ズァーク
ずぁーく
「俺は……期待に応えただけだ、もっと強く……もっと激しく戦えという!!!」
ローマ字表記:【Z-ARC】
『遊戯王ARC-V』に登場するキャラクターで、かつて4つの次元が分断される以前に有った赤馬零王の故郷に当たる『ひとつの世界』、そこでデュエルの世界の頂点を極めたデュエリスト。
遊矢に顔が似ている4人の所謂オリジナルに相当し、物語序盤でも榊遊矢がユートを取り込んでからは度々その片鱗を表していた。
その後、復活が目前に迫ったアカデミア編では『「もっと強く、もっと激しく戦え」という期待に応えた自分を分裂させた』人間への憎しみを露わにして遊矢とユートの意識を飲み込もうする。
そして遊矢が終盤のユーリとのデュエルで、「スマイル・ワールド」を捨てて「勝つことに集中した」ことと、零児をはじめとした遊矢を信じた人々に「勝つ事を期待された」状態で勝利したことがトリガーとなり、かつての悪魔が生まれた日を結果的に再現してしまったことで、次元を破壊し滅ぼすもの「ズァーク」が復活するのであった。
我こそはズァーク!今ここに復活せり!!
どうした?怖じ気づいたのか、人間共よ。お前達の望み通り、復活してやったというのに!
四つの次元に別れた人々がズァークの存在どころか、四つの次元のことすらごく一部を除いて知るはずもないが、あくまで自分は人間の望み通りに復活したというズァーク。更に……
笑止!お前達人間が我を生み出したのだ!今更知らぬなどと、言わせはせぬぞ!!
どうした!?誰もこの我を倒そうとする者はいないのか!?我とデュエルしろ!!
自分は人間の望み通りに戦い、望み通りに世界を滅ぼそうとして、望み通りに復活してやった。だから、望み通りに自分にデュエルを挑んで滅ぼされろ。
復活前の出来事(「過去」の部分を参照)によって元々破綻していたズァークの暴論と力にはエクシーズ次元への侵攻をハンティングゲームとして楽しんでいたアカデミアの戦士すら恐怖していた。奇しくも、アカデミアがこれまで散々面白がっていたハンティングゲームの獲物に今度は自分達がなっていた。
そして、一連の事態の引き金を引いたアカデミアの戦士として先陣を切ったエド&素良とのデュエルにおいて、アストログラフ・マジシャンの力で四天の龍を除外する事で切り札「覇王龍ズァーク」を特殊召喚し、覇王眷竜と共に自分に挑むデュエリストたちを次々と倒していくが、レイの意識と一体化した零羅に自身を封じた四枚のカードを発動されてしまい敗北。
それでも尚、「覇王眷竜」と共に世界を四つに分裂させようとするが、零羅にその意識を封印されて完全復活を阻止された。
元々は一般的なデュエリストであったが、その後「まるでモンスターと共に地を駆け、宙を舞い、フィールド内を駆け巡る」ようなデュエルスタイルは周りの目を引き付け、「リアルソリッドビジョン」の発展で活性化したデュエルの世界で瞬く間に人気者になった。
そんな彼だが、ある対戦中に事故が発生し、その事故で対戦相手に重傷を負わせてしまう。
会場の観客は最初こそ驚愕し、ズァーク自身も動揺していたが、一部の観客のフォローによりその声はすぐさま歓声へと変わったのである。
その時から彼の歯車は大きく狂っていき、そしてそれが「彼および世界の破滅への始まり」とは誰も想像しえなかった。
もっと激しく、もっと力強く、もっと興奮を求めるようになった観客。その態度を見て気を良くしたズァークは更に激しいパフォーマンスで魅了し始めた。
彼に刺激された者達は先駆者の彼に負けまいと危険を顧みることなく彼を越えるべく邁進した。その結果、激しさを極めるかのようにデュエリストも巻き込んだデュエルを求め続けた。融合、シンクロ、エクシーズの最上級のドラゴンを操るまでに成長するが、次第に四体の竜とともにズァーク自身もその心を悪意へ染めていった。
そして、「悪魔が生まれた日」は訪れた。
「これで終わりか!?もう、俺と戦う奴はいないのか!?」
「俺はまだ満足していない!もっと強く、もっと激しく戦いたい!!」
世界チャンピオンとなった日、ズァークは既に心が壊れていた。内にあるのは、勝つ事への執着と期待に応える衝動だけだった。が、そんなこと知る由もない観客は「もっと!もっと!」と更なるデュエルを求める。
その結果……遂にズァークの心は決まった。
「いいぞ!その声が俺とモンスターの力となる!」
「お前らが望めば望むだけ、俺達は強くなれる!この世の全てを破壊できるほどに!!」
