曖昧さ回避
概要
サンライズ製作のロボットアニメ「装甲騎兵ボトムズ」に登場するメカ”アーマードトルーパー”の影響を色濃く受けている。
後述の通りパーツが非常に多彩なため一概には言えないが、オーソドックスな人型構成の全高はおおむね5~6m。動力は燃料電池と水素エンジン。各部の余剰熱を動力に回収するシステムを持ち、稼働時間は外観の印象以上に長い。また、後述のような理不尽な火力がないため意外に生存性も高いようで、撃破されても生存率は高め。重要イベントが起きない限り仲間が死亡離脱することはないし、 死んだと明確に描写されてない限り敵が後のMAPで再登場という例もしばしば(OCU側のシナリオで戦死したと思われたキャラクターがUSN側のシナリオでしれっと再登場しそのまま加入する例も)
武装はライフル、マシンガン、携行ミサイルなど現実の歩兵の手持ち武器の大型版で、光学兵器や電磁兵器のような近未来的なものは一般化していない。
基本的な性質は歩兵の強化版で、広々とした場所では戦車に負ける。一方、市街地・山岳・ジャングルのような障害物過多な現場では最強と言って過言ではない。また、空挺降下するのに最適でもある。
作中設定
2020年、ドイツのヴァンデルシュタイン大学とシュネッケが共同開発した特殊車両WAW(ヴァンダー・ヴァーゲン:歩行車両)がその始祖である。
【人間と同じ動きをする機械】を目指して研究されてきたWAWは、軍や兵器産業の意向を受けて兵器に転用。コストダウンを図るために、パーツの統一規格(MULS)が設けられ、2034年のアフリカ紛争(オルタナティヴの時代)に実戦投入された。
そこで、兵器のとしての有効性を見せつけ、戦闘用WAW開発が一気に加速。各国のメーカーが次々と参入し、2040年に各社はWAWの新規格(MULS-P)を発表。新規格により更なるコストダウンに成功。WAWは新たにWAP(ヴァンダー・パンツァー:戦闘歩行車両)として、軍事機動兵器の主役となった。
ヴァンツァーの最大の特徴は、MULS(Multi-Unit-Link-System)規格にある。
シュネッケとディアブルアビオニクスが共同提案したこの規格は、WAWを胴体(Body)、腕(Arm)、脚部(Leg)、制御コンピュータ(COMP)に分割し規格内で開発されたパーツなら、どのメーカー間で組み合わせても動作するというものであった。現実世界で言えば、PC-AT互換パソコンの自作に近い感覚であろう。
この規格化は多くの中規模以下メーカーの参入を促し、WAWのコストダウンと市場の形成へ導いた。
後に大型化されたMULS-P規格(PはPanzer、ドイツ語で装甲→戦車を意味する俗語)の導入とともに、ヴァンツァー(WAP)は兵器のひとつのカテゴリーとして確立した。
普及とともに、腕や胴部に固定武装を備えるものや、逆関節レッグ、多脚、ホバー、従来型車両同様にキャタピラやタイヤ走行など人型機に限らない広範な形態・機能を実現。ヴァンツァーは従前の用途別の戦闘車両群を少なからず包摂し、さらに普及を加速させることとなった(これもモバイル端末の普及・汎用化がさまざまなデバイス群の機能を吸収したことに類似の構造である)。
MULS規格の利点は、
1:多数メーカーが参入した事でパーツの展開が広がり、多様なカスタムが可能
2:価格競争によるコストダウン
3:整備・修理が簡便になる
とりあえず、カスタムで指定したものでなくとも空いたパーツをくっつけるだけで動く。最悪、中大破した機体から無事なパーツを剥ぎ取ってくっつけても動くのだ。これは、混乱が続くアフリカ大陸やハフマン島の戦場で何物にも勝る利点だった。1STでは、明らかにパーツ寄せ集めの機体で撤退する敵部隊を追撃する任務があったほど。
一方、戦場で破損した機体から適当にパーツを剥いで組み合わせるだけでも動くものが組み上がるため、非正規武装組織の装備としても有用である。これは後の第二次ハフマン紛争で問題となる。
シリーズ本編に登場するヴァンツァー
※事典内リンクが付いているヴァンツァーは、それぞれの項目を参照。
※『ガンハザード』に登場するヴァンツァーはガンハザードを参照。
ジェイドメタル・ライマン製。汎用性に優れ、主にOCU軍の主力機として活躍。
シリーズの顔であり、スクウェア・エニックス”フロントミッション・プロジェクト”
のシンボルマークとして親しまれている。
ディアブルアビオニクス製。重装型のヴァンツァー。USN軍の主力機として使われ、
特に ”地獄の壁”や”ウォルター・フェン”などのエースパイロットが乗り込んでいた。
イグチ社製。「フロントミッション3」にて武村和輝の相棒である
草間亮五が最初に乗り込む機体。
「フロントミッション5th」では、ガンナー向きの機体として登場。
- グリレゼクス
シュネッケ製。「フロントミッション3」にて、大漢中軍特殊部隊”呉龍”のリーダー、
ルドルフ・カイザーの愛機として登場。他のシリーズ作品でも強力な機体として登場している。
因みに、DS版「フロントミッション1ST」に登場する”イーゲル・アイン”はグリレゼクスの先輩機。
- 90式
第2次ハフマン紛争時に投入した、"バイオニューラル・デバイス”搭載の実験型のヴァンツァー。
バイオニューラル・デバイスとは、人間の脳髄が使われている生体CPUであり、
デバイスの暴走でヴァンツァーが突然、拒絶反応を起こして暴走したり、行動不能に陥る恐れがあった。
開発元のサカタインダストリィはバイオニューラル・デバイスの実験材料を集めるために、
OCU、USN、ザーフトラ共和国と共謀して、第2次ハフマン紛争を引き起こす。
後にこれはサカタインダストリィ事件と呼ばれる事になる。
サカタインダストリィはこの事件の発覚後、経営が悪化。イグチ社に吸収された。
90式は「フロントミッション4」にも登場し、健在ぶりを見せている。
- 嫌なヴァンツァー
吉田戦車社製(シュネッケとの共同開発)。「フロントミッション2nd」に登場。ファンに付けられた通称ではなく、これが正式名称である。
外見とは裏腹に、後述するレイヴンに並ぶほどの超強力な機体。専用の格闘腕部の他、重量ゼロ&弾数無限の対空ミサイル「おたけさん」を装備している。ランニングコストが異様に高いことが欠点。
- Type 11 DS(レイヴン)
サカタインダストリィ&ドミトーリ公社製。「フロントミッション1ST」に登場。
ロイドのライバルであるドリスコルの愛機で、バイオニューラルデバイス対応機。通常のヴァンツァーよりも大型の機体であり、専用の武器内蔵腕も数種用意されている。最終ミッションではS型デバイスの転換手術を受けたドリスコルが乗り込み、巨大兵器ミール・オルレンの中枢として内部に格納されている。
2090年の第2次ハフマン紛争の際に実戦で使用され、キャニオンクロウによって破壊されたと思われていたが、試作機は複数存在していたようで、後の時代となる一部シリーズにも登場しているのが確認できる。
「フロントミッション2nd」ではある条件を満たす事でプレイヤーが入手し、自軍のユニットとして使用できるようになる。