概要
事の起こりは『ハピネスチャージプリキュア!』第3話での一幕。
プリキュアであることが幼なじみの相楽誠司にばれてしまった愛乃めぐみ。仕方無しにプロデューサー…もとい司令官役のブルーの前に連れて行って事情を説明し理解を得たが、あまりにも仲のいい二人にブルー様はこう訪ねた。
「君たちは恋人同士なのかい?」
これを聞いて狼狽する白雪ひめとは対照的に、めぐみも誠司もキョトン顔。
「ちがうよ。ね?」「きょうだいみたいなものだし」とあっさり答える。
これを聞いて安堵した秋P…もといブルー様。プリキュアにおける重大なルールとして「恋愛禁止」を告げたのである。
曰く「恋愛はうまくいっているときはいい。でも仲がこじれると取り返しのつかない事になる。だからプリキュア内での恋愛は絶対禁止とする!」と。
基本的にプリキュア達に対しては甘ささえ目立つほど温和なブルーがいつになく真剣な面持ちで告げたことから、いかにこのルールを重視しているかがわかるだろう。
まだ恋愛に熱心ではないので、素直にそれを受け入れてしまっためぐみと誠司。
しかし、これで大丈夫なのだろうか?
その時衝撃が走る
過去作の否定?
この恋愛禁止令が告げられた時、全国の大きいお友達に衝撃が走ったのは言うまでも無い。
何故なら、歴代のプリキュアシリーズではプリキュアに変身する女の子達の恋愛模様が少なからず描かれてきたからである。
美墨なぎさ、日向咲、南野奏は作中で憧れの先輩に片思いしており、夢原のぞみは妖精の一人と相思相愛の仲に発展した上に劇場版ではキスまでしている。
本人にその気がない「片思われ」も含めるなら、雪城ほのかは平均月1回ほど男子部の生徒からラブレターを貰っているとのことだし、桃園ラブは答えをはぐらかしたものの同級生の男子から告白され、月影ゆりは同じ団地に住む少年からラブレターをもらい、相田マナもラブと同じく同級生の男子から想いを寄せられているような描写がある。
また、夏木りんや花咲つぼみのように度々美形の男性にときめいてしまう者もいれば、秋元こまち、春日野うらら、調辺アコなど恋愛関係に発展しているかどうかはともかく、特定の男性と親密な関係を築いている者もおり、雪城ほのかと菱川六花は作中で敵組織の少年幹部との微妙な関係が描かれた。
さらに前作では妖精の一人が発情期…もとい人間の女性に恋心を抱いたり、周囲のカップルたちに対する嫉妬心からとんでもないジコチューになってしまった人のエピソードがあったりする(ちなみにこの一件を巡り、「妖精と人間の恋愛」に反対する妖精と賛成する妖精との間で肉弾戦?に発展した)。
まさに違反者続出の状態になってしまう(カップリングについてはこちらとこちらを参照)。
このイラストの3ページ目のような状態になる(実際はもっと酷い)。
また、プリキュアオールスターズの謳い文句の一つ「女の子は誰でもプリキュアになれる」を完全に否定しかねない爆弾宣言でもある。「プリキュアになったら恋愛をしてはならない」ということは「恋愛を捨てなければプリキュアにはなれない」という、女の子にとっては非常に厳しい制約を課されるということに他ならず、解釈によっては非現実的な掟(※人間も動物である以上、本来恋愛をしない事など無理な話である)を突きつけることで、本来の対象層たる幼女の「プリキュアになりたい」という夢をも奪いかねないことになるからである。
さらに言えば友情も恋愛に近しいものがあり、下手をすれば友情も否定されることになりかねない。
湧き上がる反発の声
まさに二次創作含めていろいろな意味で動揺が広がる事になってしまった。
当然、このルールが発覚した途端に先輩方からは即座に反発が……。
こ、このKYめ・・・。
しかも本当に恋愛してるし・・・。
(※彼女はプリキュアではありません)
なおブルー役の山本匠馬自身も彼の恋愛禁止発言には驚いたらしく「思春期の女の子になんつーことを言うんだ!?」と内心思ったほどであった(アニメージュ特別増刊号のインタビューによる)。
フラグ?
