概要
作中で全国規模の影響力を誇る巨大企業東山グループの会長、東山慶三の嫡男。ただし、正式な結婚ではなく五十人いる愛人の内、23番目の愛人志津加との間に生まれた所謂妾の息子。
父親の記憶は稀薄で、幼少時に一度遊んでもらった程度の記憶しかない。が、父親の仕事の付き合い先の子供や優しい母に囲まれて幸せだった暮らしは、母の病をきっかけに暗転する。東山グループでは愛人達は会長及びグループのためのコマで、病を患った母は解任させられる。
以後、社交会の子供たちから苛められ、大人達も母をネタに浩太を嘲笑し、高校生になった現在では酷いトラウマとなる。母も失ったアイデンティティーを息子に求めて本質的に愛しておらず、息子がイジメに遭っていることすら察してくれなかった。そして、現在通う白嶺学園ではマウント狙いの生徒達からイジメの狙い撃ちにされ、教師すらそれを見て見ぬ振りするという孤立無援で、オンラインチェスをしている時だけが安らぎだった。
そんな鬱屈したある日、東山グループの会長秘書浅見奈緒から病に倒れた父が浩太を後継者に指名したことと、五人の美少女との共同生活を言い渡された。会長に助力して東山グループを拡大させた会長の愛人（ミストレス）、浩太にも自分の愛人達を選ばせようというのだ。五人の内、誰が自分に引いては東山グループに有益かを選抜し、切るミストレスガーデン、つまり浩太を次期会長に育て上げると同時に会長就任の試験を受けろというのだ。無論、今まで放置されていた上に経営など分からない浩太は納得できず、断ろうとするが母がそれを喜んでくれたと聞かされて渋々受け入れる。
そこから、浩太の会長就任への試練と会長となった自分へ迫る女達との駆け引きが始まることとなる。
人物
整った容姿に加えて天才的な頭脳の持ち主で、作中で開催されるチェス大会RCS（ロイヤルチェスソサエティ）……この大会の歴史は長く、オンラインではありながらも日本人の優勝者は浩太が初。『相手の打つ手がなくなるまで追い詰めてからの華麗な逆転プレイ』を得意とする不滅の皇帝 ”ハイドロ”として知られるオンラインチェスの世界チャンピオンでもある。慶三が彼を後継者に指名したのは、東山グループの経営を『戦略』と例えていた事。唯一、慶三にチェスで勝利した浩太が後継者に選ばれたのである。子供相手と思われるが、慶三は勝負に手を抜かないスタンスで、全力であったことが窺われる。つまり、浩太のチェスの実力は幼少時から既に父を凌駕していたことになる。
こうした特技故に、物事をチェスの盤面に例えて駆け引きを行う。
マザコンのトラウマ
幼少時から母の意識は息子より会長に向いていた様子があるが、愛人を解任されて情緒が不安定になった母から『自分がいなければ会長は会ってくれる』と罵倒されたことすらある。苛めにも気付かず、自分が殴られたことに気付いた矢先に会長のニュースに飛びつく様子を見ても分かるように、本質的には愛されていない。
結果、内面が母に甘えたい幼児で止まっており、愛人選抜も母が期待している＝会長になれば母が愛してくれるという期待から受け、幾島実憂に『いい子、いい子』とあやされただけで母を思い出し、思考を止めてしまうほどに深刻な状態。
人間不信のトラウマ
母の解任後、上流社会のマウント狙いによるイジメで子供と大人の両方から狙い撃ちにされ、しかも通っている白嶺学園は財界人や芸能人の子女が通う名門校。そこで捨てられた妾の息子である浩太は格好のターゲットであり、教師すら生徒の親達の権威を恐れて見て見ぬ振りをする＝事実上のグルという有様。幼い頃から、悪意だけに晒されて誰も助けてくれなかった浩太の心は歪みきっており、自己肯定感も皆無。