「そうだ!俺達は戦い続ける!お前達が望むように!!」
ズァークは満足できない観客の欲求を満たすと称し、会場に自身のエースカードのドラゴン4体を召喚。
次の瞬間、彼のモンスターの攻撃によって会場は一瞬にして惨劇へと変わったのである。
破壊衝動を会場へ、世界へと向けたズァーク、彼と共鳴したドラゴン達。 この時、飽くなき争いを求める欲望にドラゴン達とズァークの心は怒りと憎悪を向けていた。
その言葉を聞いたリアルソリッドビジョンの開発者、赤馬零王はあの言い伝えを思い出す。
デュエルモンスターズのカードには魂が宿っている
迷信として、気にも止めていなかった言葉が最悪の形となって現実になっていた。ドラゴン達がリアルソリッドビジョンによって手に入れた実体はモンスターの怒りまでも実体化させてしまっていた。
そして、デュエルモンスターズの報復が始まった。強大な力を持つデュエルモンスターズの前には通常の兵器は全くの無力であり、世界は壊滅状態に陥る。
だが、ドラゴン達の望む報復を行って破壊しつくしても彼は、ドラゴン達も満足する事は無かった。
「そうか……まだ満足しないか。」
「俺も同じだ。俺もお前達と一心同体となり、最強の力を手に入れよう!」
「今こそ、一つに!!」
力を求め続けたズァークは、4体のドラゴンと自身を1つにするという行動に移る。
「時空を司る、アストログラフ・マジシャンよ!」
「その深淵なる力で、我らの望みを重ね合わせよ!」
「今こそ、一つに!」
「アストログラフ・マジシャン」、そのモンスターの力を使い、ズァークとドラゴン達が一体となった姿「覇王龍ズァーク」へと姿を変えた。
「遂に手に入れた…………俺は4体の頂点の龍と1つとなり、神にも等しい力を得た!」
「俺はお前達に感謝する。争いを求め、戦いを好むお前達人間の欲求がこの俺に最強の力を与えた!!」
「俺はお前達の望みどおり更に強く! 更に巨大な力の権化となる!!」
この覇王龍に対抗できるのは、同じ力を持つデュエリストだけだったが、彼らでさえも蹴散らされてしまう。
もはや人間の欲望の暴走によって生み出された覇王龍を止める手段はないかに思われたが、赤馬零王はどんな過酷な環境にも耐え何億年と繰り返されてきた「自然の営み」に目をつけ、人間の欲望をものともしない自然エネルギーから4枚の魔法カードを作り出す。
父を犠牲にしたくない零王の娘レイはこの4枚のカードを奪い、自身が覇王龍ズァークに行使。
「貴様……貴様ぁぁぁぁ!!」
「許さん……許さんぞ……!一つになった我らをぉぉぉ!!」
4枚のカードは4つのブレスレットに変化すると共に、覇王龍ズァークは4つの姿と4つのドラゴンに分かれ封印、レイも4つの姿に分かれる。
そしてズァークとレイの姿が分かれると共に世界は4つの次元に分かれ、彼らもそれぞれの次元に転生することとなり、ARC-V本編に繋がる。
過去
作中では主に零王の語る人物像しか語られていないが、一番はっきりしているのは「周りからの期待に応えたい」という想いに「デュエルの世界の頂点に立つ」という夢を持つ一介のデュエリストであった事。
また、「モンスターの声が聞こえる」らしく、モンスターとの高い連携もそのおかげらしい。
デュエルに対する姿勢は「自身のデュエルを貫いてプレイする」よりも「周りの期待に応えること」を優先し過ぎており、その結果として観客からの評価に依存し過ぎて自身のデュエルのありように向き合って自身のプレイスタイルを確立しなかったという脆さを持っている。
このメンタルの脆さと周りの評価に依存するデュエルスタイルが災いし、上記の事故後に「デュエルの世界の頂点に立つ」という真っ直ぐな想いは歪んでしまい、観客が求めるのであれば危険な行為に躊躇う事無く敢行する「悪魔」へと変わってしまった。
(但し、遊矢もシンクロ次元にて似た経験を経ているが、結末は異なる。)
本編
デュエルモンスターズの魂4つと意識を統合した影響により、上記の過去よりも尊大な態度で対戦相手を見下すほどに更に酷く歪んでしまっている。
しかし、尊大ではあるが、倒した相手はリアルダメージにより大きく飛ばされる以外は特に干渉せず、敗者はアカデミア関係者によるカード化やシンクロ次元の地下での強制労働、歴代遊戯王のラスボス級の人物とのデュエルでのお約束である消滅或いは死亡することに比べるとぬるい方で、また自身の猛攻に耐え、尚も挑発するジャックと権現坂に対して素直に褒め称え、権現坂の挑発と策に敢えて乗ってくれるという律義さもある。