とはいえ、最初の制作発表の時点で「淡い恋愛を描く」ことが明らかになっている事。
OP映像ではめぐみや誠司、ブルーに思わせぶりなそぶりがある事。
ひめが「自分を迎えに来てくれる白馬の王子様」に憧れている事。
シリーズ構成女史がシリーズ4・5作目で恋愛要素を持ち込んだ人である事(ちなみにシリーズ4・5作は恋愛描写及び女の子同士や男同士の友情を濃く描いているので、一番禁止令の違反者が出る確率が高い。)
シリーズディレクター氏が結婚した上に孫娘もプリキュアになった人物を登場させた人である事。
そして何よりこの2人が5作目の映画において主人公カップルによるキスシーンを出してしまった事。
これらの要素及び、めぐみ=キュアラブリーにとって「愛」こそが正に自身のアイデンティティである事から、今回の件は今後に繋がる壮大なフラグになると見る向きもある。
この禁止令には「プリキュアは健全な作品。誤解を招くような不埒な表現は謹んで貰いたい」という制作側からのメッセージが込められた「薄い本へのけん制」であるという見方もあり、今後の動向が見逃せない。
考察、もしくはネタ
違反したらどうなるの?
過去にはスポーツニッポンでこんな記事が書かれていたりする。
熱愛発覚なら卒業!?プリキュア人気の秘密は“AKB式”鉄の掟
この禁止令が破られた場合、いかなるペナルティがあるのかは明らかになっていないが、現実にあった事例から色々と想像は膨れているようである。
恋愛がうまくいかないとどうなる?
「恋愛はうまくいっているときはいい。でも仲がこじれると、取り返しのつかない事になる」
というブルーの台詞を一字一句完全に再現した前例もある。実はこの人の中の人は公式ではないものの鉄板カップリングも存在するプリキュア経験者であり、ひとつ間違っていたら同じくとんでもない事態になっていた可能性は否定できない。
また該当の登場人物は人魚の魔女に変貌するが、この登場人物と同じくシンボルカラーが青のひめが第25話で海に潜った誠司をからかうためにプリカードで人魚に変身した。その回で人魚姿のまま溺れそうになったが、誠司に助けられて誠司に思わずひめが赤面してしまうという禁止令に引っかかりそうなシーンがあった。
恋愛にトラウマ?
ブルーがこの禁止令を出したのは、かつて自分の両親達がドロドロの愛憎劇を繰り広げてた事や、自身も異父弟や婚約者との愛憎劇の果てに婚約者を失うと言う、トラウマモノの苦い体験による影響との説があるとか無いとか(ちなみに父親に止めを刺したのはブルー様本人であるが)。
恋愛解禁はあるの?
さらに、めぐみの中の人の当たり役と出世作の、あの監督のあの作品を連想した人も多い(pixivでの投稿はまだまだ少ないが)。
こちらは、同じ中の人の腐った娘の上司の鶴の一声と、超巨大掛け軸の掲示で発せられた恋愛禁止令のもとで、わざと恋愛を促せながら恋愛感情を抱く寸前でストップさせる「恋の寸止め特訓」を行ったり、「恋愛解禁!」の一声で幕を閉じた。
一方プリキュアの方は最終回においてブルーはミラージュと共に地球を去る際「恋愛禁止令」を解除宣言しなかった為、「恋愛禁止令」は継続していると言わざるを得ない(最も後述の事情で、すでに「恋愛禁止令」がほぼ形骸化、あって無い様なものと化していたのではあるが…)。
どこまで禁止対象なの?
