概要
『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』で初登場した武器。尚、上記のイラストはイメージです。
「祝福されし風」という意味を持つ剣。刀身から発生した無数の真空の刃が敵を一瞬で切り刻む。
初登場した『月下の夜想曲』を代表する最強のチート武器にして最凶のバランスブレイカー。
元々本作がプレイヤー側の創意工夫次第で、色々な遊び方ができる緩いゲームバランスなのだが、入手した途端一気にヌルゲー化する最大の原因は、この壊れ武器の所為と言っても過言ではない。
元ネタ
元ネタとなった武器の逸話や伝承などが存在しない悪魔城ドラキュラオリジナルの武器である。
…と思われていたのだが、後にその由来がファンタジー小説『指輪物語』だと判明した。
実は2つの単語を繋げた造語であり、「ヴァル」は本作の世界を管理する神格「ヴァラ(vala)」を意味しており、「マンウェ」はその中でも最高の力を持つ風の王「マンウェ(Manwe)」を指す。
指輪物語にはヴァルマンウェと名の付いた武器は登場していないが、大気を司る神の名を冠した武器ともなれば十分伝説級と言えるだろう。開発スタッフの中にファンがいたのかもしれない。
月下の夜想曲
『月下の夜想曲』にはヴァルマンウェの他にも、個性豊かな武器たちが沢山登場している。
中には特定の条件を満たせばヴァルマンウェを遥かに凌駕する性能を持った武器も存在するが、総合性能で考えてみた場合、ヴァルマンウェは間違いなく本作最強の武器であると断言できる。
以下、その恐るべき性能を紹介しよう。文章でもその凄さが伝わるはずだ(個人差があります)。
- 高水準の攻撃力を持つ
同タイプの武器の中でも高水準な攻撃力+36を誇る。これ以上に高い攻撃力をもつ片手剣は、
邪悪な意思を持った魔剣『ルーラーソードLV3』がドロップする『レムリアソード』の+39、逆さ城の『洞窟』で取り戻せる母の形見の愛剣『アルカードソード』の+42しかない。
一応、特殊な条件を含めればアルカードソード以上の攻撃力を持つ武器は他にもあるのだが、
下記の要素を加味した場合、基礎攻撃力トップ3に入る事がまずおかしいと分かるはずである…。
- 攻撃モーションが存在しない
悪魔城ドラキュラシリーズでは地上で武器攻撃を行うと、その場で足が止まってしまう。
この硬直を抑えるため一部の武器では、小ジャンプしながら攻撃する方法が一般的なのだが、
ヴァルマンウェには武器を振る動作がそもそも存在せず、すぐに攻撃判定が発生する上に、攻撃中でも移動やジャンプ行動が可能なので、普段は煩わしい接近戦を強いられていても、ヴァルマンウェなら攻撃判定を出し続けたまま移動のついでに戦闘まで楽に熟せてしまうのだ。
- 1回の攻撃で4回ヒット(HIT)する
武器ボタンを1回押すだけで素早い4回攻撃ができる。この特性は他の武器にも存在するのだが、上記の通り、武器を振る動作や硬直の問題で十分に使いこなすには、少々の慣れが必要になる。
しかしヴァルマンウェはそんな問題点も意に介さず、何も考えずに連打するだけで良いのだ。
敵の一部飛び道具も打ち消しながら進めるため、ザコ敵の攻撃をいちいち気にする必要もないし、手数武器でありながら上記の優秀な攻撃力を併せ持つため、威力不足で悩む事も絶対に無い。
- 攻撃判定が横に広い
手数武器によく有りがちなリーチが短いと言う欠点が、ヴァルマンウェには一切通用しない。
前方にリーチが長いだけで上方向には対応できない弱点もあるが、それは他の武器たちも同じ事。
ヴァルマンウェは上記の通り、攻撃中でも移動可能な特性をもってしてその問題点を補っており、上空から攻めて来ようものなら、バックダッシュなどで位置取りを調整して戦えば済んでしまう。
- 片手剣タイプの武器である
つまり二刀流が可能なのである。両手に装備したら其々の武器ボタンを交互に連打しているだけで、まるでブルドーザーかの如く、道中のザコ敵達が瞬く間に殲滅されていくのは正に圧巻の一言。
その姿は誰が呼んだか「ヴァルドーザー」。後に残るのはドロップアイテム位しかないだろう。
尚、片手に1本装備しただけでは連続使用ができないため、一瞬だけ隙が生じてしまうのだが、両手に2本装備すればその弱点も克服できる。2本揃えれば、最早倒せない敵など存在しない。
たとえ切(斬)属性に耐性がある敵であろうと、この性能の前ではまず耐える事は不可能である。
- 防御力+1の追加効果持ち
