がらないなど謎が多い女性。後者は進化の秘法で賢くなった猫、犬、馬。ピサロに感謝しており、彼が愛するロザリーを迫害した人間に憤慨する。
- イエティ:「うおーんうおーん」が口癖の魔族で、デスパレスの連中と違って人間に敵意を持たない(ただし、人間がロザリーをいじめることを嘆く)。普段はホビットの家に住んでいるが、5章EDでスライムや妖精、動物達とロザリーの墓を囲み、6章では墓前で泣いている。ロザリー復活のイベントで、「人間にもいいやつがいる」と勇者一行に感謝して信用するようになる。
ピサロ様、お願いです…私の…関連タグを貼って下さい
ロザリーとロザリーヒルの住人達が登場する短編集。前者は人間の老人とホビットの男性が鳥山明氏のイラストに近く、後者はロザリーと暮らしていたスライムとホビットの子供が絵本風に描かれた挿絵。いずれも児童書風の可愛らしいイラストと読みやすい文体だが、内容が内容なだけにストーリーはシリアス。