更に、その内では「勝ち続ける」事に囚われており、敗北する事を極度に恐れており、その恐れはモンスターカードの強固な耐性という形で表れている。ズァークは本来の世界において観客から常に「勝ち続ける」事を求められていたため、自然と「負けたくない」と思うようになったのかもしれない。
負ける事に恐れている心を見抜かれてからは対戦相手の煽りに敏感になった他、対戦相手の演出・表現に乗っかるなど人間味のある言動を見せている。
また、ズァークは自身の記憶をはっきり持っており、赤馬零王の事や歓声を浴びていた頃の自身の事も覚えている。
- 過去
灰色の髪が逆立って緑のメッシュが入っているが、前髪はユーリと似ている。
目の瞳の色は金だが、覇王龍になった直後の眼は「赤く放射線状に発光する虹彩」という逆鱗遊矢と同じ状態になっている。
服装は、少々変わったデザインのベージュのズボンに白が基調のジャケット、茶色い手袋をしている。デュエルディスクは『ひとつの世界』で使われている汎用タイプだが、他の次元のものとは全く違うデザインとなっている。
年齢は不明だが、その見た目からおそらく遊矢達より年上と思われる。
遊矢に顔が似ている4人の基になっただけはあり、遊矢達に似た顔立ちをしている。違いと言えば、年上である事でやや大人びているくらい。
- 本編
過去に使用していたデッキの詳細は不明だが、零王のセリフによると4つの召喚法を駆使しており、「オッドアイズ・ドラゴン」「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」「クリアウィング・シンクロ・ドラゴン」「スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン」の4体の元々の所有者であった事は確定している。
特にオッドアイズ・ドラゴンに対する愛着は最も強い事が窺え、ズァークのデュエルの殆どでこのカードの姿を確認できる他、ドラゴン自身も彼の危険なパフォーマンスに応えていた。
また、「アストログラフ・マジシャン」の存在から遊矢の使う「魔術師」モンスターに近いカードも使用している。このカードの名前が遊矢の口から出た際に「星読みの魔術師」「時読みの魔術師」が反応している事からも「魔術師」関連がズァークのデッキ由来の可能性もある。
復活後は、主に「覇王」を冠するシリーズを使用し、主戦力のモンスターカードとして「覇王眷竜」と切り札「覇王龍ズァーク」を召喚する。
また、覇王龍を召喚するためのトリガーとして「アストログラフ・マジシャン」も引き続き使用している。
- 血と娯楽
『ひとつの世界』のデュエルに新たな時代を切り拓いたと言う意味ではズァークもまた開拓者と言えよう。
しかし、彼が開拓したデュエルの時代は4つの次元のそれとは程遠く、その破壊を求めるデュエルは刺激を求め続けた人々に応え続けたもの。
さながらコロッセウムに放たれた剣闘士や猛獣達の死闘を娯楽として楽しむ姿に近い。
- 精霊と通じるデュエリスト
「モンスターの声が聞こえる」という発言から過去作での「カードの精霊が見える」能力を持つデュエリストに近いと思われる。
ズァークの居た世界では古くから「カードには魂が宿る」と語りづがれており、ズァーク以外にもモンスターの怒りを感じ取るデュエリストもいた。
遊矢シリーズもそれぞれの持つドラゴンと意思疎通が出来ている様な描写がある。
特に遊矢はズァークによる干渉によってオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンの進化系のドラゴンを初めて召喚する前にはその姿が脳裏に浮かび、「今呼んでやる」と話しかける。
- 名前の発音
一見発音しにくい名前ではあるが、作中の登場人物達からは「ザーク」と呼ばれている。
よって字面では「ズァーク」ではあるが、発音は「ザーク」で良いと思われる。
セルフパロディなのか、ズァークはよく「満足」と口にすることが多く、誰かを彷彿とさせたのか、ファンから「満足同盟」の衣装を着せたりして、満足同盟の一員として描かれるイラストが増えている。
- 名前の由来
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