CV:三ツ矢雄二(Z、改、神と神)、太田真一郎(GT、超、DAIMA)、小林由美子(DAIMA・ミニ時)
概要
東西南北の銀河を治める界王や彼らをまとめる大界王より更に上位に位置する神。
界王と同じく東西南北4人の界王神がおり、この東の界王神はその内の一人。
作中で単に「界王神」と言えば彼のことを指す事が多く、各作品等でキャラ紹介される際も基本的には「界王神」で紹介されている。ただし厳密には役職名であることから、彼個人を指す際にはより詳細な項目名の「東の界王神」が使われることがある。さらに『超』において複数の界王神が登場した際に、原作で名乗っていた(偽名の可能性もあった)「シン」が本名であることが判明し『超』関連ではこの名前で扱われていた。
かつては4人の界王神とそれらをまとめる大界王神の5人体制であったが、約500万年前の魔人ブウとの戦いで、他の4人はブウに吸収・殺害され、最も若く未熟だった東の界王神だけが生き残った。その為、事実上、彼が現在の最高神。
また物語の中盤から彼らの先祖でもある15代前の界王神(通称・老界王神)が復活するが、そちらはいわゆる隠居的な立場となっており、代わらずシンが現役の界王神である。
『神と神』以降の展開では、シンと対をなす神「破壊神ビルス」の登場や、彼らの管理する宇宙は全12宇宙ある中の第7宇宙である事が明らかにされた。それにより、それ以外の他の宇宙(第1~12)を管理する界王神と破壊神や、彼らの頂点に立つ全王やその付き人大神官の存在が登場し、彼と同格、または更に上位の存在が明らかになった。
登場はしていないが恐らく他の宇宙にも界王や大界王も存在すると思われる。(後に別の宇宙の界王が敵として登場。)
ただし、他の宇宙の界王神は基本的に一人である(第7宇宙の大界王神に相当する。ゴワスとザマスの様に後継への引き継ぎのために一時複数名居る事はある。)ため、ブウの出現以前、何故(大)界王神に対し四人も補佐の界王神が必要だったのかについては釈然としない。(第7宇宙は破壊神がサボり屋のため本来破壊神がやる業務を分担でやる必要があったのかもしれない。)
ちなみに地球の神とピッコロ大魔王の関係を知っており、ピッコロの心を読んだか事前に調べたと思われる。
神物像
外見は地球人に比較的近い構造だが、青紫の肌に尖った耳など、亜人的な身体的特徴を持つ。
髪型は白髪のモヒカン、瞳はハイライトのない黒眼で、登場初期のみその不明瞭な素性と相まってやや不気味な雰囲気を醸し出していた。
低身長で体格も華奢であり、一見少年のような印象を受ける。
神らしく真面目で温厚、柔和な性格。
ただし物語が進むにつれ、詰めの甘い部分も露見しており、自ら講じた策が裏目に出てしまうことも多く、終盤には予想外の出来事に驚愕・動揺するなど頼りない姿が多くなった。更には潜在能力以上の力を引き出すとされるゼットソードの伝承を誤解して伝えてしまったり、自らも身に着けているポタラの効能も不認知であったりなど、何処か抜けたところがある(なお、こうした宇宙に関わる物事についての解説役は、後に復活した老界王神にお鉢が回されてしまった)。
物語を通して見ると何の役にもたっておらず、ベジータからは「本来なら途轍もない奴である筈の界王神を一度でも凄いと思ったか? 逆に界王神の方が面喰らっていただろう。界王神から見れば恐ろしい魔人ブウでも、オレ達からすればそれ程でも無かったって事だ…」と魔人ブウの恐ろしさが認識されない事態に…。なんなら治癒や瞬間移動の能力があるキビトの方が遥かに活躍している。
ただ、こうした点は彼自身の不勉強以外に、教導するはずだった他の界王神や大界王神が死去してしまった事もある。漫画版『超』においては、そもそもブウの対処自体はビルスが行うべきものだったことまで判明している、また、『超』漫画版四巻に収録されている一枚絵を見る限り、どうも師匠である大界王神の吞気な性格や指導に問題があった節もある。
それでも性格自体にどこか楽観的なところはあるようで、全王の存在(または顔)を知らず、初めて謁見した際には「誰です? あの微妙にイラッとする顔をした子供は?」と失言していたことから、界王神の基準に当てはめても若く未熟な部分があると思われる。
悟空たちの実力は素直に認めている反面、老界王神が我が身を犠牲に悟空を生き返らせようとした時は「界王神が人間の為に命を捧げるなんて」と止めに入っている。言い方は悪いが、このことから「神」を「人」の上に置いているようである(他にもフリーザ程度一撃で倒せると言っておきながら放置していたりする)。悟飯がスポポビッチたちに襲われることを見越して利用したのも、それに近い意識があったからなのだろう。
