アルカード(悪魔城ドラキュラ)
あどりあんふぁーれんはいつつぺしゅ
「在るべきところへ帰れ!これ以上母を苦しめるな…」
概要
悪魔城ドラキュラシリーズに登場するキャラクター。初登場は『悪魔城伝説』。
本名【アドリアン・ファーレンハイツ・ツェペシュ】(Adrian Fahrenheit Ţepeş)
ドラキュラことヴラド・ツェペシュの実子であり、吸血鬼である父と人間の母・リサの間に生まれた人間と吸血鬼のハーフである。
吸血鬼譲りの人知を超えた身体能力と魔力、そして不老の命を持つ反面、人間としての側面も持つため、血を吸う必要はななく、日光を浴びても死ぬことはない。
魔王である父同様、彼自身も畏怖の対象だが、母の教えから人間に対しては一定の理解を示しており、リサの処刑を受けて父が人類を抹殺しようとした時は、彼を止めるために奔走していた。
その際、父に対する反逆の意思としてドラキュラ(Dracula)の逆読みであるアルカード(Alucard)と名乗る。
『月下の夜想曲』では主人公、『悪魔城伝説』(アルカード初登場作品)や『蒼月の十字架』『ジャッジメント』『Harmony of Despair』『宿命の魔鏡』ではプレイヤーキャラの一人、その他の作品(後述)では登場キャラクターの一人として登場する。
登場キャラの世代交代が著しい悪魔城シリーズにおいて、不老である彼だけが時代を超えて登場する。
作品ごとの特徴
悪魔城伝説のアルカード
初登場作品。主人公ラルフのパートナーキャラの一人で、ステージボスでもある。黒髪短髪オールバックと黒マント服に身を包むというドラキュラの典型なデザイン。
元は人間で、邪神崇拝により悪魔に心と体を売り払い悪魔そのものとなった父ドラキュラに反発していたが、父に悪魔との契約を強要され、自分の体を人間の体ではなくされるに至り、ついに耐えかねて父の悪事を打倒し暗黒と殺戮の地と化した国をもとの美しい国土に戻すため、父との戦いを決意。悪魔の洗礼を受けたのでコウモリ変身などの特殊能力を身につけている。
1人では悪魔そのものな父に敵わないため、地下道の奥に身を潜めて父を滅す同じ目的の強い同志を探す。
ラルフより頭1つ分くらい背が高いぶん当たり判定も若干大きく、メイン攻撃のショット弾(前方3方向に発射する)は射程がラルフの鞭よりは長いものの威力、連射性、軌道(身体の中心、腰辺りからまっすぐ発射される)共に微妙な使い勝手であり、パワーアップして3方向に発射できるまでは楽にいかない。なぜか階段上では攻撃できないという謎仕様だった。
ぶっちゃけものすごく使いにくく、弱い。
固有能力としてコウモリに変身して飛べるが、変身中はハートを消費する。サブウェポンは最少の時計1つのみであり、他のパートナーキャラの投げナイフと斧で壁と天井を移動できるグラントや強力な魔法攻撃ができるサイファと比べると見劣りし、アルカードルートのステージは他より難しめなため、上級者またはマゾプレイ向けと言える。
月下の夜想曲以後のアルカード
月下の夜想曲での設定からドラキュラ伯爵と人間リサとの間に生まれた息子となった。
父は暗黒世界の魔王として恐れられる畏怖の対象であるが、人間の血が半分流れている事(半吸血鬼)と母が最後に残した遺言から、割と人間に理解がある。
吸血鬼特有の邪悪な意思や弱点がある程度無いが(血を吸う描写はないが不老、日光を浴びてもノーダメージetc)、死んでしまうと人間の部分が消えて吸血鬼の邪悪な部分だけが残ってしまうので死ねない。
人間に反旗を翻した父を倒す(救済する)ために、ヴァンパイアハンター達と協力関係にある。
悪魔城伝説発売から8年後(作中年月では約300年後)、新たに主人公となって、悪魔城の復活を察知した彼は、ゆるいウェーブのかかった金髪(かなり薄いため人によっては白髪、銀髪とも)と貴族風の衣装に漆黒のマントに身を包んだイケメンの青年に変わって帰ってきた。
- リサについて(CV:深見梨加(月下の夜想曲))
ドラキュラ伯爵の闇の活動が若干収まり、人間とのつながりがあった頃に、彼と出会う。
ドラキュラの妻でアルカードの母。ドラキュラが愛した、ただ一人の女性でとても慈悲深くドラキュラの領地の人間にも慕われていた。
年号は不明だが(1476年以前)、平民を助けた為に魔女と間違えられ魔女狩りに遭い、人間の手によって死ぬ事となった。死の間際アルカードに人間を憎んではいけない事とドラキュラを愛していた事を言い残した事がゲーム中のイベントシーンで登場する。
この影響で、神を恨んで過ごした伯爵が人間も恨むことになり、先述の「月下の夜想曲」の物語に繋がることになる。
