カフェ
かふぇ
概要
カフェは飲食業のひとつの業態。コーヒーやお茶をはじめとする軽食や、カクテル・ビールなどの酒を提供する。スペインやイタリアのバルもこれに近い。
日本での「カフェ」のイメージは、「おしゃれでスタイリッシュ」または「ちょっと個性的な店構え」と言ったところであろうか。
なお、もともと「カフェ」の語は「コーヒー」を表していたが、それが転じて「コーヒーを飲めるお店」の意味になったものである。もともと大正時代の日本ではカフェー(カフエ)と呼んでいた。日本では関東大震災以後、急速にブームになった(芥川龍之介の小説にも震災後に増えたものはカフェーばかりで甘味屋がめっきりなくなったと嘆く短編小説1がある)が、その時からの名称が「カフェー」であった。
しかし、大戦勃発につれて外語に対する忌避の傾向が強くなると茶店と呼ぶ傾向が強くなり、コーヒーではなくお茶を出す店だから問題ないと誤魔化していたのである。
戦後になると法律によって酒類提供もできる軽食店が喫茶店、酒類提供のできない軽食店がカフェとなり、当時は時代の最先端だったアメリカに倣ってコーヒーショップと呼ばれることが主流であった(現在もアメリカではスターバックスなども含めコーヒーショップと呼ぶ)。
コーヒーショップがカフェと呼ばれることが多くなったのは1980年代後半、商社の思惑によってフランスやイタリア文化が日本にカフェテリア形式のコーヒーショップが浸透してから、そして同じくイタリアンカフェの影響を受けた、スターバックス、タリーズに代表されるシアトル系カフェの日本進出によって、再度カフェが若者文化の拠点となった頃からであり、またコーヒーよりスイーツ類の販売がメインになっていったからである。
また、カフェ業界も個人経営からスターバックス、ドトールに代表される大手資本の流入も大きく影響しており、それらがカフェと名乗っていたからである(あくまで飲食メインのコメダはフルサービス型喫茶店と、公式ページで名乗っている)。
喫茶店との違い
以前はカフェは「飲食店営業許可が必要」、喫茶店は「喫茶店営業許可が必要」と、法的な位置づけも異なっていたおり、カフェは酒類提供ができなくなったが、2021年に法改正され飲食店営業許可に統合された。これによりカフェと喫茶店の法的な違いはなくなり、店主のこだわりや店の雰囲気に寄るところが大きくなった。
喫茶店文化が依然として強い中京界隈などでは、喫茶店には「喫茶・軽食」と書かれていることも少なくない。コメダ珈琲に代表されるようにモーニングなどの食事(洋食)メインの場、カフェは従来のコーヒーショップ同様、飲食、スイーツ類の軽食メインの場と位置づけられている。
そのせいで、喫茶店文化が廃れたエリアからはレトロな雰囲気な店が喫茶店、若者向けでおしゃれな雰囲気な店がカフェという珍妙な誤解を与える元凶になっている。