アニメ『Z』217話では、スポポビッチに蹂躙されるビーデルなど気にした様子もなく、悟飯が超サイヤ人になったのを見てキビトと一緒に微笑を浮かべている。
とはいえ各ゲーム作品や『超』などでは人間への対応も礼儀正しいものになっており、認識も大分変ったのかもしれない。
また、悟空を生き返らせる必要のある事態の重さは理解しており、迷いなく自分の命を捧げることを口にしており、時に自分の身体を張ろうとする、もしくは実際に張ったシーンは原作やそれ以外でも見られることから、老界王神と同じく犠牲心の持ち主であることが窺える。この辺りが彼との大きな違いなのだろう。
また、原作終盤からは予想以上に破天荒な悟空や、トボけた性格の老界王神に次第にペースが乱され、彼らに振り回される苦労人ポジションとしてコミカルな描写が増えた。
『超』でも同格となるビルスに性格面等から下に出ており、そのビルスにもコミカルな面が増えたこと、彼より上の立場の存在が増えたこと、『DAIMA』でも大魔界の未知の部分やそこをあまり気にしない悟空にツッコミを繰り返し、初期の不遜にも見える態度はすっかり見られなくなった。
その一方で、『DAIMA』ではグロリオの発言の矛盾や態度から彼を怪しみ、探りを入れるというクレバーなところも見せている。
『超』からはブウのような脅威に本来対応するはずの破壊神の登場、ほかの宇宙の様々な姿勢の界王神が登場しており、界王神としての職務柄、担当する第7宇宙の人間レベルに対しては、「人間自身の努力でレベルが上がらなければ意味が無い」と見守るスタイルである(第10宇宙担当のゴワスもほぼ同様の捉え方)。それゆえに彼の界王神としてのスタンスはあまり自分から介入しないタイプ。
戦闘能力という視点は持ち込んでいないので各惑星の戦闘力の高い人物までは把握しておらず、人間同士の争いにも介入することは稀。
仕事をせずに眠ってばかりのビルスと共に、悪く言えば放任気味で、悟空たちが度々悪人と戦うことになるのも、第7宇宙が下から二番目という順位の低さなのも彼らに原因は少なからずあるのだろう。
悟空たちからは戦闘力の低さ(第七宇宙という宇宙の単位から見たらかなり上位だが)からあまり頼りにされないが本人自身は自分の実力にある程度の自信を置いており、戦闘面で頼りにされない悟空たちからの扱いには前述の不遜さが見られなくなってからも不満を抱いている。
『超』及び『DAIMA』で詳細は異なるが、キビト界王神の合体解除の理由を「何だか変な感じ」「キビトはおじさんだから」と答えており、あまり歓迎していない様子。
能力
過去に他の界王神たちと共に魔人ブウに戦いを挑んでいるが、その中では最も非力であったとのこと。それでも神と融合したピッコロが「次元が違う」と戦うことなく棄権する、復活した魔人ブウに打ちのめされても瞬殺はされておらず、悟飯を戦闘不能に追い込んだブウの気弾を眼力で破壊する等の描写から決して戦闘能力は低くない。
なお、ブウの脅威度を説明する際に「界王神ならだれでもフリーザを一撃で倒せる」と自己申告している。
しかしながら、超サイヤ人2に対して自分の力を大きく越えているという発言をしたり、ダーブラから見下されていることから、よくてセル通常完全体と同じくらいか、それよりは弱いと推察出来る(つまり、人造人間編の頃の悟空達くらいのレベルと考えてよいと思われる)。
その他、作中ではテレパシーや読心術(悟空との再戦を望んであえてバビディの洗脳を受けた際のベジータの真意までは読めなかった)、金縛り、物質出現など、様々な特殊能力を使用している。瞬間移動術である「カイカイ」は「キビトの得意な技術」と説明されているが、界王神も出来る。セリフのせいで勘違いされがちだか、瞬間移動の初披露は界王神が界王神界に悟飯を連れて行った時。界王神界から他の星々まで自由に移動することができる。気に頼らず居場所を特定して自由に移動できるという点は、瞬間移動の上位互換と言える。利点としては、悟空が「こんな一瞬じゃ瞬間移動できない」という状況でも即座に瞬間移動が可能。
『超』ではカイカイを使用しており、天使であるウイスが片道2日かかる全王の宮殿へ瞬時に移動できる。
なお、目下にあたる界王やバビディが使っていたような「声を大勢の人に届ける」ようなことはできない。
前述したキビトの回復も漫画版『超』によれば界王神をサポートするための能力であることから、かつては使えたが失われている。
過去
出自
『DAIMA』で判明したのは元は大魔界・第1魔界出身の「グリンド人」という種族。