地味に嬉しい防御力の底上げ効果持ち。勿論、両手に2本装備すれば効果も上乗せされる。
一応、ヴァルマンウェ以外の武器の中にも同じ付与効果が備わっている物は多く存在するし、
ヴァルマンウェの殲滅力を考えれば、そもそも被弾する事自体が珍しいと思うかもしれないが、トゲ付きトラップなど、不意の事故が起きないとは限らないのであって損はない効果だろう。
- 後半に入ってすぐに入手できる
ヴァルマンウェをドロップするザコ敵は『禁書保管庫』にのみ出現する『キュウ』というお化け。
物語の後半に解放される逆さ城の『逆さ時計塔』から『異界側外壁』の間に存在するエリアだが、実はゲームをクリアするだけなら訪れる必要はない。しかし逆さ城入場後、たった2エリア先…ほんの少し寄り道をするだけで最強の武器が入手できてしまう圧倒的な入手可能時期の早さ。
他の最強候補の武器たちの中でも、一二を争うアドバンテージまで備えており、隙を作らない。
- ザコ敵『キュウ』が弱い
身も蓋もない情報だが、このザコ敵。ものすごく弱い。逆さ城まで来れたプレイヤーなら、たとえ全装備を偽物である最弱装備『アルカート』シリーズで固めた状態でも簡単に倒せる。
しかも探索中、複数のキュウが同時に出現する事も珍しくないので、偶然ドロップする事も多い。
ただし同じフロアに出現する他のザコ敵達を相手にするため、装備はしっかり整えた方が良い。
- ドロップしてすぐに使える
他の最強候補の武器たちは時間と手間をかけたり、MP(魔力)消費やインターバルを要するなど、非常に癖が強いものが多いのだが、ヴァルマンウェは両手に2本装備した段階で完成形である。
2本ドロップしなければならないとは言うが、1本でも十分強力なのは先に説明した通りなので、1本ドロップした後は、そのままアイテム狩りを続行すれば良い。心配ならセーブしに戻ろう。
- 唯一のデメリット
勿論、レアドロップなので出ないときは本当に出ない。ずっとラーメンしか手に入らない事も。
後は簡単に倒せるからと言って、倒してフロアチェンジ、倒してフロアチェンジ…を繰り返すと、流れ作業化してせっかく落としたヴァルマンウェを取り逃す可能性が高いので、注意して狩ろう。
…後は狩り続けていく内に、名曲「失われた彩画」が頭の中にこびり付いてしまう事ぐらいか。
如何だっただろうか? 総合性能1位の最強武器に恥じない性能だったと十分感じた事だろう。
極端な話、ヴァルマンウェ二刀流であれば、どんなに下手癖で脳筋ごり押しのプレイヤーだろうと、ラスボスの親父だろうが、本作最強の裏ボスだろうが、5秒も経たずに瞬殺できてしまうのだ。
ゲーム前半の難易度に比べて、後半に入ると途端にヌルゲーになったと感じたプレイヤーも多い。
他の武器の存在意義を全て消し去った罪深きバランスブレイカー。使うかはどうかは貴方次第…。
暁月の円舞曲
久しぶりの再登場。攻撃時の動作や見た目は月下時代を踏襲している(二刀流は無理だけど)。
しかし過去作で猛威を振るい過ぎた所為か、やはり色々と弱体化する羽目に…仕方ないよね。
入手方法はボスラッシュモードを4分以内にクリアする事。つまり入手はゲームクリア後になる。
所謂ご褒美要素なのだが、その入手難易度に反して肝心の性能の方は最弱と言わざるを得ない…。
移動しながら武器を振れる利点は健在だが、なんと攻撃時のリーチが大幅に短くなってしまった。
更に連続ヒットする回数が2回に減少している他、その攻撃力も僅か+2しかないと言う有様。
2周目プレイでソウルとアイテムを持ち越して無双しようとしても、直ぐに威力不足に陥るため、正直な話(ハードモードなら特に)使い所が殆ど無いため専らコレクション用でしかないだろう。
蒼月の十字架
合成システムが登場した続編にも登場。本作では本編を進めれば、普通に入手する事ができる。
ただし他の最終武器たちと同様、武器にソウルを合成する事でしか入手できない仕様になった。
そのため入手可能時期はラスボス直前とかなり遅い。しかも元の武器とは性質が異なるため、
強化するかはどうかは慎重に判断したい。下手をすれば、合成する前の方が有能だったりする。
また攻撃時の見た目が真空の刃から緑色の閃光を放つ描写に変更されており、コチラも賛否両論。
1周につき1つしか入手できないボス敵『アバドン』のソウルを使用する剣系武器の終着点。
前作から攻撃力が+36まで上昇し、リーチも改善されたが、攻撃ヒットする回数だけは変わらず、やはり万能な武器とは言い難い。しかしそれはあくまで月下時代の性能と比べた場合の話である。