そこへ更に、次期会長の椅子に愛人候補やゴマをする生徒達がよってくるので、基本的に誰も信じていない。
本質
「今の俺には富も名声もある。」
「それでみんなが寄ってきてくれるから、自信も持てそうだよ。」
突然舞い込んできた次期会長の椅子とそれに伴う巨万の富と名声。ガーデンに来た少女達も、それが目当てなのは分かりきっている。母すら愛してくれなかった浩太にとっては自分が愛されること自体がそもそもあり得ないことになっていた。
浩太は上述通り、本質的には心が母に甘えたい幼児のまま止まっている。だが、母も含め周りは全てステータスしか見ず、誰も愛してくれない。自分は誰からも愛されないという酷い自己否定に囚われると同時に、愛に飢えているからそれを信じない矛盾を抱えることとなる。
また、母の罵倒やイジメのトラウマは根深く、それに起因する復讐心や支配欲があり、その対象は自分のミストレス達も例外ではない。特に苛めていた山田アキには復讐心と支配欲が顕著で、優秀と認めても信用はしていない。
一方、そうした境遇故に自分は何も持っていないという自覚があり、日高末愛や皆川奈々子のように自分と似たような人間には基本的に甘い。ただし、学校の人間に限れば浩太の場合は渚以外の全てが敵で信用しておらず、生徒達は彼が次期会長になった途端に愛想良くなり、ゴマをする始末である。
そして、それらのトラウマを源泉とした上述の父や周囲全てへの復讐心と支配欲を支える強欲さが知略に並ぶ浩太の最大の武器で、今まで何も、居場所すらなかった浩太は居場所も、富も、地位も、権力も、名声も、女も、愛も望む全てを手に入れようとする。
会長への道
愛人選抜開始
あまりに唐突に押しつけられた会長の椅子故に次期会長の自覚は乏しく、渚の『今の状況を変えたい』という参加動機も戸村との婚約解消と安直に考え、想い人と距離を縮める好機と舞い上がってしまう。上述通り参加者は会長の愛人で得られる金や地位目当てと決めつけて渚以外は信用せず、特に散々苛めておいて、次期会長になった途端スポンサーになって欲しくて近づいたアキを復讐も兼ねて退場させるために利用し、実家が経営するクイーンズ・ホテルが渚の家が経営するグランド・ノースに吸収された実憂を探らせる。が、幼い頃に母が頭をなでてくれたように抱きしめてくれた実憂を渚を貶める敵と思いながらも、自身が求めていた母の愛をくれるために退場させるか悩む。
しかし、アキから実憂が渚の父斑鳩丈一郎と不倫しているという疑惑の写真を見せられ、同時にスパイ疑惑も浮上して騙されたと絶望。事実ならば、実憂を先に退場させるべきなのだが、実憂に母性を求める浩太は漠然とした違和感を拭えずにいた。が、結局アキに『東山グループが乗っ取られれば母は失望し、更に酷いイジメに遭い、転校しても変わらない』と半ば脅迫されると同時に、身体で慰めてあげると唆され実憂の追放に踏み切る。
どうせ、アキと同じように実憂だって金や地位が欲しくて自分に優しくしているだけだと。だから、自分も打算が必要だと。
しかし、コレによって浩太は自分が決して愛されないという自己否定がより悪化することとなる。
ガーデンの蹂躙
実憂を退場させるが、浩太は彼女を忘れられなかった。そのまま次の候補鏑阪世衣良が現れて、アキと同じように色仕掛けで迫ってくる。同時に、実憂に懐いていた奈々子が実憂はスパイだったが、心変わりしてそれを知っていながら渚が退場を仕組んだと糾弾する。
渚はそれを認め、父が東山グループを乗っ取ろうとしていることを明かす。しかし、自分はそれとは別に浩太を独占したいと身体をさらけ出す。不安定になった浩太は想い人に踊らされていたことに気付きながらも、衝動に駆られるまま渚を抱いた。