その後何らかの経緯から界王神になり、大魔界を離れた模様。
漫画版『超』では界王神になる前は大界王神の付き人を務めていた。
本作の設定としてキビトを始めとした従者は界王神をサポートするための復活パワーがあり、彼自身もこの頃は使えたが今はなくしている。
界王神になってから
500万年以上前は大界王神を中心とした東西南北を司る界王神が存在しており、シンは東の界王神を務めていた。しかし宇宙の破壊者である魔人ブウの出現によりわずか数年で数百の星が破壊されるという事態が起きる。魔人ブウに挑んだ界王神たちは次々と殺され、あるいは吸収されてしまう。シンは最も若く非力だったがかろうじて生き残り、地球にやって来たビビディが魔人ブウを封印した直後に逆襲し、ビビディを倒す。そして魔人ブウの封印はそのまま地球に残された。
ちなみにシンが戦ったのは、大界王神を吸収した形態のブウ(無邪気)である。シンが生き延びたのは単に運が良かったからなのか、それとも大界王神たちの意思がわずかでも働いたのか。今となってはわからないことである。
活躍
初登場は、「魔人ブウ編」。
「シン」という名義で第25回天下一武道会に出場し、付き人のキビトと共に魔人ブウの復活を目論むバビディ一味の動向を探っていた。その中で、同じく大会に出場していた孫悟空とその仲間たちに接近。元・神であるピッコロは当初から彼の異質性を感じ取っており、普段見せないような動揺をしていた。
ピッコロの試合では戦闘は行わず雰囲気だけで圧倒し「次元が違い過ぎる」と感じさせ棄権させた。本来ならクリリンと戦うはずだったのだが……。
アニメ版『Z』第215話では、ピッコロ視点により全身から黄金の気を放つという姿が描かれ、ピッコロの圧倒ぶりが深く描かれた。(飽くまでもピッコロにはそう見えたという描写である。)
バビディの手下であるヤムーとスポポビッチに孫悟飯のエネルギーを敢えて吸収させるため、悟飯を金縛りにかける。エネルギーを回収した二人の逃走後、自ら正体を明かすとともにZ戦士たちに協力を要請。アジトに戻る彼らを追跡してバビディの居場所を突き止める。
魔人ブウの復活後は、強力なブウに対抗させるべく孫悟飯を界王神界へ招き、潜在能力を引き出すとされる伝説の剣“ゼットソード”を抜かせる。しばらく修行を続けている間に、あの世に戻ってきた悟空とも合流。超重量の剣を自在に扱えるようになった悟飯に対し、悟空がその切れ味を試そうという話に乗り、宇宙で最も硬いとされる金属「カッチン鋼」の塊を出現させ、悟空と悟飯に試し切りをさせる。
しかし剣は真っ二つに折れてしまい、唖然とする面々の前に自身の先祖である老界王神が復活する。彼から伝承が間違っていることを知らされ(正確には剣に封印されていた老界王神が潜在能力を解放させる術を持っているとのこと)、以降は対魔人ブウの全体的な指示司令役を先祖に奪われてしまった。
その後、悟飯が魔人ブウに追い詰められた際に老界王神が自らの命を犠牲にして悟空を生き返らせようとすると「人間のために界王神が犠牲になるなんて」と止めに入り、代わりに自分の命を悟空に渡そうとする。しかし老界王神から穏やかに諭され、その最期を見送った。
……が、直後に老界王神が復活したため色々と台無しになった。
老界王神が界王神に代々伝わるイヤリング「ポタラ」の説明の際、彼から試しに身に付けていたポタラをキビトに付けさせるように提言され、合体(キビト界王神に変身)してしまう。瞬間移動能力(カイカイ)と回復能力を継承し、戦闘力も格段に上がり「これなら一緒に魔人ブウと戦える」と気を良くするが、老界王神からは「元が大したことないんだから吸収されるのがオチ」と窘められている。
『ドラゴンボール超』
長らく(作中の期間では5年程度)キビト界王神の姿のままだったが、アニメ『ドラゴンボール超』で、ナメック星のドラゴンボールの力でようやくキビトと分離することができた。
漫画版ではナメック星にドラゴンボールを返却する際のついでに行った。
「“未来”トランクス編」
未来トランクスのいる並行世界においても同じくバビディ一味が魔人ブウ復活のために暗躍。その対処に未来トランクスを頼ったことが語られた。
最終決戦では、第10宇宙の界王神ゴワスと共に第7宇宙の未来の世界に現れ、悟空とベジータに自らのポタラを貸し与え、ベジットブルーの出現に協力した。
漫画版『超』
アニメではセリフのみの出番だったが詳細が描写される。この世界で唯一の戦士であるトランクスを正式に界王神の弟子として迎え入れて共に彼らと戦い、その最中に非業の死を遂げた。
