「Dホイール…デュエルディスクを進化させたそのマシンを駆使し戦う
ライディングデュエルはスピードとスリルに溢れた最高のショーであり
自由の象徴であった」
概要
遊戯王ARC-Vの世界を構成する次元のひとつで、ユーゴが住む世界。
「シティ」という大都市が存在しているが、常軌を逸した競争社会となっている。
最高意思決定機関行政評議会及びその下部組織であるセキュリティが治安維持を行っている。
上流階級の「トップス」と、それ以外の「コモンズ」という2つの階級が存在しており、トップスはシティの全人口の1%しか存在していないにもかかわらず、シティの資産の99%を独占し、贅沢三昧な生活を送っている。
反対にコモンズ達は貧しい暮らしを強要されており、生きる為に盗みといった犯罪に手を染めてしまう事も余儀なくされている程である。ユーゴたちもコモンズで、シティの下層地区で暮らしている。
物語ではその格差社会を舞台に複数勢力の思惑が渦巻いており、様々な所に伏線が仕込まれている。
シティで行われるデュエルはDホイールを使ったライディングデュエルが主流であり、シティのハイウェイにはライディングデュエル専用のレーンが併設されている。
シティ中心部には画像のような高層都市が存在しており、デュエルレーンも合わせて考えると4つの次元の中で特に建築技術が発展していると思われる。
シンクロ次元の住人
コモンズ
元コモンズのジャックを含む共通点として、『両親のいない孤児』というものがある。
黄色い前髪の形が特徴的な少年。普段は陽気な性格だが、デュエルに対しては冷静でスピードロイドを駆使したテクニカルかつ大胆な戦略で戦う。
ドラゴンの力で次元を越えることができるが、行き先はランダムである。
緑色のショートの髪の女の子。幼い頃からユーゴと同じ施設で育った。
ユーゴのDホイールは彼とリンが猛勉強し時間をかけて作り上げた結晶。
彼の心の支えとなっていたが、ある日ユーリに攫われる。
3人の孤児の世話をしている。面倒見のいい男。
一見大人しい青年だが、過去に経験してきたことから格差問題には真摯で、頑固なまでに強い矜持と信念を持つ。
シンクロ次元を救うべく、コモンズの絆を合わせて革命を起こす計画を立ち上げた。
クロウの仲間。エーリアンデッキの使い手。
10年前シンクロ次元のヒーローだったエンタメデュエリスト。
トップスの元で働いている少年。
トップス
シンクロ次元の最高権力者であり重鎮。謎の多い人物。徳松さんのファン。
- ジャック・アトラス(元コモンズ)(5D's)
シティのキングに君臨する男。
トップリポーター。リアリストで言いたいことははっきり言うタイプだが、意外とホラー系が苦手な怖がり。努力家の一面もあり、プロ意識は高い。
10年前突如現れセキュリティのトップに登り詰めた後シティに圧政を敷きシンクロ次元の格差をここまで広げた全ての元凶。
計画的かつ慎重だが裏を返せば臆病な小物。私利私欲に塗れた性格。
成金のような格好で、ヤクザに間違われる容姿を持つ。実は…
Dホイールに乗ってパトロールをしているセキュリティ。昇進することに目がない。
犯罪者
デュエリストクラッシャーと呼ばれた大犯罪者。
社会環境
物語開始から10年前の徳松長次郎の逮捕をきっかけにトップスとコモンズの間の溝が深まったという。
警察機構である治安維持局やセキュリティも、完全にトップスの支配下にあり、コモンズはトップスの居住区に立ち入っただけでも罪とされ、拘束・処罰されてしまう事になり、強制的に収容所送りとなる。
逆にトップスは、違法デュエルの観戦を行ったりしても、保護対象と見なされ、罪には問われない扱いとなっている。
そういった経緯からコモンズ、トップス双方の溝はきわめて深く、互いが互いを蔑み合う殺伐とした関係となっている。
実力さえあればジャック・アトラスの様にコモンズからトップスに成り上がることも可能であるが、本当に並外れた実力の持ち主でなければ実現はほぼ不可能である。
ジャックは、コモンズ出身ながらデュエル大会で優勝し、以来3年間デュエルキングの座を守り続けているが、それ以外の例は今のところ挙げられていない。
強いてあげるなら、セルゲイ・ヴォルコフが該当するが、彼の場合は並外れた凶悪さを見込んだジャン・ミシェル・ロジェにより、特例で引き抜かれたと言うべきである為、成り上がりとは程遠い。
また、本当ならばジャックよりも前に成り上がる可能性を持っていた徳松長次郎が、トップス側の謀略によって収容所へ送られてしまった事からも、今後のトップス側がジャック以外のコモンズに成り上がりを認める可能性はかなり低い。
徳松が収容所に送られて出所するまでの10年間で階級制度こそ変化はなかったものの、シティの裏事情に詳しいギャラガー曰く「突如シティに現れた謎の男によって、この世界には無かった技術がもたらされた」ことでシティもデュエルも大きく発展した。
フレンドシップカップ
「フレンドシップカップ」とは、年に一度開かれている「トップスとコモンズの友好の証」という建前で、身分に関係なく出場が可能な大規模デュエル大会の事。徳松の逮捕をきっかけに激化したコモンズの暴動の沈静化とトップスとコモンズの融和を図るべく開催されるようになり、シティ最大のデュエル大会として収容所内でも知られている。
