概要
あるものに対する、一般的に抱かれているイメージのこと。固定観念。
音響のステレオではなく、印刷術のステロ版に由来する。このため間違ってもモノラルタイプと言うものは存在しないので勘違いしないように。
ちなみに対義語は敢えて言うならば、個性的・独創的・斬新・型破り・融通無碍などが当てはまる。
一種の集団に対する思い込みやイメージのようなものであり、その集団に属するものはすべてその特徴を持っているものと思われがちなこと。例でいうならイギリス人は紳士で皮肉屋、ドイツ人は頑固で几帳面、イタリア人は陽気で不真面目など。
ステレオタイプを題材にした有名作品だと、各国を擬人化した「ヘタリア」などが有名。ヘタリアの登場人物のキャラクター付けにはその国に対するステレオタイプが使われている。
ステレオタイプは偏見・差別とも同根であり、しばしば歴史上他者の支配と抑圧を正当化するために用いられてきた。かつてアメリカで、野球が「紳士のスポーツ」であると見做されたが故に「野蛮な」黒人がMLBでのプレーを許されなかったのもその一例である。
現代では人種や性別などに基づいたステレオタイプを迂闊に公の場で言及すると最悪失職に至るほど重大な失言であると見做されるし、個人間でも注意が必要なトピックである。
1990年代のテレビのバラエティ番組は殆どステレオタイプだけで外国や外国人を紹介していたと言っても過言ではない。例えばアメリカ人を「カッコいい・強そう・豪快(男性)」「セクシー・スタイル抜群(女性)」と憧れの目で見て、中国人を「神秘の民族」「超人だらけの凄い民族」と幻想視していたぐらいである。こうした価値観はSNSの発達によって成り立たなくなり、寧ろ諸外国の問題を冷静な視点で指摘する風潮となった。
が、「ぱっと見で理解出来る」事を要求される標識等ではこういったステレオタイプが有用である。できるだけ多くの人がぱっと見で理解出来る事を要求される標識等では頻繁に使用される。例えば、ステレオタイプに基づく偏見と差別を問題視する観点(「女だからってスカートを履いているとは限らない」「女は赤、男は黒か青なんて決めつけだ」といったもの)からトイレの標識が「gentle(男性)」「ladies(女性)」とだけ書かれたものに変更された結果、男女双方が誤った方のトイレに駆け込むことが相次ぎクレームが殺到したという話は最たるものある。
その他でも文字表記ではカバーしきれない国籍や教養の壁を迅速に取っ払って説明できるピクトグラムは様々な場面で使われており、ステレオタイプの有効活用の一例でもある。
そのため現在進行形で改良が続いており「不要になった性差記号(ベビーカーを押す人間のスカート→ベビーカーは女が押すもの=子育てを女がするとは限らない等)」を削ったり、逆に今までは分かりづらかった部分に追記したりと年々デザインが変わっていっている