旅客機とは、主に旅客を運送するために使用される飛行機のことで、pixiv内においては投稿数が少ないが、現実では国内・海外旅行の足や出張などの用務に使用したりと、身近な関係にある。
概要
旅客機は、我々のような旅客を運ぶ「民間機」の一種として開発され今に至る。 旅客機と同じ機体を主に利用する「貨物機」とは区別がつけられているが、旅客機と貨物機を組み合わせた「コンビ型」というのも登場してきている。
最近は航空機器が機械化・ハイテク化したため、かつては機長と副機長と航空機関士の3人乗務が必須だったが、今では機長と副機長のみの2人乗務が主流となっている。機材の詳細については後述。
歴史
旅客機の歴史は意外と古く、1919年に軍用機を民間用に改造して旅客を運んだことが始まり。当時はプロペラ機が普通だったため、速度も遅かった。
1950年代に入ると徐々にジェット機の開発が進み、機体の大型化が進んだ。製造会社同士で高速化を目指した開発競争が激しさを増した。1960年代の超音速飛行計画で実用化され、有名になったのが「コンコルド」だが、コンコルドは燃費も非常に悪く、大西洋路線以外では採算が合うものではなかった。環境性能や安全性にも問題があった。
またこの時期には旅客機大型化の頂点としてB747(ジャンボジェット)が登場する。
1970年代以降、高速化と大型化は頭打ちとなり、低燃費化と運輸コスト削減に主な開発目標が推移した。
1970年代から1980年代にかけて航空運賃は大きく値下がりし、それまで一部に限られていた海外旅行も一般化した。
旅客機の主な製造会社
ボーイング(Boeing)
ジャンボジェットやトリプルセブンでおなじみの会社。 日本国内の航空会社のほとんどがこのボーイング社の機体で運行されている。日本との関係が特に深く、最近は日本の航空会社がローンチカスタマーになってみたり、日本製の重要な部品を採用していることが多い。アメリカが本社なのにアメリカの代表航空会社であるアメリカン航空やコンチネンタル航空、旧ノースウエスト航空ではエアバス機の導入が盛んだった。
主な機体
1969年に開発された「世界初の2階建て旅客機」として注目を浴びた。-100から-300までを「クラシックジャンボ」、-400と-8を「ハイテクジャンボ」と区別を付けた。(クラシックとハイテクの違いは、コクピットのデジタル化にある)
ちなみにB747は日本航空が110機以上投入した(既に全機引退)ため、日本国内でも有名。
1998年から開発された、近代旅客機。 -300型はB747に匹敵する乗客定員を誇り、双発機としては世界最大級。 3発機以上の乗り入れが禁止されている伊丹空港ではほぼ見られる。
2009年に初飛行した同社の最新鋭機。中型ながらそれまでの大型機並の航続距離を持つ。2011年11月より全日空が国内線に世界で初めて投入する予定。
エアバス(Airbus)
EU4ヶ国で製造する会社。小型ジェット機から超大型ジェット機までの民間航空機のシェアをボーイングと二分している。
主な機体
特に-600型がJAS(日本エアシステム、現在日本航空に統合。かつての東亜国内航空)で活躍していた。あのレインボーカラーは昔のエアバス社のコーポレートカラーだった。
エアバスが民間航空機メーカーとしての地位を高める切欠となった小型機ジェット機。2011年11月現在、世界の大手航空会社がA320の運用をしている他、日本でもANA(全日空)が運用しており、日本のLCC(格安航空会社)であるピーチ・アビエーションやエアアジア・ジャパンなどが導入を予定してる。同じ小型ジェット機であるボーイング737とは競合関係にある。
「全部2階建ての旅客機」として有名になった。
現在の所、日本への乗り入れはシンガポール航空によって実施されている(成田~シンガポール間)。
A380の投入に際しては、空港側もゲートをA380に対応させたりするための工事を行ったりと対策を迫られている。
マクドネル・ダグラス
厳密にいうと元ダグラス社であり現在はボーイング社に合併された。ユニークな形をした飛行機がたくさんある。
主な飛行機
- MD-11
垂直尾翼にエンジン1機と主翼に2機と言うあまり見られない3発機。B747-400同様のウィングレットが付いている。(付いているか付いていないかでDC-10とMD-11が別れる)
