ディストピア飯
でぃすとぴあめし
概要
基本的には何らかの事情で第一次産業の維持継続に問題が生じ、食糧の生産規模が大幅に縮小した世界で、食事の娯楽性を排し、最低限必要なカロリーや栄養の摂取のみを目的として開発・調整されたメニューとなっている。
「食料はあるが加工技術が失われた」タイプのポストアポカリプスな世界観であれば、粗野であっても素材の味を堪能できる料理が可能な余地もあるだろうが、ディストピアとなると「技術はあるが原料が足りない」ケースが多く、人工食料の普及はもちろん、伏せられた原料を高度な加工技術で有耶無耶にした正体不明の食べ物が流通している作品もあり、そうした薄気味悪さが世界観の演出に一役買っていたりする。
代表的なイメージとしては、彩りに欠けたブロックやゼリー状の食品で構成されており、味や見た目、食感はお構いなし。食欲をそそられないのはもちろん、満足感など到底得られそうにない量で出てくることも。
大抵は配給制で、食堂に行くと白いトレーに乗って(というか敷き詰められて)いる。
なお、初期の宇宙食が丁度こんな感じのものだったりする(参考サイト)。
スーパーなどで市販されている食品でもそれっぽいものを再現することは可能(味や栄養は保証されないので、自己責任で)。ディストピア飯の試作や実食を娯楽にしてしまう行為そのものが、現代の食糧事情に皮肉を投げかけている側面もある、かもしれない。
食品アレルギーの解決や、宗派・思想信条による食事関連のタブーへの対応など、食に関する課題への挑戦やSDGs(開発の持続可能性)の観点から食品の加工技術や代替原料の研究も進んでおり、実際には全力で回避される食事形態だろう。
転じてこれやこれみたいな料理と呼べるかも怪しい料理をディストピア飯と呼ぶこともある。
しかしながらSFリテラシー向上や宗教観の希薄化、メディアを通じた多様な食文化の普及、あるいは現実社会の持続可能性に関する課題などにより、かつてはディストピア飯として扱われていたであろう手段が妥当性のある手段として当然のように登場することも増えている。
今日の献立
ディストピアものSFでの例としては…
- 主なカロリー源となるマッシュポテトかパンのような外見の主食
- ゼリー状・ペースト状・ブロック状の食品
- ビタミン、ミネラル等を補給するタブレット状の食品
- 昆虫加工食品
- 培養した微生物(ユーグレナなど)
- 人工肉、代用肉
- 大豆ミート
などSDGsに極振りしたメニュー構成が多い模様。
なお上記ならまだマシな方で
- 動物性のタンパク質として、処刑した罪人や、生産力が見込めず殺処分した高齢者・障害者を食肉加工した人肉
- 人肉加工の過程で残った人骨を微細にして食用酸に溶かし、そのまま提供したカルシウム摂取用ドリンク
なんて代物もある。
究極のリサイクルとして、
- 人間・動物の排泄物を再加工した食品
なんてのも…。