ブルーの「プリキュア内での恋愛は禁止」という言葉の厳密な定義についての議論が一部で飛び交っている。単純に「プリキュアというチームに所属している限りは、あらゆる相手との恋愛を禁止する」という意味なのか、「プリキュアというチームに関係するもの同士での恋愛を禁止する」という意味なのかで、扱いが大きく変わるからだ。もっとも、誠司はこの時点で「プリキュアというチームに関係するもの」になっているので、どちらにしても彼が恋愛禁止令の相手対象になっているのは変わりはないが(ちなみに良し悪しはともかく「社内恋愛禁止」と言われる場合は、あくまで「その会社の社員同士の恋愛が禁止される」ことであって、「社員であるかぎり一切の恋愛は禁じられる」ということにはまずならない)。
さらに、この言葉は聞きようによっては「プリキュア同士での恋愛を禁止する」という意味にも取れる。しかし、さすがに公式が百合キュアという概念を認めるわけはないだろうということで、逆転の発想として「誠司もプリキュアに変身するのでは?」という仮説も存在する。史上初の男の娘プリキュア誕生に期待を寄せる人もちらほら。
特にキュアハニーが謎のプリキュアとされていることから、ハニー=誠司説への期待も高まっている。また、更に新たな可能性も示唆された。
なお、現在ではこれらの説は大森ゆうこがハニーであると判明した事により完全消滅している
(詳しくはキュアハニーの記事参照)。
24話ではブルーはいおなに「プリキュア内での恋愛禁止」ではなく「プリキュアは恋愛禁止」だという言い方をしており、さらにいおなそれを受けて「いつかどこかの誰かを好きになったた時のこと」を語っている。なので定義としては「プリキュアというチームに所属している限りは、あらゆる相手との恋愛を禁止する」という方向であっているようだ。
家族ならどうなの?
恋愛禁止というお触れに対し、「家族ならいい」というイラストが投稿されている。つまり恋愛の先の段階にまで行くというものである
恋愛が上手くいかないことで生じる問題とは、成就するまでの過程で起きることが多いから、既に成就されているのであれば問題はないのではないか?という問題提起がなされている
実際めぐみと誠司は「兄妹みたいなもの」と言ってセーフなわけで。
また、第7話の大使館でのサプライズパーティーの話で、ひめが作った付き合っ……ではなく友達100日記念日のケーキを、めぐひめが愛の共同作業、ケーキ入刀していた。
その様子に誠司からも「結婚式かよ」と突っ込まれていたが、禁止令を出したブルーからはお咎めなしだった。
2014年は恋愛厄年?
今年のニチアサキッズタイム枠に目を向けると……
- 1時間前の番組では、ボスの座よりも片思いの相手を優先した敵組織の少女が想いを伝えた直後に退場。
- 30分前の番組では、想い人を守るために手を黒く染めすぎた少年が、守ることはできず、結果文字通り全てを失ってしまった
- 2時間前の番組では超大物がCVを務める暴れん坊な主人公が大失恋の末、意気消沈する
といった悲恋エピソードがある。
しかも前二人は人生が大きく狂ってしまうほどの結末に至ってしまっている。
ブルーが恋愛禁止令を出したのは、今年の悪い流れを考慮したのかもしれない。
本編での流れ
序盤では
本作の前半、2クール目あたりまでは、プリキュアたちは恋愛に憧れているようなシーンはいくつか描かれているのだが、この掟に対して自ら疑問を発するようなシーンはなかった。
もっとも後々にわかることだが、誰しもこの掟を理不尽だとはじめから感じてはいたようだ。だが、この当時のハピネスチャージプリキュアたちはまだ恋について真剣に考えておらず、いちいち文句を言うほどのことでもないと軽くみていたようである。
ブルーは18話で結婚式の花嫁衣装の話で盛り上がる四人に対し、「分かっているだろうね」と、眼光鋭い眼差しで「プリキュア恋愛禁止」を再確認させているが、そのときにも3人(めぐみ、ひめ、ゆうこ)とも「はーい」と全く緊張感のない答えをしていた。
