ズァーク
ずぁーく
「俺は……期待に応えただけだ、もっと強く……もっと激しく戦えという!!!」
概要
ローマ字表記:【Z-ARC】
かつて4つの次元が分断される以前に有った赤馬零王の故郷に当たる『ひとつの世界』、そこでデュエルの世界の頂点を極めたデュエリスト。
そして、遊矢に顔が似ている4人の所謂オリジナルに相当する。
容姿
髪が逆立っており、色は灰色の髪に緑のメッシュが入っているが前髪はユーリと似ている。
服装は、少々変わったデザインのベージュのズボンに白が基調のジャケット、茶色い手袋をしている。
デュエルディスクは『ひとつの世界』で使われている汎用タイプだが、他の次元のものとは全く違うデザインとなっている。
年齢は不明だが、その見た目からおそらく遊矢達より年上と思われる。
遊矢に顔が似ている4人の基になっただけはあり、遊矢達に似た顔立ちをしている。
違いと言えば、年上である事でやや大人びているくらい。
人物像・性格
作中では零王の語る人物像しか語られていないが、一番はっきりしているのは「周りからの期待に応えたい」という想いに「デュエルの世界の頂点に立つ」という夢を持つ一介のデュエリストであった事。
しかし、ある事を切っ掛けにその想いは歪んでしまい、観客が求めるのであれば危険な行為に躊躇う事無く敢行する「悪魔」へと変わってしまった。
来歴
元々は一般的なデュエリストであったが、「リアルソリッドビジョン」の発展で活性化したデュエルの世界で瞬く間に人気者になった。
その姿は「モンスターと共に地を駆け、宙を舞い、フィールド内を駆け巡る」そのもの。
彼曰く「モンスターの声が聞こえる」らしく、モンスターとの高い連携もそのおかげらしい。
そんな彼にある転機が訪れた、そしてそれが破滅への始まりとは誰も想像しえなかった。
ある対戦中に事故が発生、その事故で対戦相手に重傷を負わせてしまう。
だが、会場の観客は最初こそ驚き、ズァーク自身も動揺していたが、その声はすぐさま歓声へと変わったのである。
その時から彼の歯車は大きく狂っていくことになった。
もっと激しく、もっと力強く、もっと興奮を求めるようになった観客。
その態度を見て気を良くしたズァークは更に激しいパフォーマンスで魅了し始めた。
彼に刺激された者達は先駆者の彼に負けまいと危険を顧みることなく彼を越えるべく邁進した。
その結果、激しさを極めるかのようにデュエリストも巻き込んだデュエルを求め続けた。 その結果、融合、シンクロ、エクシーズの最上級のドラゴンを操るまでに成長するが、次第に四体の竜とともにズァーク自身もその心を悪意へ染めていった。
但し、遊矢もシンクロ次元にて似た経験を経ており、観客からの評価によって自身のデュエルのありように向き合えなかった点でメンタルの脆さが垣間見せる。
そして、「悪魔が生まれた日」は訪れた。
「これで終わりか!?もう、俺と戦う奴はいないのか!?」
「俺はまだ満足していない!もっと強く、もっと激しく戦いたい!!」
世界チャンピオンとなった日、ズァークは既に心が壊れていた。内にあるのは、勝つ事への執着と期待に応える衝動だけだった。が、そんなこと知る由もない観客は「もっと!もっと!」と更なるデュエルを求める。
その結果……遂にズァークの心は決まった。
「いいぞ!その声が俺とモンスターの力となる!」
「お前らが望めば望むだけ、俺達は強くなれる!この世の全てを破壊できるほどに!!」
「そうだ!俺達は戦い続ける!お前達が望むように!!」
ズァークは満足できない観客の欲求を満たすと称し、会場に自身のエースカードのドラゴン4体を召喚。
次の瞬間、彼のモンスターの攻撃によって会場は一瞬にして惨劇へと変わったのである。
破壊衝動を会場へ、世界へと向けたズァーク、彼と共鳴したドラゴン達。 この時、飽くなき争いを求める欲望にドラゴン達とズァークの心は怒りと憎悪を向けていた。
その言葉を聞いたリアルソリッドビジョンの開発者、赤馬零王はあの言い伝えを思い出す。
デュエルモンスターズのカードには魂が宿っている
迷信として、気にも止めていなかった言葉が最悪の形となって現実になっていた。ドラゴン達がリアルソリッドビジョンによって手に入れた実体はモンスターの怒りまでも実体化させてしまっていた。そして、デュエルモンスターズの報復が始まった。強大な力を持つデュエルモンスターズの前には通常の兵器は全くの無力であり、世界は壊滅状態に陥る。