不謹慎だが、2009年にフェデックスの成田空港着陸失敗事故はこの機体で起こした。
- MD-80シリーズ
他社にはあまりない主翼にはエンジンを積まないで後部にエンジンがある稀なタイプの旅客機
その他の製造会社
上記3社以外で有名な会社は以下の通り。
- ロッキード(アメリカ)
かつてはダグラス・ボーイングと世界三大航空メーカー(またはアメリカ三大航空メーカー)とまで言われたが、旅客機L-1011(エルテン)の販売に失敗し、旅客機から撤退した。軍用機メーカーとしては現在も現役であり、後にマーチン社と合併してロッキード・マーチンとなった。ロッキード事件の主役でもある。
- コンソリデーテッド・ヴァルティ・エアクラフト(アメリカ)
通称コンベア。日本でもJALが導入するなど戦後初期の航空機メーカーとしては有名であったが、旅客機からは早々に撤退。
旅客数100席以上の旅客機ではボーイングとエアバスが二大メーカーとして君臨しているのに対し、100席未満のリージョナル・ジェットやビジネスジェット部門では以上2社がシェアを二分している。しかし小型ジェット機は世界各地が開発が盛んであり、今後シェアの変動も予測される。
離島線ではほとんどの人がボンバルディアにお世話になっている。元々デ・ハビラント・カナダ(イギリスのデ・ハビラント社の子会社)を吸収合併したことで進出したが、ボンバルディアとなってからの旅客機も多い。DHC-8やCRJ200などが飛行している。
- ツポレフ(元ソ連、ロシア)
ここでも不謹慎な話になるが、ツポレフ社の飛行機は最近になって事故が多発している。
Q.ツポレフ、そんな機体で大丈夫か?
A.大丈夫じゃない、問題だ。
更に余談だが、コンコルドのパクリと呼ばれているTu-144超音速旅客機もツポレフの製造である。現在日本にはロシア極東のウラジオストク航空の機体のみが飛来する。
- イリューシン(元ソ連、ロシア)
- アントノフ(元ソ連、ウクライナ)
- スホーイ(元ソ連、ロシア)
- ヤコブレフ(元ソ連、ロシア)
これらも旧ソ連の設計局が元となった製造会社である。ソ連の旅客会社はアエロフロート社ただ1社であったが、設計局は複数存在し、各局で凌ぎを削っていた。その名残である。
アントノフは超巨大貨物輸送機、スホーイは最新式の小型ジェット機で知られる。樺太(サハリン)のサハリン航空では貴重なヤコブレフ機が見られる。
- アエロスパシアル・シュド(フランス)
- BAC(イギリス)
- ビッカース(イギリス)
- デ・ハビラント(イギリス、カナダ)
- フォッカー(ドイツ→オランダ)
- サーブ(スウェーデン)
- フィアチャイルド・ドルニエ→RUAG(ドイツ→アメリカ→ドイツ)
欧州の系統。特にアエロスパシアルはエアバスの間接的な母体となったことで有名。デ・ハビラントは世界初のジェット旅客機コメットを売り出したが、空中爆発の多発により米国メーカーの後塵を拝し、カナダの子会社を除いて消滅した。BACとアエロスパシアル以外の旅客機は何れも日本の航空会社による導入経験がある。特にサーブとドルニエの機体は現役だ。
コンコルド
現在のところ、世界史上最速の旅客機。アエロスパシアルとBACの英仏共同開発機で、後にエアバスが保守を引き継いだ。 巡航速度は2.0M 巡航高度は約60000ft(=18000m)。
現代の飛行機には標準装備されている「フライ・バイ・ワイヤ」が搭載されたり、旅客航空機技術の最先端を行っていたが、燃費が非常に悪く、また大きな環境問題(超音速飛行に伴う衝撃波)を抱えていることと、事故も多発したため2003年に完全退役した。
20機のみ生産された。
余談
ジェット旅客機のように高高度を飛行するものについては、地上では厚い大気で遮られる宇宙空間からの放射線が降り注いでくるため、電子装置は放射線対策が施され、また放射線による誤作動に対応するべく複数台(大抵3台など奇数台)の電子装置を装備して冗長化し、安全で確実な運行を確保している。
旅客機の自動操縦は操縦する旅客機の免許に加え、自動操縦の免許が必要となる。(電子装置は自動操縦できる条件が一つでも欠ければ飛行中であっても自動操縦を解除するため)。