反逆の狼煙
しかし、とうとう恋愛禁止令に真っ向から異議を唱えたプリキュアが現れた。
彼女の名はキュアフォーチュンこと氷川いおな。作中で唯一、ブルーとは無関係にプリキュアになった少女である。
第24話でハピネスチャージプリキュアの正式な仲間になったいおなに、ブルーは恋愛禁止令を通達するが、いおなは険しい表情で反論した。
「なぜ恋愛しちゃダメなんですか?」
「大切な人を守るために強くなれる、そういう力もあるんではないでしょうか」
「私は納得できないルールは守りたくはありません」
この言葉にひめも「頭ごなしに恋愛禁止なんて言われても納得できないよね、私も同意見だよ」と同調しており、本音ではこの掟に反発していることが明らかになった。
(もっともわずか3話後に掌返しするのだが・・・(後述))
また、ブルーに対し面と向かって反論こそしてないものの、大森ゆうこも同話にて「あの二人(誠司とめぐみ)を見守っていきたい」と、誠司のめぐみへの恋を応援する態度をとっており、この禁止令よりは友人の恋愛感情を重視している。
ただ27話では、ゆうこは「ひめが誠司に恋心を抱く」ことにかなり慎重な立場をとっており、さらに自分はかつて「誰か」に恋していたが、その誰かが別の人が好きだったので見守ることにしたと告白している。
これらのことから、ゆうこは恋愛を無条件に肯定しているのではなく、あくまで「誠司とめぐみ」の二人の関係を壊して欲しくないと考えているようだ。
当の「誠司とめぐみ」が恋愛関係にまで踏み出すことをしようとしないので、恋愛禁止令には中立的な立場のゆうこだが、ふたりの関係が恋愛関係に進展することになればゆうこの立場は大きく変わるだろうと思われる。
巻き起こる恋の火種
本作の後半、3クール目あたりからプリキュアたちの周囲では恋に発展しかねない様々なものごとが起こるようになった。しかし、その恋の伏線は結構な序盤から描かれている。
まず第一に見逃せないのは、恋愛禁止令を出したはずのブルーに対して、めぐみが恋をしてしまうというという案件である。
ブルー本人がいわゆるイケメンな上に恋愛禁止令以外では基本的には穏やかで優しい性格、そしてどこか物憂げで儚い雰囲気を漂わせているため、ある種の女性たちにとっては「守ってあげたい」と思わせる魅力がある。人助けを自分の道と考えるめぐみにとっては放っておけない存在であった。
また、めぐみにとってブルーは「今まで自分の知らなかった世界」を教えてくれるとても刺激的な存在でもある。さらに、一人っ子で父親が不在がちなめぐみにとって、彼のような年上の男性はとても惹かれるものがあった。
これらのことが複合的に重なり合い、めぐみは放映回を重ねるごとにブルーに対して強い思い入れを持つようになっていく。
ブルー本人はそういうめぐみの反応には鈍く、恋愛禁止令を標榜した張本人でありながら、めぐみが自分を意識するようになっても不思議じゃない行動を常々繰り返している。
この点は一部の視聴者から批判されているが、ブルーは別にめぐみの気を引くなどといった意識は全くなく、ただの天然である。とはいえ、「他人が自分に惚れる」という意識が欠落しているあたり、前年の幸せの王子や同じSDの魔性の女の子と同様、ある意味罪深い存在であると言えよう。
そして、この恋愛禁止令の発令のときに居合わせた誠司のことも見逃せない。3話ではブルーに対して「めぐみへの感情は恋なんかじゃない」とか言っていたが、実際は彼はめぐみに恋心を抱いている。
もしかしたら誠司自身もそれは自覚していなかった可能性もあるが、すべてを変えるきっかけになったのは24話の海合宿でのことである。熱を出して倒れためぐみをブルーがお姫様抱っこで部屋に運ぶところを目撃した誠司が複雑そうな表情を浮かべ、翌日に石神りんから受けた告白を「他に好きな人がいる」という理由で断っている。少なくともこの時点で誠司は明確にめぐみに恋をしているということが明白となった。
