「とうふふふふ・・・」
「麒麟拳のお兄さぁ~ん!俺と呑み比べをしようじゃないの」
CV/人間体:城谷光俊
登場話数:第12話「豆腐で酔ったァ」
概要
角切りの豆腐を彷彿とさせる、正六面体に近い頭部が特徴。その他にも頭部から生やした一対のラッパ、大葉やネギを模した意匠、さらには後述の得物も含め、その出で立ちには豆腐から連想される要素が多数含まれている。
戦闘においては、前述の通り得意とする酔拳を駆使し、その実力はやはり酔拳に近い麒麟拳の使い手であるキリンレンジャーと伯仲するほどである。また巨大な豆腐切包丁や、土鍋の蓋を模した盾を武器とし、これを振るって「冷奴水平斬り」「湯豆腐サイの目斬り」といった強力な剣技も繰り出す。
人間態は大道芸人の姿を取っており、山高帽にステッキ、それに白塗りの顔にちょび髭を備えた、如何にもチャップリンを意識したスタイルが目を引く。この姿でも走行中の自動車を蹴り飛ばしてその動きを止め、さらには酒を含んで火を吹き、ラッパから吹きかける酒で相手を泥酔状態に陥らせるなど、そのふざけたナリとは裏腹に怪人態に負けず劣らずの実力を発揮する。攻撃手段として利用するだけでなく、呑む方でも酒をこよなく愛しており、作戦行動の合間にしばしば飲酒に及んでもいる。
酒に溺れることの多い人間の習性を利用し、人々を酔わせて堕落させようとするシャダム中佐の作戦の実行役を務めており、豆腐売りに扮したコットポトロたちと共に、食べた者を泥酔状態にする豆腐を売り歩き、社会を混乱に陥れた。
作中での動向
手始めに前述の通り、豆腐売りに扮したコットポトロたちを使って人々を泥酔状態に追いやり、自らもサラリーマンたちを酔わせていた豆腐仙人は、その過程で知り合いの豆腐屋が被害に遭い、原因究明に当たっていた知と遭遇。知が酔拳(麒麟拳)使いと看破したのちに不意打ちでキリンレンジャーの戦闘から悠々離脱、その実力を一通り示してみせた。
その後も豆腐屋の娘である町子が、父親を泥酔させた犯人たちに襲われ知に助けられる中、2人を追っていた大五と将児を足止めするかのように立ち塞がり、前述の火炎放射とラッパによる酒の噴射を見舞って彼等を泥酔させ、悠々とその場から引き上げていった。
同じ拳法の使い手として敵愾心を燃やす知は、単身豆腐仙人の行方を追い、とある資材置場にて湯豆腐を肴に酒を飲んでいた豆腐仙人を発見するが、そんな知に対し豆腐仙人はいつの間にやら捕らえていた町子を人質に取りつつ、飲み比べでの勝負を持ちかける。
かくして、「ゴーマ老酒」(※)を使った飲み比べ勝負が両者の間で展開されるも、大口を叩きながらも一気飲みの末に酔い潰れて昏倒した知を前に、勝利を確信して巨大包丁で止めを刺そうとする豆腐仙人であったが、突如目を覚ました知に反撃を食らった上、差し向けたコットポトロたちも突然同士討ちを始めるという番狂わせが発生。
実は同士討ちに及んだコットポトロは、大五と将児が扮した偽者であり、知が飲んだ酒もまた彼等がすり替えていたタダの水に過ぎなかったのである。真相を知って逆上した豆腐仙人は、仕掛けてあった巨大なゴーマ豆腐で町子を圧殺しようとするが、こちらもリュウレンジャーとホウオウレンジャーの介入に遭って失敗に終わった。
直後のキリンレンジャーとの再戦では、初戦と同様に拳法同士の勝負で互角に渡り合い、さらに前述した剣術も次々繰り出してこれを圧倒せしめるが、キリンレンジャーも反撃のために麒麟瓢箪を繰り出し、その中の気力酒を勧められるまま飲み干してしまったことで、今度は豆腐仙人自身がまんまと泥酔させられてしまう。そしてその機を逃さずキリンレンジャーが繰り出した、「急性二日酔い頭痛拳」と「天時星頭痛正拳突き」というヒーローらしからぬコンボの前に、大ダメージを受けた豆腐仙人は敢え無い敗北を喫してしまった。
無論これでそのまま引き下がるはずもなく、巨大化によって二日酔いを吹き飛ばした豆腐仙人は、相対した大連王を口からの火炎放射でひるませ、さらには大王剣を奪って責め立てるなど善戦を見せるが、大王剣大放電で反撃されて剣を奪い返されると形勢は呆気なく逆転、そのまま大王剣・疾風怒濤で止めを刺されたのであった。
(※ マムシと毒草を一緒に漬け、3000年寝かせて発酵させたもの。所謂食用酒としては、かのスピリタスなどにも匹敵する90%のアルコール度を持つとされ、これを旨そうに飲み干した豆腐仙人は「五臓六腑にジ〜ッと染み渡った」と口にしている)
備考
知を演じた土屋圭輔は、一番印象に残っているゴーマ怪人として豆腐仙人を挙げており、その理由として「あの口がいい」と語っている。
作中で泥酔した人間や豆腐仙人が酔った際に歌っていた歌は酔っぱらいつながりで『帰って来たヨッパライ』のパロディとなっている。「こんな会社辞めちゃおぉ~♪」といった歌詞から始まる強烈な電波ソングは、一度聴いたら忘れられないこと間違いなしである。
デザインは篠原保が担当。元々は「キューブ男」と仮称されたノンモチーフのラフデザインから、それを実際に怪人として出すと決まった際にモチーフを決める必要に迫られ、サイコロか何かをモチーフにしようという流れで豆腐モチーフになったという。そうした事情もあってか、豆腐としての要素を強調するために追加された要素(大葉・かつぶし・ネギといった冷奴の薬味)については、「豆腐としてパーフェクト」としながらも「デザイン的にはうるさい」と後に振り返っている。
造形の段階で、デザイン画稿にあった穴開きのお玉がモチーフと思しきサーベルがオミットされている一方、前述の通り頭部にラッパが一対追加されている。
演者の城谷は、当時大野剣友会に所属していたアクション俳優の一人で、スーパー戦隊シリーズへは本作が初出演にして、2023年現在唯一の出演である。東映特撮においては本作以前にも、『10号誕生!仮面ライダー全員集合!!』で仮面ライダーZXのスーツアクターを務めた他、本作と同時期に放送されていた『有言実行三姉妹シュシュトリアン』にも複数回ゲストとして出演。同作に登場したウルトラマンも城谷が演じている。
マイティ・モーフィン・パワーレンジャー
同作では、第2シーズンの第76話(原語版、日本語吹き替え版では第75話)にトランペットマスター(Trumpet Top)として登場。作中では豆腐要素は全く強調されておらず、頭の飾りからの連想なのか、ブラックレンジャーことザックの持つトランペットが、ロード・ゼッドの魔法でモンスター化したという位置づけとなっている。
魔法による幻覚を利用し、パワーレンジャーに今まで倒した敵をけしかけ苦しめた。この幻覚として登場した敵は、いずれもパワーレンジャーオリジナルのモンスター達である。ゾードンによって種明かしされた直後に「そろそろでっかくなる時間だ」と巨大化したので、パワーレンジャーとは等身大での戦闘は行っていない。