俺は…ずっと自分でコマを動かしているつもりだった。
でも違った。斑鳩渚の手によって、動かされていたのだ。
それの何が悪い？
ずっと手の届かないと思っていた人が…『誰よりも』俺を愛してくれている。
だから俺は……思考を放棄した。
手の届かない想い人の渚が自分だけを愛してくれる。しかし、その想い人すら打算でしか自分を愛さないという絶望は浩太の心を完全に崩壊させ、自暴自棄になった浩太は思考を放棄し、度々迫ったアキや世衣良も抱いた。
どうせ、誰も愛してくれないのだから身体だけ重ねて、空白を満たそうという最悪の状態に陥っていた。が、この惨状を浅見は……
「強者しか勝てないゲームなんて――――…つまらないじゃないですか。」
ガーデンの奪還
奈々子が退場、より正確には利用価値がなくなったから世衣良が退場させるように浩太を唆した。このまま渚と世衣良の主導権争いになると思われたが、
「浩太君の心は、私が守ります。」
なんと実憂が戻ってきた。以前、浩太がアキに実憂の弱みを握らせようとした際にアキは末愛を脅して実憂のスマホのパスワードを解除させ、不倫疑惑を突き止めるが末愛はバイト先も突き止めていた。奈々子と同じように実憂に戻ってきて欲しかった末愛はそれを浅見に相談し、浅見はそれに同意した。
実憂は浩太の目を覚ますために戻ってきたと言うが、嘘の愛で騙され続けた浩太は既に実憂のことすら信じていなかった。
「実憂さんさぁ…俺のこと騙してたくせして……何が分かるの？」
「結局は実憂さんも東山のブランドありきで俺を見てたくせに…」
「この胸押しつけて『私を使って』とまで言って……こういうこと慣れてるのかな？」
俺の心を守るなんて嘘に決まっている。またミストレスになるチャンスがあるから、戻ってきただけだ。この身体で斑鳩丈一郎や他の男とも寝たんだ。
弁明も許さず騙された復讐の如く実憂の豊満な身体を蹂躙する浩太に……
「不安にさせて………ごめんなさい。」
「だから、証明……したいの。」
「私が誰のものか……証明させて？」
「本当は……ちょっとだけ怖いのよ…？]
「でも、今日はそのつもりでここに帰ってきたから……」
翌朝……実憂を抱いた浩太は彼女の初めてが自分であった事実をもって、ようやく彼女を信じることが出来、実憂も浩太にコマとして愛と忠誠を誓った。一番欲しかった本当に自分を愛してくれる人と愛し合った浩太はガーデンの奪還を決意し、早朝にもかかわらず再度実憂を抱く。そして、計画が完全に破綻した渚は二人が愛し合うのをドア越しに呆然と聞いていた。
実憂が正式なミストレスになり、アキは再度近づこうと「ママっぽいタイプが好きなら、私もママしようか？」と迫るが、逆に「ムードがない山田さんより優しい実憂さんが良い」とあしらう。世衣良も実憂のスパイ疑惑を抉って「自分の方が胸が大きい」と迫るが、「心のこもらない奉仕なんか今更響かない」と侮蔑する。以後、浩太に色仕掛けの類は一切通じなくなる。
浩太は更に駒を進め、最大の脅威の渚よりも、まず当面の敵である世衣良の撃退を始める。奈々子の次に彼女が利用しようとする末愛が抱える家庭の事情、父の不倫と母のホストクラブ通いのネグレクト解消を通じて味方に引き入れようとする。末愛の母と会って改めて末愛に母の元へ戻るか、自分のミストレスとして働くかを問い、母を見限って自立することを決めた末愛は浩太のミストレスとなり、世衣良を孤立させることに成功する。