一方、さらにややこしいことに、ひめが無自覚ながら徐々に誠司に惹かれているような描写が序盤から少しずつ増えていき、24話、25話で誠司のめぐみへの恋心が発覚した直後、第26話でひめが誠司に助けられて以降、胸の高鳴りが抑えられないとめぐみを除く仲間たちに相談。「ひめ⇒誠司⇒めぐみ⇒ブルー」という、淡い恋愛模様どころか下手をすれば泥沼の四角関係に発展しかねない状況となった。
ひめが誠司に恋心を抱いたのではないかと仲間たちはパニックになり、そのことがブルーにバレたら大変なことになるとして必死にそれを隠し通していた。
そして誠司への恋心に目覚めて悶絶するひめの姿を目の当たりにしたいおなは、上述した24話で恋愛禁止令に反対した主張を覆して神様に深くお辞儀をしながら
「すみませんでした!やっぱりプリキュアは恋愛禁止にすべきです!!」
と、あっさりと掌を返してしまった。さすが卑川さんだ。
ただし注意しなくてはいけないのは、いおなは最初から「恋心がプリキュアとして強くなれる切っ掛けになる」「納得できる理由が語られてない」ということで恋愛禁止令に反対していたことである。
逆にいえば、恋愛がプリキュアを機能不全にするリスクを目の当たりにして、恋愛禁止の意味に納得したならば、恋愛禁止令を支持する側に行くのは当然の帰結なのだ。
いおなの立場を引き戻すには「恋心がプリキュアとして強くなれる切っ掛けになる」ことを事実として証明する必要があるだろう。
最終的には、ひめが誠司に感じた胸の高鳴りは所謂吊り橋効果によるものだったということでひめの恋騒動は勘違いという形に決着したため、この件がブルーに顕在化されることはなく、何らかのペナルティを与えることもなかった。
だがこの件についてはひめがめぐみと誠司のために恋心を封印したとみる向きもある。
また、31話では、キュアハニーこと大森ゆうこと、幻影帝国のファントムの間で微妙な関係が描かれた。
さすがに「恋愛」という段階で描かれたエピソードではないが、ファントムがゆうこに対して少し心を開いたことは、ファントムを大事にしているミラージュにとって新たな懸念になる可能性もある。
そんなこんなで、本作はプリキュア歴代作品の中でも恋愛絡みの人間関係がもっとも複雑な作品となってしまった。下記の関連タグのところに、作中で描写された恋愛ネタに関するカップリングタグを列挙しているが、結局ハピネスチャージプリキュアのメインキャラ全員に恋愛関係のエピソードが用意されるということになってしまっている。
恋愛禁止令の真意
本作では放映前から「淡い恋愛も描く」と公表していたこともあり、その中でこの恋愛禁止令が出たときから、この禁止令を出したブルーには深い事情があるということは予想されていた、
ハピネスチャージプリキュアのオープニングでは、彼と幻影帝国の首領クイーンミラージュが一緒にいる場面が出てくる。しかも、そのクイーン・ミラージュはある人物が変化した姿であるような描写がなされている。
第11話でクイーンミラージュが「歌で傷ついた心はいやせない」と発言し、第13話ではクイーンミラージュが自分に似た巫女がブルーと思しき神様と恋に落ちる夢を見ており、夢から醒めた後で「愛は悲しみを生む」とつぶやき、愛を全否定していた。
ブルーの方もアクシアの箱を手に、クイーンミラージュの涙を回想しており、ミラージュに忠誠を誓っているファントムからは激しい憎悪を向けられている。
また、ぴかりが丘神社には神と巫女が恋に落ちたという伝承が残っている。
これらの状況証拠から「過去にブルーはとある巫女と恋に落ちたが何らかの理由で破局し、巫女は失恋による心の傷が原因で愛を全否定するクイーンミラージュへ変貌した」という説が成り立ち、彼が「恋愛はうまくいっているときはいい。でも仲がこじれると取り返しのつかない事になる。」と言ったことにも説明がつく。ただし、まだブルー自身が明言したわけではないので飽くまでも推測の域を出ないが、23話でクイーンミラージュとブルーが劇中で初めて対峙した時は二人の間に只ならぬ因縁がある描写がなされているため、信憑性は高そうである。
