CV:江川央生
概要
魔人ブウ編に登場した悪役キャラクター。
ヤムーと同じくバビディに操られていた地球人。筋骨隆々の大柄な体格に血走った目、血管の浮き上がったスキンヘッドと、かなり人外じみた容貌だが、れっきとした人間である。天下一武道会に出場していたジュエールとキーラの回想によると、以前の大会(バビディに洗脳される前)では長髪に無精髭を生やしており、吹き出しに以前の姿が登場している。
バビディの洗脳により大幅に力を上げ、エネルギー弾や舞空術も可能になった。これらの処置の影響か、常に興奮して荒く息を吐いている(アニメ版では頻りに歯ぎしりまでしている)。
ただし同僚のヤムーにはこういった面は見られない。
天下一武道会の参加選手として初登場し、一回戦にてビーデルと対戦。
首の骨が折れても何事もなかったかのように復活するタフネスにより、ビーデルの猛攻を耐え抜き、ほぼ1話まるごと使ってビーデルを嬲り物にした(ビーデル自身が降参しなかったことも大きい)。
その後、超サイヤ人に変身した悟飯のエネルギーを吸収して逃げ去るが、界王神らに尾行されたため、バビディに用済み扱いされて処刑される。
ヤムーともども終盤のドラゴンボールの願いで生き返ったかは不明。
アニメ版
アニメ版『ドラゴンボールZ』(以下『Z』)では216話~217話にかけてビーデルと対決。
既にズタボロのビーデルに対して顔や腹を殴りまくったため観客から不興を買っていた。
後に場外負けになりかけたビーデルをわざと助け、文字通り遊びのためにステージまで投げ飛ばしている。
その後もいたぶり続け、顔面に膝蹴りを入れて鼻血を出させるなど凄惨な展開を繰り広げる。
その残虐ぶりは、温厚篤実な優等生の孫悟飯が「許さんぞあのくそ野郎!!」と口汚い罵り文句とともに超サイヤ人化するほど。
これでもルールの範疇であったため、この衆人環視の暴力ショーはヤムーに咎められるまで続き、最終的にビーデルを場外に落とし勝利した。
格闘技の力量差では早い段階で勝負が決まり得たが、ビーデルがなまじ舞空術が使えたため試合が長引き、嬲られる時間も増えてしまうという皮肉な展開となった。
ちなみに、ビーデルが痛めつけられる前の試合序盤時点で悟空は生気を感じないスポポビッチの異様な様子から「棄権した方がいい」と警告していた。
『Z』本放映当時、連載中の原作に追いつかないよう各話で引き伸ばしがされていたことは有名だが、このスポポビッチ戦も例外ではなくゴールデンタイム2話を使って動けないビーデルをひたすら殴る蹴るという、現在ではとても放送できないだろう内容をやっていた。『Z』を再編集した『ドラゴンボール改』では半分以下の試合時間になったものの、日曜日の朝にリョナシーンがお茶の間に流れることになり、こちらもちょっとした話題になっている。
続く218話では彼の過去が語られ、ミスター・サタンと戦い敗北するアニオリ回想シーンも描かれている。
かつて悟空達が参加しなくなった天下一武道会にて、サタンはスポポビッチと決勝で対戦。その際にサタンはスポポビッチに対して格下と見下し、逆上したスポポビッチはその巨体とパワーで猛襲するも、当時全盛期のサタンは難なく交わし、後頭部への飛び蹴り一発でスポポビッチを場外負けさせ、サタンは優勝する。
この件で武道家としての誇りをズタズタに引き裂かれ、サタンに対して激しい憎悪と復讐を抱いていた所をバビディに付け入られて術中に嵌ってしまう……というもの。
つまり、ビーデルへの過度なまでの仕打ちは父親・サタンに対しての当てつけだったのだ。引き伸ばしの一環ではあるが、キャラクターの掘り下げが行われたとも言えるかもしれない。
ゲームでは
近年では『ザ ブレイカーズ』で一時的に話題となったが、もちろんそれ以外のゲーム作品にも出演している。
『ザ ブレイカーズ』
戦闘力5のサバイバーvs強敵レイダーがコンセプトの非対称型アクションゲームドラゴンボール_ザ_ブレイカーズではレイダー魔人ブウの第1形態扱いでまさかの登場。
まずは魔人ブウ復活のエネルギーを索敵・回収役のヤムーと共に集める所からスタートとなり、如何に手際よくブウへと交代するかが鍵となるキャラクター。
……と思いきや、発売直後時点では気弾の連射性や弾速に優れており、「ブウへと進化せずにスポポビッチのままひたすら気弾撃ってた方が強い」という戦術・評価が確立されていた。(他のレイダーはレベルが上がると強制的に形態変化が行われる、というより行わない理由がない筈なのだが、スポポビッチはブウの封印球に集めたエネルギーを注入しなければならない為、それをしなければ開始から終了までずっとスポポビッチのままで居られる)
