概要
地球から遠く離れた惑星プラント(後の惑星ベジータ)に住んでいた種族。
原作漫画『ドラゴンボール』には登場せず、主にアニメ『ドラゴンボールZ』『ドラゴンボールGT』やメディアミックス作品に登場する。
しかしながら、アニメスタッフの勝手な後付設定ではなく、原作者の鳥山明が連載当初からサイヤ人の成り立ちの設定の1つとして考案していた、れっきとした公式設定である(設定のみの存在をアニメオリジナル展開で登場させたと考えた方が正しい)。
地球の10倍の重力を持つ惑星プラントに住んでいた為、身長は大人でも平均的なサイヤ人や地球人の約半分程度しかない(腰よりも低い)。
戦闘力はあまり高くはないものの、高度に発達した文明を持ち、中でも科学技術は「宇宙最先端」とも評価される優れた発明を数多く生み出した(後述)。
だが、エイジ550頃、母星である惑星サダラの消滅によって宇宙を漂流していたサイヤ人に対し、惑星プラントへの移住を許可したのを契機にその運命は大きく変わる。
当時のサイヤ人は科学は疎か、農耕文明さえ持った経験のない原始的な狩猟民族だったが、数百年の間に元来の戦闘力に加えて次第に知能をも身に着けるようになり、ツフル人の文明を取り入れて装備や服装まで一新しながら、徐々に数を増やしていく。
そして、エイジ720〜730頃にかけて、ベジータの父親であるベジータ王の指揮のもと、サイヤ人達が団結し反乱を起こし、ツフル人とサイヤ人による全面戦争が勃発する。
惑星プラントの大半を占めていたツフル人は、自ら作り出した高度な武器で迎え撃つが、少数民族でありながら好戦的で強い戦闘力を持つサイヤ人が、徐々にツフル人を制圧していく。
更に、惑星プラントにおいて8年に一度迎える満月によって、サイヤ人が一斉に大猿化したのが決定打となり、遂にツフル人は滅亡に追いやられた。その後、惑星プラントは惑星ベジータと名前を変え、ツフル人によるスカウターや戦闘ジャケット等の技術は、サイヤ人を通してフリーザ軍にも採用される事態になった(……設定だったが、現在ではスカウターも戦闘ジャケットも、フリーザ軍の科学者キコノの発明品になっている)。
絶滅前に残された科学技術で、サイヤ人殲滅兵器を開発して宇宙に放っており、下記の通りの復讐劇が行われた。尚、エイジ737に惑星ベジータを破壊したのはフリーザであるが、Dr.ライチーやベビーがサイヤ人に対する恨みを語る際に、フリーザには言及していない。
OVA『サイヤ人絶滅計画』
ツフル人の科学者であるDr.ライチーが開発した怨念増幅装置ハッチヒャックによって地球が窮地に陥るが、悟空たちによって阻止される。
ドラゴンボールGT
ツフル人の科学者がサイヤ人への復讐を果たすべく、ツフル王の遺伝子を移植して作り出した寄生生命体ベビーが登場。組織的な宇宙侵略と同時に『サイヤ人の抹殺』を計画した。1度は悟空に勝利し、一部を除く全地球人を支配下に置いたが、結局界王神の協力もあってベビーは破壊される。
ドラゴンボール超
雑誌の中で、力の大会の第2宇宙の代表戦士の中に「ツフル人が存在する」と紹介されていた。
誰がツフル人だったのかは不明。複数いるかどうかも不明。
スーパードラゴンボールヒーローズ
第6宇宙のツフル人によって作られた人工生命体のオレンとカミンが登場している。
普通の状態のツフル人が現在生息しているかは不明。
余談
……と、ここまで書けば典型的な哀しき悪役なのだろうが、作中では「ツフル人は本当に温厚な種族なのか?」と疑問に思えるような描写もある。
OVA『サイヤ人絶滅計画』におけるDr.ライチー(作中では既に故人である為、厳密にはゴーストライチー)の「命を助けてやった大恩を忘れ我らを滅ぼした、憎いサイヤ人ども」との発言に対して、ベジータは「オレたちの祖先を奴隷代わりに扱き使いやがって」と反論している。
また、ベビーはオリジナルであるツフル王と自分自身を『別個の存在』として扱っているが、ツフル王の遺伝子をベビーの雛型である細胞へと組み込む回想シーンの描写から、遺伝子どころかツフル王の肉体(存在)そのものを細胞に移植させており、この事実から厳密には両者は同一の存在にも見える。
つまり、ベビーの他者を顧みない利己的な人格や「全宇宙人のツフル人化」などの過激な思想は、生前のツフル王のものであり、生前の彼は相当な野心家かつ危険思想の持ち主でもあった……とも見れる。
これが事実だとすれば、前述したベジータの主張も強ち間違っているとは言えなくもない。
また、大昔の惑星プラントを描いた『エピソードオブバーダック』ではツフル人の存在が確認できない。
大昔のプラント星に居たのは、ツフル人とは似ても似つかぬ両生類のような種族である。
これは「ツフル人もかつてのプラント星の先住民を侵略したのではないか?」とも解釈ができるようになっている。
もっとも、一部の人物しか出ていない為、これらの解釈によっては「命を助けた温和派」と「奴隷代わりに扱き使った過激派」に分かれていたとも取れるので、一概には断言し切れない。
反論
ベビーの誕生にツフル王の細胞が使われているが、仮に『同じ細胞を持つ=同じ思考・性分になる』では、現実の『細胞がほぼ同じの一卵性双生児も全く同じ現象が起こる』暴論にもなり兼ねないので、ベビーとツフル王は別人と考えるべきと思われる。
「ツフル人が惑星プラントの先住民族を滅ぼした」解釈が仮に正解だった場合は、サイヤ人に対する恨み言もお前が言うなの話になってきたりする……が、単に両生類型種族がツフル人とは関係ないところで絶滅か移住をし、無人となった惑星プラントにツフル人が入植しただけとも考えられなくもない。
また、ベビー自身も最終的にツフル人(化した人々)さえも見捨てて、逃げ延びようする様を考慮すると、かつてのツフル王も「最終的にはツフル人を見捨てて、自分だけ生き延びたのではないか?」な見方もでき、これによってはサイヤ人に対する復讐だけでは語れない、種族内での闇があった様にも思われる。
ベジータの「サイヤ人を奴隷扱い」発言も、実際は当たり前の労働に対しサイヤ人が身勝手な逆恨みにした挙げ句『勝てば官軍負ければ賊軍』『死人に口なし』などの言葉通り、勝ったサイヤ人が負けて絶滅したツフル人に有りもしない過去を捏造した可能性もある。
そもそも、サイヤ人全体にまともな情性の持ち主がほぼ存在しない(『種族に対する帰属意識』は高いが『家族・血族を尊ぶ交情』が皆無に等しい、フリーザ軍に降る以前から種族全体で地上げを行うetc……)以上、ベジータの発言自体が信頼に足るものではないのも事実である。
総括
Dr.ライチーの事例があるからとしても、ツフル人全体にヘイトを向けて良いものではない。Dr.ライチーの行為自体も滅ぼされたツフル人を思っての行為でもあり、一概に悪では片付けられない(だからとしても、反乱に関わっていない悟空まで巻き添えにするのはお門違いである)。
どちらかを悪と決めつけるのではなく、ツフル人側とサイヤ人側双方から話を聞き解決を図るのが望ましい。