追い詰められた世衣良はアキと結託し、鏑阪の新作発表会でガーデンを自分に都合の良いように脚色して、東山を貶めようとした。が、既に手を読んでいた浩太は逆にアキをコマにし、愛人選抜は会長によるグループ発展の力と眼を養うものだと宣言する。更に、末愛によってコレを計画していた会話をマスコミにリークされて世衣良は只でさえ低迷していた社会的信用を自分で破壊、盛大な自滅で完全敗北した。
そして、奈々子に復帰を薦めるが、本当に東山グループに興味がなく、自分がいても役に立てない事を自覚していた奈々子は正式に愛人選抜から辞退する。しかし、ガーデンに来る前はいなかった友人を得た彼女の顔は充実しており、それに安心した浩太は改めて自分の居場所を獲得するべくゲームを進める。
世衣良が残した『斑鳩の忌み子』という言葉を探るためにも。
学園制圧
世衣良を追放した後、浩太はかねてより考えていた学園の制圧に乗り出す。手始めにゴマをすってくる生徒達に表面上愛想良くした後、アキに同級生の弱みを握らせてクラスを制圧、同時にこれまで苛めていた戸村を潰して生徒会長の白嶺亜莉亜を引きずり出す。
浩太が生徒会選挙を嗅ぎ回っていることを知った副会長の貴嶋零一はある計画を思いつく。それは……亜莉亜が理事長の父に集計システムを操作してもらっているという不正をでっち上げることだった。貴嶋は生徒会選挙に立候補し、浩太もそれに乗じて立候補する。
貴嶋は教師の票数も必要な生徒会選挙で、今からでは教師の票まで集められないが、副会長ならしてあげられると浩太と結託する。直後……浩太はアキに迫られた際に、亜莉亜のある場面を目撃し……
これは使える…！
生徒会選挙のスピーチ……貴嶋は亜莉亜の不正を徹底的に抉るが、浩太は土壇場で貴嶋を裏切った。そもそも、生徒会選挙で教師の票数が重いこと自体がおかしいと非難。
「そもそも教師の票が生徒より重い選挙の方がおかしいと思うが…」
「この学園の先生方は俺が苛められていたときも見て見ぬ振りをしていたからなぁ。そんな人達の票なんか要らないだろう？」
スピーチの場で教師達を徹底的に非難し、真偽を無視して亜莉亜のこれまでの功績を蔑ろにする在り方を非難、亜莉亜を持ち上げて選挙から辞退した。
結局、生徒会選挙は亜莉亜が生徒会長として続投する事となる。浩太はその亜莉亜にアキがリストアップした要人達との面会を要求した。図書室で見た、あの痴態を脅迫のネタに。
それに対し、亜莉亜は脅すより良い方法があると提案。東山の愛人選抜に
「私にも、参加させて欲しいの。」
亜莉亜は今回の貴嶋のでっち上げが実は浩太に仕組まれていたことを気付いていた。なのに、何故か？
「スピーチの…教師の票数のところ…貴方の本心だった。」
教師だけでなく、学園全体への憎悪と不信が凝縮されたあのスピーチを通して亜莉亜は自分も加害者の一味であると認めた。自分が復讐されて当然だとも……そして、それ以上に。
「私は…気付いてしまったの。自分の本心を。」
「人の役に立つ…それ以上にもっと、貴方の役に立ちたいって。」
「東山君、貴方のコマとして、私を躾けて欲しいの。」
思わぬところで強力なコマを得た浩太は、彼女の愛人選抜参加を承認。ガーデンへ連れて帰った夜に、彼女の初めてをもらって従順に躾けた。当初の予定から大きくずれたが、強力なコマを獲得した浩太は各界の要人達との接触する手段を得た。
ミストレス達との関係
最初の候補者
斑鳩渚ｰｰ同級生で想い人。苛められている浩太の唯一の味方で大規模ホテル、『グランド・ノース』のオーナーの娘。当初の浩太は舞い上がり、彼女をガーデンに残すことしか考えていなかった。しかし、学校の時と打って変わって浩太に対して異常な執着を示すようになり、浩太は彼女への気持ちが曇り始める。浩太への気持ちは本心であるようだが、実憂を追放するよう仕向けたり、精神の病を患った母に父との確執、詳細が分からない姉の存在など、浩太以上に深い闇を抱えている様子がある。また、彼女に関わる『斑鳩の忌み子』について、浩太自身も忘れていた何かで関わっている模様。