また、悪夢の中に現れ、アルカードにリサの幻影(後にサキュバスに化ける)を用いて虜にしようと試みるが、母を侮辱された怒りでアルカードが呪縛から解放、逆に悪夢の中で精神を滅ぼされた事で、抜け殻のまま永遠に彷徨い続けることとなった。
彼女については月下でも深くは語られないのだが、ドラキュラと相思相愛、自身の最期の時の達観したような遺言を見るに、かなり聡明な人物だったと思われる。
ゲームジャンル自体もアクションRPGに変わり難易度も下がったゲームシステムの仕様上から非常に強くなっており、ヴァルマンウェ二刀流とか親父の力で親父を撃破とか攻撃と防御と回復を一気に行う手段があったりとか、やりたい放題の様相を見せてくれる。デス様が装備を取り上げるわけである(裏技で回避できるが)。水に浸かると体力が時間経過で減少するが、アイテムのホーリーシンボル(どう見てもシュノーケルなのだが)を取ればノーダメージ。
月下の夜想曲で父を倒した後の動向は不明だが、暁月の円舞曲と蒼月の十字架で、ドラキュラの生まれ変わりである来須蒼真の監視役として再び登場。この時は黒髪長髪で漆黒のスーツに身を包んだ『有角幻也(ありかどげんや)』と名乗っている(どう見てもバレバレだが)。蒼月のおまけモードで再びプレイヤーキャラに返り咲くが、月下版のチートクラスな攻撃方法はない。その代わりに武器攻撃で壁の裏に回りこむ事が可能になった。
ジャッジメントのアルカード
ストーリーモードにて、最初から選択可能な対戦アクションゲームのキャラクターの一人。
設定としては月下の夜想曲以降(なおかつドラキュラ完全消滅以前)からの参戦。
銀髪ストレートに、鎧を思わせる衣服が特徴。
漆黒たる前奏曲のアルカード
デザインは月下の夜想曲版に近いが、肌が青白いのが特徴。
主人公ソニア・ベルモンドと知り合いであり、ソニアとのボス戦でまるで恋人同士のような会話イベントもある(いつそんな関係になったのかは不明)。本作はマルチエンディング方式であるが、隠しエンディングでは後にソニアはベルモンドと闇の血脈を継ぐ子を生んだ、となる。この子やその父親の名前は出ないので不明。
なお、後にジャッジメント時のインタビューでプロデューサーとなったIGA氏は「パラレルワールドという解釈でいいと思う」として扱っている(但しこの作品にIGA氏は関わっていない。IGA氏は東京開発部署であるがこれは名古屋開発部署で開発された)。
ロードオブシャドウのアルカード
設定の違う新シリーズの2作目宿命の魔鏡で、主人公の1人として初登場した。
突如ドラキュラ城で目を覚ました謎の吸血鬼で、ドラキュラに憎しみを抱いており、シモン・ベルモンドに協力して戦う。
ドラキュラが主人公の続編「ロードオブシャドウ2」でも引き続き重要人物として登場し、DLCのサイドストーリーでは主人公も務める。
その正体は「宿命の魔鏡」で語られるが、クライマックスの内容なので公式サイトにも詳しく書かれていない。
ただし「ロードオブシャドウ2」のゲーム冒頭で全部ネタバレされているので注意。
外見は白髪長髪で漆黒の服に身を包み、「月下の夜想曲」のイメージを受け継いでいる。武器は暗黒の鎖鞭ダークペインだったが、2ではクリセグリム(ヴァルマンウェの英語版の名前)という剣を持っている。
Harmony of Despairでのアルカード
「Harmony of Despair」でのキャラクター紹介では珍しく公式にダンピールだと書いてある(一部のゲーム雑誌などの紹介欄では記載されていた事はあった)。
初期から操作可能キャラクターとして登場。装備依存型キャラ。
各能力は概ね月下仕様だが他キャラとの差別化を図れるよう調整されている。
武器・防具はステージ中の宝箱やドロップで入手またはショップで購入するなどで揃えられる。MPを上げる装備は全操作キャラの中で最も少ない。
武器は右手と左手の2ヶ所に装備出来、盾を装備する事や二刀流装備も可能。コマンド入力で特殊攻撃可能な武器もある。
パーソナルスキルは無敵状態になる霧に短時間だが変身。いざと言う時の緊急回避に使える。ほんの僅かだが移動も可能。
様々な暗黒魔法や吸血鬼としての能力を持っており、これらを駆使してステージ攻略を有利に進められる。各魔法はドロップする事で使えるようになり、同じものをドロップする事で威力・性能が強化される。
スライディングは狼に変身してから行い、急降下キックは真下を蹴れない等クセが強い。長身なので喰らい判定がやや大きめ。
パチスロ悪魔城ドラキュラIIIのアルカード