攻撃判定を出したまま隙無く道中の敵を殲滅しながら動き回る事ができる利点はやはり強力無比。
前作ではそれさえできなかったため、ようやく普通の武器の強さに落ち着いたと言えるだろう。
Harmony of Despair
バランスブレイカー再び。
月下時代の凄まじい性能を引っ提げて、まさかの大復活を果たした。
せっかく良いバランスに落ち着いたと言うのに全く自重しないな本当に(いいぞ、もっとやれ)。
入手方法は、第6章、第7章、第8章のエリアボスを倒した後に出現する金の宝箱からのみである。
つまりクリア報酬以外では入手不可能なので、入手難易度は極めて高い。頑張って周回しよう。
基本的な性能は月下時代と同じ。装備可能なキャラクターも原作通り、アルカードと蒼真だけ。
攻撃力は+10しかないため、月下時代の強さを発揮するにはキャラクター毎の性能強化は勿論、所持金に応じて攻撃力が上がる『ミリオネアリング』などの攻撃力上昇効果を持った装備の充実、そしてかつての二刀流を行うためにはステップキャンセルなどのテクニック習得も必要不可欠。
お手軽さは無くなったが、準備さえ整えれば当時と全く変わらない凶悪さを発揮できるだろう。
ただし一部のボス敵は斬耐性やヒット間隔制限持ちであるため、やはり万能とは言えない。
特に第7章や第10章では完全にお荷物となってしまう。流石に開発陣もそこは対策済みのようだ。
またマルチプレイ時では、その強力な性質が災いしてゲーム性を著しく損ねてしまう可能性大。
今までの作品では使用は自己責任だったが、本作では主に初心者プレイヤーの部屋に乱入して、ヴァルマンウェ持ちが先行して速攻でクリアしてしまう『ヴァルドーザー』問題が顕著化した。
そのため安易にヴァルマンウェを持ち込むと、忌み嫌われてキック対象にされかねないので、
マルチプレイでは使わない事がマナーである。ローカルプレイなら好きなだけ使って構わないが。
ヴァルマンウェ+1
本作では更に強化版である『ヴァルマンウェ+1』も登場した。攻撃力は+15まで上昇している。
入手方法は正にヴァルマンウェ対策が施されたエリアボス『L.ドラキュラ』攻略後の報酬のみ。
かなりの強敵かつドロップ率は相当低いが、ここまで来たならより最強を目指して入手したい所。
ロードオブシャドウ2
世界観が一新されたロードオブシャドウシリーズにもヴァルマンウェは(何故か)登場していた。
…え? ヴァルマンウェの姿形も見なかったぞって? そこは大丈夫、登場したのは別物だから。
本作の新生アルカードは『クリセグリム(Crissaegrim)』と言う名の長刀を使用するのだが、実はこの名前、ヴァルマンウェの海外版での名称である。国内版では絶対に分かるはずもない。
…もうヴァルマンウェ=アルカードなのは世界共通のようだ。
尚、メインウェポンなので、チート級の武器では断じてない。設定も性質も全て違うので、継承したのは名前だけである。
大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL
ヴァルマンウェ(を装備したアルカードがアシストフィギュアとして)参戦!!
本作にはファイターとしてシモン・ベルモンドやリヒター・ベルモンドが参戦しており、アシストフィギュア枠にもアルカードが選ばれて登場しているのだが、何故かその使用武器が自らの名を冠したアルカードソードではなく、選りにも選ってこのヴァルマンウェなのである。
…愛用していた母の形見の剣は一体どこにやったんだ坊ちゃんよ。母上が(多分)泣いているぞ。
理由があるとすれば『月下の夜想曲』を(色んな意味で)代表する武器として選ばれたのだろうが、それは表向きの理由。
大方、武器を振る動作を態々作らなくて済むと言うのが最大の理由だろう。
しかしもっと泣きたいのはおそらくプレイヤー側の方だろう。何せ得物はあのチート武器、最凶最悪のぶっ壊れバランスブレイカー、ヴァルマンウェである。隙なんてあろう筈がない。
一切反撃の余地を与えないため、味方にすれば大変心強いが、もし敵に回れば地獄と化す事に…。
かつて月下をプレイしたプレイヤーは、まさか今度は自分がその恐怖を味わう羽目になろうとは、全く想像も付かなかっただろう。
原作再現と言えばそうだが、少しは自重しなさいよ坊ちゃん…。
アルカード「今回はサポートに徹する」
リヒター「サポートってレベルじゃないよーな気が…」