幾島実憂ｰｰ格式高いクイーンズ・ホテルのオーナー令嬢の音大生。豊満な肢体と母性に溢れる美女。実家を巡る渚の父との不倫疑惑があったが、実態は進路の費用を盾に浩太を誘惑するスパイを命令されていた。しかし、浩太の本質に気付いて彼を愛するようになり、一度退場させられながらも浅見の勧めで浩太の心を守るために復帰、正式なミストレスとなる。以後、浩太の夜の相手をほぼ独占し、ガーデン内ではミストレス達の牽制及び家事も受け持つムードメーカーで浩太の恋人と母親役。
山田アキｰｰ現役モデルの同級生。人気モデルだけあり、飛び抜けた美貌とプロポーションの美少女だが、内面は自分勝手極まりない。実は看板モデルの雑誌を卒業間近で行き詰まり、浩太にスポンサーになって欲しくて愛人選抜に参加したが、苛めの恨みで信用は皆無。一度は身体を重ねるなどして主導権を握りかけるが、実憂の愛と献身を得た浩太に逆に従順にさせられると同時に身体を重ねる内に浩太自身に惹かれる節を見せる。が、当の浩太にとっては恨みもあるので早々に捨てたいコマ。
日高末愛ｰｰ最年少の中学二年生。父は有名な建築家だが、グラビアアイドルと不倫して母はホストクラブ通いの男遊びという最悪のネグレクトを受け、居場所ほしさにガーデンに参加。母の悪影響で性欲が強く、実憂達との情事を盗み聞きしたり、夜伽に乗り出しているが、年齢故に添い寝止まり。最終的に浩太と実憂の尽力で母を見限り、自立および同時進行のネグレクト解消を兼ねて正式なミストレスになる。母の男遊びの相手を調べる仮定で磨いた解析能力による情報収集役。親の愛に飢えた、浩太のもう一つの姿。
皆川奈々子ｰｰ動画配信を趣味にした女子高生。浩太同様学校でいじめられて不登校になり、末愛と同じくガーデンに来たのも安らぎほしさで、東山グループへの興味も皆無。動画配信するより、ガーデンで浩太達と過ごす方が居心地が良くなり、特に実憂には懐いて浩太同様彼女の退場を長く引きずり、ガーデンに居続ける為に無理矢理浩太と関係を持とうとするが怖じ気づき、実憂と入れ替わりで来た鏑阪世衣良に利用された挙げ句、ガーデンにも居場所がなくなったことで自主退場する。以後、何とか登校して生身の友人を作ることにも成功し、ガーデンへの復帰も正式に辞退した。友人を得た彼女を見て安心した浩太は、改めて自分の居場所を得るために会長への就任を決意する。イジメによる不登校と友人の獲得という、浩太のもう一つの姿。
追加候補者
白嶺亜莉亜ｰｰ外交官の家系で白嶺学園理事長の娘にして生徒会長。清廉潔白で『みんなのために』が信念。だが、内心では『特定の誰かの役に立ちたい』従属願望に起因する迷いを抱えており、生徒会長の座を狙う副会長の貴嶋に不正をでっち上げられた上にある痴態を目撃されて浩太に脅迫されることになる。しかし、生徒会選挙に立候補した浩太の『教師達への恨みと不信』を非難したスピーチを通じ、助けなかった負い目による欺瞞を告白、貴嶋のでっち上げが浩太の陰謀だったのを知りながら浩太の役に立ちたいという欲望をさらけ出し、愛人選抜に参加。ガーデン内では「ご主人様」と呼ぶまでに浩太に従順になる。聡明な頭脳と外交官の家系のコネで要人達とのパイプ役になる。
東山関係
東山慶三--父。一代で東山グループを巨大企業にまで育て上げた経営者。グループの発展は五十人の愛人達の助力によるもので、愛人達は会長に心酔している。が、浩太にとっては母を捨てて自分が苛められている元凶なので憎んでいるが、接した記憶が殆ど無いので他人同然に見ている。