ドラゴンボールを集めてレベル4変身をしても、ドラゴンボールの性質上一人しかなれない為、一部の強キャラをレベル4にされた場合や、パーティを組んでいるなどで連携してレイダーを討伐しに来られた場合以外ひたすら気弾引き撃ちするだけで30秒以内に、ほぼノーダメージでレベル4サバイバーを始末できるほどに強く、レベル1レイダーの持っていていい戦闘能力ではなかった。(セルやフリーザ、ブウ無邪気以降ではレベル4サバイバーは、レイダーが手痛いダメージを負わされ、それが後を引きそのまま討伐ENDもありえるほど強力なユニットなのだが、これをただ引き撃ちするだけで討伐するのはあまりにオーバースペック)
挙句そのスペックのレイダーが変身レベル0やら1やらで反撃どころか逃走もままならず、鍵集めすら進んでいないためサバイバーがあちこちに散らばってしまっている開始直後の最序盤から積極的に襲いかかってくる。
結果必要分だけエネルギーを吸収するという本来の目的をガン無視して「オレだー!」と叫びながらサバイバーを倒してまわり、「楽な仕事だったぜ」と言いながら全滅させるスポポビッチが各地で見られた。
一応なんとか変身レベルを2以上にまで上げれば格闘マウント(レベルが格下の相手と格闘がかち合うと高い方が優先される)が取れるため一方的に殴り続けられる弱点はあるが変身時間には限りがあるため、結局サバイバーに非常に厳しいバランスになっていた。
なおレイダー勝利時にはレイダーによる惑星破壊演出があるが、セル幼虫は強制的に第1形態に進化して行うのに対しスポポビッチの演出はちゃんと魔人ブウと別個に存在している。
そのため上記の環境も相まって惑星破壊するスポポビッチが蹂躙跋扈する事態に。
しかし2022年11月11日にはアップデートにて下方修正が実施され、気弾の性能が威力・射程・判定・弾速とほぼ全ての性能低下という念入りな調整が施された。元々ブウは「ハイリスク・ハイリターン」というコンセプトであると告知されていたため、コンセプト通りになったといえる。
「セルやフリーザやブウを差し置いてスポポビッチナーフ」という字面がウケたのか、当時は話題になっていた。
その後に何かと因縁のあるビーデルのスキンが実装されたため、現在ではサバイバーがビーデルの恰好になりながらスポポビッチをタコ殴りにする光景も見られるようになっている。
その他のゲーム作品
『スーパードラゴンボールヒーローズワールドミッション』ではヤムーとともに登場。こちらではグレートサイヤマン3号からエネルギーを奪い取ることに成功し、ダーブラと合流してビートたちと戦うことに。
『ドラゴンボールSperking!METEOR』『ドラゴンボールZENKAIバトルロイヤル』では、スポポビッチが登場するため、CERO:Aながらビーデルに対してのリョナを再現可能。
『ドラゴンボールヒーローズ』のPVでは、天下一武道会の会場でパンに打ちのめされている。これにより、ゲーム媒体では親子三代に渡ってスポポビッチと対決したことになる。
リョナ界隈への影響
前述の描写から、リョナ系コミュニティにおける認知度は極めて高く、Pixivでも彼が(ビーデル以外の)女性キャラクターを痛めつけているイラストも見られる。「ドラゴンボールの一キャラクター」という認識を超えて(良くも悪くも)ある種の象徴と化していると言えるだろう。当時世代のリョナラーにはリョナ嗜好に目覚めたきっかけとして「対戦格闘ゲームの隆盛」と並んで「スポポビッチ対ビーデルの試合」を挙げる者が少なくない。もちろん、「ドラゴンボール」という作品全体の読者・視聴者に対する比率としてはごく限られた人数だが。
特に近年では前述の『ザ ブレイカーズ』初期環境での暴れぶりと弱体化の方が遥かに印象の強いDBファンも多いだろう。
海外では「リョナ」を意味するジャンル名に「Spopovich(スポポビッチ)」と定着してしまったという話がネット上では見られるが、真偽は不明。というかかなり怪しい。
少なくとも現時点では海外でも「ryona」として定着しており、例えばpixivやyoutubeでSpopovichと検索しても普通にスポポビッチ関連しか出ない。ツイッターで「スポポビッチ 海外」と検索すると2011年頃まで遡ってそういった内容のツイートが存在するものの、明確な情報源に言及されたものは特に見当たらない。今となってはその起源が単なる冗談だったのか、あるいは「釣り」だったのか、はたまたもっと別のなにかだったのかは完全に謎である。
具体的に海外に「ryona」という呼称が定着した時期は不明だが2000年代後半には使われていた様子。日本で「リョナ」という言葉が誕生するまでの2000年代前半まで「Spopovich」が使われていたという可能性はあるが現時点ではこれといって裏付けとなる根拠は見つかっていない。仮にもしそうだったとしても、ryonaという新語に取って代わられる程度でしかなかったとも言えるだろう。