「コモンズがトップスに成り上がる為の唯一の方法」とされてはいるが、トップス側から見れば暇つぶしの「娯楽」でしかなく、また、トップスへの反感を募らせるコモンズ達の不満を解消させる「ガス抜き」的な役割を持ったものでしかない。
「シティは一つ、みんな友達!!」といったスローガンを掲げているが、大会敗退者は地下の強制労働施設へと護送され、ゴミ処理といった3K的な汚れ仕事を強いられる事からも、真実を知っている人間から見れば馬鹿げた戯言にしか聞こえない。
ランサーズも参加した大会において、ジャン・ミシェル・ロジェの思惑や労働施設側のクーデターにより、大会は混乱に陥るが、榊遊矢とジャック・アトラスのデュエルで混乱は収まり、ロジェは失脚、行政評議会も解散したことで、トップスとコモンズの壁はなくなり和解し、「シティは一つ、みんな友達!!」のスローガン通りの世界にコモンズとトップスが手を取り合い、遊矢を見送った。
ユーゴvs沢渡、遊矢vsシンジ、ユーゴvsセレナ、ジャックvsセルゲイ、遊矢vsジャックなど評価の高いデュエルも多い。
スポット
- デュエルパレス
フレンドシップカップの特別会場。特別席にはジャックの玉座がある。
- 収容所
セキュリティにつかまった遊矢たちが強制的に連れていかれた収容所、雑居房と独房がある。
- セントラルパーク
上流階級「トップス」が暮らす地区にある。近代的で美しい。
- 人気のない裏路地
貧しい「コモンズ」が追いやられて暮らす下層地区
- クロウの家
アマンダたち親のいない3人の子どもの世話をしながらクロウが暮らしている。仲間のシンジが食料を持って差し入れに来ることも。庭には回転式のジャングルジムやタイヤ遊具など、子供たちが楽しめる遊具もある。
小ネタ
作中でファンサービスなのか、かつて『遊戯王5D's』に登場した人物や、物が登場している。
メインで再登場しているのは、ジャック、クロウのみだが、5D's版とは設定が微妙に違う仕様になっている。
5D'sでは幼馴染、友人の遊星や鬼柳等といったキャラクターが登場せず、メインメンバーはジャックとクロウのみ登場と完全なパラレルワールドとして扱われジャックとクロウも面識はない。
ジャックやクロウ以外にも、がっつりとはいかないがちょこっと再登場しているメンバーもいる。
- 57話にて、ブラック・マジシャン・ガールを愛する胡桃沢が、ディフォーマーのフィギュアを販売。
- 同57・65話に登場したシンクロ次元の紙幣に描かれた偉人がイェーガーだが、シンクロ次元編終盤に登場。
- 58話にて、黒咲とライディングデュエルしていた相手が炎城ムクロ(CV:渡辺拓海)。
- 65話の回想で、ジャックが打ち負かしているライディングデュエルの相手がディヴァイン。
- 67話のトップスの観客の一人が借金取り立て屋のガロメ。
- 76話でセキュリティにつかまりかけていた男がドボックル。
- 同76話でセキュリティが食事していたカップヌードルがピリ辛レッドデーモンズヌードル。
(容器の絵柄がかなり酷似)
- 86話でユーリが飛び乗ったトラックにピリ辛レッドデーモンズヌードルのペイントが。更に言うと、遊星が拉致された時に乗せられたトラックと同じもの。
- フレンドシップカップ終了後の行政評議会のシーンで、トップス側に一瞬両親と思しき人物と一緒に早野天兵が登場。
5D'sとの相違点
シティの設定やジャック、クロウ等のキャラの存在など、大まかな部分は遊戯王5D'sのネオドミノシティそのものである。
しかし、
- サテライトが存在しない。(ただしスラム街は健在)
- シティの外観がネオドミノシティのそれとは異なっており、そもそも「ネオドミノ」とは呼ばれない。
- ネオドミノシティにはあった海馬コーポレーションやデュエルアカデミアの描写が一切ない。(前者はともかく後者は融合次元との兼ね合いから存在しないとも取れる。)
- デュエルディスク及びDホイールのディスク部分はARC-Vにおける独自の物が採用されている。(ジャック達のDホイールのデュエルディスクもARC-Vの仕様に変更されている)
- イェーガーらしき人物が紙幣に描かれている。存命・もしくは若年の人物が紙幣に描かれるのは珍しい。後にイェーガー本人も登場している。
- ライディングデュエルではスピードワールドは独自の「スピードワールド-ネオ」を展開しており、スピードカウンターとスピードスペルの概念がなく、通常の魔法カードを使用している。
(スピードワールド-ネオはDホイールをライディングデュエル用に切り替える為に使われていると思われる。また、デュエルチェイサーには相手を強制的にライディングデュエルに持ち込む手段として使用されている。5D'sと同じだった場合、アクションマジックの使用やペンデュラムゾーンへのカードのセッティングは魔法カードを発動する行為なので2000ポイントのダメージを受けてしまい、遊矢達が圧倒的に不利になる事から通常の魔法カードを使える仕様に変更したのだろう)
など細部に違いがあることから、5D'sの世界とはまた別の歴史を辿ったパラレルワールドであると思われる。
パラレルワールドゆえに、不動遊星が不動博士と共に幸せな生活をしているかもしれないと考える人もそれなりにおり、pixivではそれを元にしたイラストも投稿されている。