アヤカシ「ナナシ連中、出会え!」
「ナ!ナ!シ!」
概要
『侍戦隊シンケンジャー』に登場する戦闘員。
赤い武者のような姿をした下級のアヤカシで、外道衆の総大将・血祭ドウコクの怒りや、それによる三途の川の力の活性化に反応して賽の河原の積み石の隙間から生まれ出て集団で人間に襲いかかる。アヤカシの「ナナシ連中、出合え!」という掛け声でも湧いてきて、自分を呼び出したアヤカシの指示に従って動く。
ちなみに個体パターンで服の色が違い、通常の個体は黄色、大ナナシと大空ナナシは茶色、クサレナナシは通常の個体・大ナナシ共に紫、強化ナナシは黒。
これといった特殊能力はないが多彩な武器を扱い、日本刀のような形状の蛮刀をメイン武器として使用しているが、他には刺股や弓矢(火矢)を使用する事もあり、後に火縄銃や大筒を用いるナナシ連中も登場した。ちなみに彼等の蛮刀はただの刀なので普通の人間でも使える。
戦力的にはシンケンジャーならば問題なく蹴散らせる程度だが、普通の人間よりは遥かに強く抵抗する事は難しい。一方で、シンケンジャーでなくともモヂカラの扱いや武芸に秀でた一部の人間ならば対抗でき、劇中では彦馬に圧倒されている。ただし、それもあくまで通常のナナシに限った話であり、大ナナシ連中は数でシンケンオーやダイカイオーを苦戦させる事も多く、巨大な大砲を持つ大ナナシ大筒隊はダイカイシンケンオーやモウギュウダイオーを圧倒する程である。さらに終盤に登場したナナシ鉄砲隊はシンケンジャーをかなり苦戦させている他、クサレナナシ連中に至っては圧倒的な物量戦で、映画ではシンケンジャーを壊滅寸前まで追い込んでいる。
このように、個々は単なる戦闘員ではあるもののその力は歴代シリーズの中でも間違いなく上位に入る。
一応アヤカシの一種だが、日下部彦馬はアヤカシの事を「ナナシ連中より上位の存在」と発言しており、志葉家ではナナシについてはアヤカシ未満の存在という認識らしい。実際に、純粋なアヤカシよりも力も知性も低く、二の目も持っていないので倒されれば魂ごと消滅する。
基本的には知性は低く「ナ!ナ!シ!」としか発声しないが、たどたどしくだが言葉を発する事自体は可能で、全く喋れないという訳ではなくコミュニケーションは可能。また、ドウコクが発生させたナナシ連中に関しては、ドウコクの意思や思念を言葉として発する事ができる。
一方目が退化している為か認識能力は低いらしく、夏映画では簡単な変装をしたシンケンジャーの面々にあっさりと騙されて仲間と思い込み、彼等が持ってきた酒で宴会を始めてしまった。
アヤカシの一種なので、当然彼等にも「水切れ」による活動限界があるのだが、純粋なアヤカシよりも力が弱い為か、作中の描写を見る限りアヤカシより現世での活動可能時間は長い模様。下記のハイパーバトルビデオで登場したナナシもかなりの長時間現世で活動していた(尤もあくまでハイパーバトルビデオなので、本編の設定がどこまで反映されているのかは不明だが)。
ちなみに彼等よりさらに力の弱い存在であるスス木霊は、水切れを起こさず現世でも活動していた。
ナナシ連中は二の目を持たないが、通常の等身大の個体以外にも、巨大戦を務めるナナシ連中を巨大化させた姿の大ナナシ連中が存在する。さらに大ナナシ連中に翼を持たせた飛行能力を持つ大空ナナシ連中も存在し、くちばしを持つ『烏天狗』の様な容姿で空中から自在に攻撃を行う。
さらに等身大のナナシ連中にも、クサレ外道衆に属するクサレナナシ連中という上位個体がおり、こちらは下半身が紫色なのが特徴で、通常のナナシよりも強力。他にも骨のシタリが強化改造を施した強化ナナシ連中なども確認されている。
ここまでバリエーションが豊富な戦闘員は、スーパー戦隊シリーズを通して見ても珍しく、あらゆる状況に幅広く対応できる。
『テレビマガジン』のスペシャルDVDでは人語を話せる個体(声:島田敏)が登場し、盗み出したインロウマルでスーパーナナシに変身する。そして映画『VSゴーオンジャー』では蛮機兵ウガッツが変形したバイクに乗ったり、OVDの『特別幕』では宇宙服を着た個体が登場したりしている。
余談
デザインのモチーフは珊瑚やイソギンチャク。触手のような部分は日本画や浮世絵の炎の形を意識して描いているらしい。
なお甲冑の構成や細部の記号などの個性が排除されている。
また、ナナシ連中から生まれた妖怪伝承=メタ的には元ネタになった妖怪は公式では明言されていないが、おそらく「百鬼夜行絵巻」等で登場する『赤い妖怪』だと思われる。
この妖怪は、名前の通り身体が赤く足のある魚かカエルのような見た目をしているのだが、作品によって微妙に異なり、様々な絵巻に頻繁に群れを成して登場するのだが名前も正体も不明。
後にこの赤い妖怪は魚の姿で描かれるようになり、他にも化け物尽くし絵巻にも通称『海男』と呼ばれる赤い魚の妖怪が登場するのだが、こちらについても詳細は不明。
このように、妖怪絵巻や伝承では頻繁に「赤い魚のような名称不明の妖怪」が登場しており、シンケンジャー世界では、赤い魚のようなフォルムをした顔の無い大量に溢れ出てくるナナシ連中の姿が人伝いに伝聞されて、名称不明のこれら妖怪伝承や絵が作られたのだと推測される。
メタ的には、「名無し」という名前の由来もまさに名称不明の彼等だと思われる。
さらに大空ナナシ連中に関しては、その容姿から『鴉天狗』伝承のルーツになった存在ではないかという説もある。『天狗』自体のルーツとなったアヤカシはイサギツネが登場しているが、そこから大空ナナシ連中の目撃談でさらに派生したのではないかと思われる。
『パワーレンジャー・サムライ』では、ムーガーという名前で登場する。
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