最後の戦いではバビディを倒そうとするがダーブラの火炎弾の直撃で重傷を負い、さらにバビディの魔術で首を捻りきられそうになるも超サイヤ人2となった未来トランクスに救われ、瀕死の中、悪足掻きとしてダーブラの動きを金縛りで止めて未来トランクスの勝利に貢献、決着がついた後に命を落としていた。
ゲーム『カカロット』ではより詳細が判明。トランクスと手合わせしたり(この時カッチン鉱を相手に飛ばす技を使用していた)、彼の記憶の中で一番強い人物を(正確には異なるが)実体化させる能力で彼の修行を手助けした。トランクスの覚醒のトリガーともなった。
同時に、一蓮托生の因果から破壊神ビルスも死亡し、未来の第7宇宙は界王神も破壊神も不在という悲惨な状況と化した。
さらに時の指輪を使って未来におけるザマスの悪行を単独で確認してビルスがザマスを破壊する証拠を得る、独断でゴワスと共に未来世界に渡り未来トランクスの窮地を救い界王神界で養生させるなど活躍の場が増えている。
また、彼もザマスのようにかつては見習いとして大界王神に師事し、後に認められ界王神として正式に昇格した事が明らかになっている。
救援に来たものの界王神の弟子が持つ復活パワーが消失していることから何もできずに悔やむセリフが、結果として悟空たちに逆転のチャンスを与えることになった。
宇宙サバイバル編
自分より上の全王たちへの対応に振り回され、それに伴ってビルスと老界王神と共に度々うろたえることになる。
力の大会では始終第7宇宙の界王神として悟空達の戦いを声援していた。
スーパードラゴンボールヒーローズワールドミッション
メインストーリーには登場せず番外編であるゼンの冒険編にて登場。
地獄で死者が蘇るという事態が起きたため、悪人たちが現世に出現する地点を探索していた。するとゼンと時の界王神に遭遇。二人も異変の調査をしに来ていたので、そのまま合流することに。
同じ界王神でも時の界王神の方が上のようで、彼女に対しては終始敬語敬称で接している。
そこへターレスやヒルデガーンといった劇場版に登場した悪役たちが復活する。実は彼らを復活させたのは、バビディとビビディの親子の仕業だった。二人とも異変の影響によって復活していたのだ。悪人たちはビビディによって洗脳され、更なる力を与えられていた。
絶体絶命のピンチに陥るが、そこへ同じく異変によって復活した大界王神、西の界王神、南の界王神、北の界王神が駆けつける。総力を以って悪人たちを撃破し、魔術師親子もゼンと界王神たちの同時攻撃で消滅した。
異変の原因だったバビディたちが消滅したことで、大界王神たちにも消滅の時が迫っていた。ゼンは憧れの界王神である彼らに手合わせを申し込む。続けて東の界王神もゼンとの共闘を申し出るが、大界王神から「立派な界王神の一員としてゼンと戦いなさい」と告げられ、界王神の一人としてゼンに勝負を挑む。
戦いが終わった後、東の界王神の成長を感じ取った大界王神から「これなら安心して宇宙を任せられる」と告げられた。
そして、
「短い間ですがあなたの成長が見れてよかった。私たちはいつもあなたを見守っていますよ」
その言葉と共に大界王神たちは姿を消し、残された東の界王神は未熟ながら努力を続けることを誓うのだった。
ドラゴンボールDAIMA
本作ではメインキャラとして登場。
ベジットが魔人ブウ(悪)の体内で分離したことにヒントを得て、善のブウに一旦取り込まれ吐き出させることでキビトとの分離に成功している。
トランクスの9歳の誕生日を祝うパーティーに出席していたが、ゴマーの願いによって人間換算で小学1年生ほどの姿に変えられてしまう。この事態に故郷である大魔界と弟のデゲスが関与していることを知ると、ナビゲーション役を兼ねて孫悟空(ミニ)に同行し大魔界に赴く。
その一方、協力者として名乗りを上げたグロリオのことを怪しんでおり、悟空にも警戒するよう釘を刺している。
その他
アニメ『ドラゴンボール超』の追加設定
各宇宙の界王神は、同じ宇宙を管理する破壊神と生命を共有しており、片方が死ぬともう片方も死ぬという一蓮托生の関係にあるという。ただし、力の勝負ともなれば破壊神の方が上であり、さらに相手が破壊神の中でも特に癇癪持ちのビルスであることから、彼や老界王神はビルスに対して機嫌を損ねないよう敬意を払って接している。
ただし、『力の大会』直前の全覧試合では、相手がビルスでも言い返すべき時は真っ向から反論しており、ビルスの側も理があると判断すれば忠告や進言を素直に聞き入れており、近年では一方的な力関係という訳でもないことが窺える。魔人ブウが勝った時は喜びのハグしてるし。