概要
「覆水」は「こぼれた水」または「溢れた水」、「盆」は「器」を指し、「こぼれてしまった水は元の容器には戻らない」、つまりは「一度起きてしまったことは二度と元には戻らない」という意味である。由来通りの「関係が破綻した男女は、もはやよりが戻らない」という意味もある。
取り返しのつかない間違いを犯してしまった場合、例え反省して改心する事になったとしてもその事実が消える事は決して無いという、「戒め」を意味する諺として使われる事が多い。
語源
紀元前11世紀の中国(周王朝)にて、太公望は貧乏なのに一切働かずに読書ばかりしていたため愛想を尽かした妻は太公望の許を去っていった。しかし後に太公望が出世して朝廷の要職に就くと出ていったはずの妻が復縁を求めて戻ってきたが、その際に妻の目の前で器の中の水をこぼし、「この水を元通りにできたら復縁に応じよう」と言って断ったという故事にちなむ。
※ただし、これは太公望ではなくて朱買臣にまつわる説話だとする説もある。
同様の言葉
対義語
英訳
It is no use crying over spilt(spilled) milk.(こぼれたミルクを嘆いても無駄である)
What is done is done.(終わったことは終わった)
関連イラスト
関連タグ
吐いた唾は飲めぬ:類義語だがこちらは『一度言った発言は取り消しが効かない』という意味合いで用いられる。
関連ジャンル
追放もの、復讐もの、幼馴染ざまぁ、覆盆モノ、もう遅い:いずれも登場する悪役が「覆水盆に返らず」を体現しているケースが殆ど。
関連人物
アモス:ゲーム『ドラゴンクエストⅥ』のキャラクター。彼を仲間にする事ができるのだが、プレイヤーのプレイ内容次第では「覆水盆に返らず」な事態を招く事がある。
五條佑真:漫画『火ノ丸相撲』の登場キャラクター。物語冒頭で散々好き勝手していた結果、それを良しとしない元師匠から「覆水盆に返らず」として拒絶された(但し、その元師匠も佑真を正しく導いてやれなかったことを悔やんでいた)。しかも、これが描かれた物語のタイトルも「覆水盆に返らず」である。しかし、佑真はその元師匠に偽りなき決意を示した事で和解した。