パチスロなので液晶演出での登場。今作は悪魔城伝説をベースとしており、ストーリー文も悪魔城伝説の説明書のストーリー紹介文と同じものが採用されているが、アルカードの外見は悪魔城伝説版ではなく月下の夜想曲版に限りなく近くなっている。
海外アニメ「悪魔城ドラキュラ―キャッスルヴァニア―」のアルカード
ストーリーは悪魔城伝説をベースとしているが、アルカードの外見は月下の夜想曲基準の美青年。パチスロ版とは違い、生い立ちに関しては月下の夜想曲の設定が採用されている。
本作では吸血鬼は成長が早いという設定が取り入れられており、故に本作のアルカードはあの見た目で10代ということになっている。そのため基本的にはゲーム版同様、気品のある落ち着いた言動をとるものの、トレーバー達と何度も言い争いを繰り広げたり、彼らがいなくなった後は独り寂しそうに過ごしていたりと精神的に幼稚な面を持つ。良くも悪くもゲーム版の彼とは別人。
ドラキュラに匹敵する凄まじい身体能力を持ち、愛剣を宙に浮かせて自在に操る技を使う。
日本語吹き替えを担当しているのは三木眞一郎。
余談だが、長年アルカード役を演じた置鮎龍太郎は今作に登場するトレバー・ベルモンドの吹き替えを担当しており、本人も驚愕のコメントを残している。また、三木眞一郎はドラマCD「追憶の夜想曲」でリヒター・ベルモンドを演じたことがある。
悪魔城ドラキュラGrimoire of Soulsのアルカード
Apple Arcade配信専用のスマートフォン向けアクションゲーム。
本作はドラキュラ伯爵が完全消滅した未来が舞台であり、有角幻也として日本政府の機密機関に所属している。
ある日、「魔導書が暴走し、世界に魔物が出現し始めました」「どうかあなたのお力を貸していただきたいのです」と記された書簡が届き、送り主の元へ向かう。
月下以来久々の主人公抜擢。プレイアブルキャラで唯一、本の記述ではなく生身での参戦となる。本作はストーリーありのクロスオーバー作品のため、彼の眠っていた時代や把握していない場所で活躍した英雄たちとの交流も見ることができる。また、ヴァンパイアキラーがアルカードに対しても反応すると本作では明示された。
戦闘ではメイン武器として片手剣、サブウェポンとしてナイフか聖水のいずれかを使用可能。変身魔法はいずれかひとつを固有スキルとして選択する方式となる。
他作品出演
オレカバトル
コナミのカードゲーム。
第一章「魔海の神殿」最初期から登場。以降、コナミ作品を原作とするキャラクターが次々と実装されるようになる。
月下の夜想曲での姿に近いが、マント(形状や裏地の色)と獣耳風の前髪に特徴がある。瞳孔も猫のような縦長である。
第一章の間に限り、タイトル画面やアドバタイズ画面にも登場していた。
特に後者では本来主人公がやるべきカード成長の説明を担当している。
大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL
アシストフィギュアとして登場。
ヴァルマンウェやコウモリ化、霧になっての回避など、『月下の夜想曲』を彷彿とさせるアクションでサポートする。
また、ピットのスマッシュアピールでのリヒターの解説にも登場している。ピット曰く「業界の大物」(ナチュレには「何業界じゃ。」とツッコまれた。)。
スピリッツでもLEGEND級扱いの上にスロット3だが追加効果の「剣攻撃強化」がシモン及びリヒターと嚙み合わないのが残念。
ヒラメキパズル マックスウェルの不思議なノート
物の名前を書くと召喚できるノートに「アルカード」もしくは「ALUCARD」と入力することで出現する。 ただし本人ではなく彼を模した人形という設定。
余談
実在のヴラド・ツェペシュことヴラド三世にツェペシュの名を持つ実子は存在しない。
本来のツェペシュは苗字ではなく、ヴラド三世個人に付けられた異名である。
だが
悪魔城ドラキュラシリーズの中でもパロディ番外編的作品である「悪魔城すぺしゃるぼくドラキュラくん」の主人公ドラキュラくんは、白髪・おつきが死神さん・ドラキュラの息子で火弾がメイン攻撃・コウモリへの変身が可能ということからアルカードとの共通点が多い。
さらに、オレカバトルではドラキュラくんに酷似したキャラクターが「アルカ」名義かつアルカードの進化前の形態として登場する。
しかし、あくまでシリーズ番外編のコミカルキャラであり同一人物であるのか関係性は明言されていない。
しかし、この作品のラスボス「ガラモス」は月下の夜想曲の隠しボスとしても登場していたりする。