だが、ドラゴン達の望む報復を行って破壊しつくしても彼は、ドラゴン達も満足する事は無かった。
「そうか……まだ満足しないか。」
「俺も同じだ。俺もお前達と一心同体となり、最強の力を手に入れよう!」
「今こそ、一つに!!」
力を求め続けたズァークは、4体のドラゴンと自身を1つにするという行動に移る。
「時空を司る、アストログラフ・マジシャンよ!」
「その深淵なる力で、我らの望みを重ね合わせよ!」
「今こそ、一つに!」
「アストログラフ・マジシャン」、そのモンスターの力を使い、ズァークとドラゴン達が一体となった姿「覇王龍ズァーク」へと姿を変えた。
以降、覇王龍ズァークの項目を参照。
余談
血と娯楽
『ひとつの世界』のデュエルに新たな時代を切り拓いたと言う意味ではズァークもまた開拓者と言えよう。
しかし、彼が開拓したデュエルの時代は4つの次元のそれとは程遠く、その破壊を求めるデュエルは刺激を求め続けた人々に応え続けたもの。
さながらコロッセウムに放たれた剣闘士や猛獣達の死闘を娯楽として楽しむ姿に近い。
精霊と通じるデュエリスト
「モンスターの声が聞こえる」という発言から過去作での「カードの精霊が見える」能力を持つデュエリストに近いと思われる。
ズァークの居た世界では古くから「カードには魂が宿る」と語りづがれており、ズァーク以外にもモンスターの怒りを感じ取るデュエリストもいた。
遊矢シリーズもそれぞれの持つドラゴンと意思疎通が出来ている様な描写がある。
特に遊矢はズァークによる干渉によってオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンの進化系のドラゴンを初めて召喚する前にはその姿が脳裏に浮かび、「今呼んでやる」と話しかける。
名前の発音
一見発音しにくい名前ではあるが、作中の登場人物達からは「ザーク」と呼ばれている。
よって字面では「ズァーク」ではあるが、発音は「ザーク」で良いと思われる。
セルフパロディなのか、ズァークはよく「満足」と口にすることが多く、誰かを彷彿とさせたのか、ファンから「満足同盟」の衣装を着せたりして、満足同盟の一員として描かれるイラストが増えている。
名前の由来
遊矢達(主に逆鱗遊矢)との関連について
- 覇王龍になった直後の眼が逆鱗遊矢と同じ状態になっている。
遊矢の逆鱗状態で度々見られる「赤く放射線状に発光する虹彩」、これは少なくともズァークが最も干渉している状態とも思われる。赤馬零王の回想にて、一つだった次元で四天の龍と融合して暴れていた時のズァークの目は、上述の通り放射状に発光した赤い目だった。
ただし、素顔が明かされる事になる後の赤馬零王の回想において本来は金色の目の色をしている事が確定し、レイが使用した自然エネルギーのカードにより、4つの姿に分かれる直前や融合次元にて遊矢がデュエルでユーリに勝利し、遊矢の姿をベースに復活した際の方が近い事が判明している。
逆鱗状態の遊矢が生み出したカードも「覇王黒竜」と「覇王烈竜」と、覇王龍の影響を受けているかのような名前のドラゴンでもある。
使用デッキ
詳しくは不明。
零王のセリフによると4つの召喚法を駆使しており、「オッドアイズ・ドラゴン」「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」「クリアウィング・シンクロ・ドラゴン」「スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン」の4体の元々の所有者であった事は確定している。
特にオッドアイズ・ドラゴンに対する愛着は最も強い事が窺え、ズァークのデュエルの殆どでこのカードの姿を確認できる他、ドラゴン自身も彼の危険なパフォーマンスに応えていた。
その他、「アストログラフ・マジシャン」の存在から遊矢の使う「魔術師」モンスターに近いカードも使用している。このカードの名前が遊矢の口から出た際に「星読みの魔術師」「時読みの魔術師」が反応している事からも「魔術師」関連がズァークのデッキ由来の可能性もある。