志津加--母。慶三の23番目の愛人だが、病を患って愛人を解雇される。解任後は実家に戻っているが、浩太との親子関係は崩壊しており、浩太は深刻なマザコンをこじらせる。
西河雪哉--東山グループのライバル企業、西河グループの御曹司。幼少時は浩太と仲が良かったが、成長した現在は自らも愛人を持つようになり、浩太に東西のグループ対決を申し込む。
西河摩耶--雪哉の妹。雪哉同様、浩太とは仲が良かった。
浅見奈緒--慶三の秘書。ガーデンの管理とミストレス候補の選定を行う浩太の事実上の教育係。
姉--会長の誕生日の時に出会い、「コウ君」と呼んでチェスをしたお姉ちゃん。異母姉の一人であること以外不明だが、渚のスマホには彼女と浩太が写った写真が保存されており、浩太自身も長らく忘れていた。
敵
斑鳩丈一郎ｰｰ渚の父でグランド・ノースの現オーナー。クイーンズ・ホテルを始め多くのホテル事業を掌握し、東山グループの乗っ取りを企てている野心家。渚との親子関係は崩壊同然で、娘が知っているのに、自身は妻の好みの花すら理解しておらず、実憂の将来を『道楽』呼ばわりするなど他人の心情を理解する気がない矮小かつ自己中心的な男。
戸村薫ｰｰいじめのボス。当初、市長の息子やアキと共に浩太を苛めて、更に浩太が東山グループの次期会長になったことも認めない。浩太曰く「間違っているいないに関係なく、騒ぎ立てて強引に自分のペースに持っていくのが得意」と、要するにただの自己中心的でワガママで幼稚な男。実際にはクラス全体で嫌われており、世衣良撃退後に浩太に脅された同級生に殴り倒され、更にこの醜態を同級生達に浩太の時とは違い盛大に笑いものにされ、リンチに遭うというこれもまたイジメの因果応報の結末を辿った。実は、父は縁故だけで実績がない代議士で、それをコンプレックスにして虚勢を張っていた。ある意味浩太と同じだが、自分で何かを成したり、手に入れる気がなく、下地を作っただけの浩太に惨敗した。
鏑阪世衣良ｰｰ和式ファッショングループの令嬢で、現在の経営者。実憂とアキを凌ぐ巨乳だが、性格はアキ以上に自分勝手だが策士としては三流。自身の失策で傾いた会社を建て直すべく、愛人選抜に参加し、実憂と離れて憔悴した浩太を『殿様』と呼んで身体を差し出すなどでガーデンを牛耳ろうとするが、復帰した実憂と結ばれて立ち直った浩太にこれまでの手が通じなくなる。ならばと、自分を被害者にガーデンをあれこれ脚色して東山を貶めようとするが、逆にそれを利用されて文字通り策士策に溺れる形で自滅。大惨敗を喫して、ガーデンからも追放される。だが、斑鳩の忌み子という社交界のタブーを公言し、浩太と渚の関係に亀裂を入れる。
関連タグ
ダークヒーロー…苛められていた反動で陰惨な支配欲や復讐心が育ち、勝利した場面では凶悪な笑みを浮かべることが多い。
ルルーシュ・ランペルージｰｰ物事をチェスで例え、天才的なチェスの腕が共通。また、母に起因する幼少時の嫌がらせやトラウマ故に他人を信じずコマ扱いする部分も共通。ただし、浩太の方はミストレス達も自分が会長のコマという双方合意の違いがある。本当に愛してくれる女性がいたが、それぞれの理由で離別している。父への憎悪や勝利時の凶悪な笑みも共通。
シャア・アズナブルｰｰ母の愛に飢え、それを求めた女性がいる共通点がある。ただし、死別して十年以上経った後もそれを引きずるシャアに対し、浩太は実憂と結ばれて母の愛と女の愛の両方を得ている。
両者との決定的な違いとして、本当に心を開ける友人どころか打算と本音が入り交じった複雑な感情を抱いた友人さえいないという二人よりも悲惨な環境にある。