そして、25話でブルー本人の口から「自分は過去にミラージュを傷つけてしまった」という旨の発言が飛び出し、27話では「かつて自分にも誰よりも大切な人がいた」として恋愛経験があることが判明、29話ではブルーは300年前に当時神社の巫女をしていたキュアミラージュと愛し合っていたが、「地球の神である自分は地球の全てのものを愛さなければならない」という理由から彼女の想いに応えなかったことを明かしている。
そのことは彼女の心を絶望の闇で覆い、自分を捨てたブルーが愛するといったこの世界そのものを不幸で満たしてブルーに復讐しようと決意した。こうして悪の女王クイーンミラージュが生まれたのである。
つまり、ブルーがプリキュア恋愛禁止令を出した真意は、クイーンミラージュを生み出した悲劇を繰り返さないためなのである。
本作のプリキュアはイノセントフォームにまで進化すれば「思い」の力で無限に強くなれる。しかし、その思いの善悪は問われない。プリキュアは本質的に心に強い愛を持つものしか選ばれないので、プリキュアたちの「思い」はたいていの場合は善意にあふれたものだ。しかし何らかのきっかけで愛が失われて憎悪に反転した場合は、プリキュアは愛の聖戦士ではなく、闇の力を無限にもたらす祟り神と化す存在でもあるのだ。
ブルーは本心では決してプリキュアたちの恋愛を否定したいわけではない。ただ、それが破たんすることを危惧して、心を鬼にして恋愛禁止を言い渡していたわけだ。
規制緩和へ
その一方でブルーは本心ではミラージュに未練があり、29~30話でめぐみたちに「それならば仲直りのための努力をすべき」と強く説得され、ミラージュを倒すのでなく和解することを目的にするようになる。
この件以降、ブルーは恋愛感情に関する考え方に若干の変化が見えるようになる。
第32話では、いおなが別のクラスの海藤裕哉から「お前のことが好きだ。付き合ってくれ」と告白をされ、戸惑う彼女に仲間たちはデートをしてみたらどうだと提案する。当然プリキュアは恋愛禁止の掟があるので、この話をしたらブルーから厳しく糾弾されると誰もが思っただろう。
ところがブルーは何のお咎めもなく笑って見守っており、逆にいおなが「プリキュアは恋愛禁止ですよね」と問い直しても何も答えなかった。
ブルーがプリキュア恋愛禁止の掟を作ったのは後述のように、ミラージュのように愛が破綻して闇落ちすることへの危惧からであった。しかしブルー自身が仲間たちの励ましで、ミラージュの愛を受け入れ話をつけに行くことを決意している。そうなるとこの掟が矛盾するためか、規制を緩和したとも考えられる。
もっと言えば、「大切な人ができたら、人は強くなれるはず」と言いきったいおなならば、ミラージュのようなことにはならないという信頼がブルーにはあったというところが正しいだろう。
実際、この話では「みんなの『好き』という気持ちを守りたい」という気持ちを高めたいおながイノセントフォームへと覚醒しているので、ブルーの見方は正しかったと言える。
ただし、恋愛がこじれた場合は危険だという描写は変わらず作中では強調されており、今回の場合ブルーの代わりにナマケルダが恋愛の暗黒面を狂気めいた口調で語っている。海藤裕哉をサイアーク化させたときの戦闘ではそれを表すかのようにモノトーンチックで描かれていた。
つまり今回は「いおなだから」恋愛をこじらせることはないとブルーが考えたんだろうということであり、これがいろいろと危なっかしい子だったら許してたかどうかはわからないところかも知れない。
『アニメージュハピネスチャージプリキュア増刊号』の長峯SDのインタビューによると、ブルーが恋愛禁止令を敷いた理由は、やはり自身のミラージュとの関係の失敗からの経験であると述べた。しかしひめが誠司を好きになった時でも大丈夫だったのでブルーはプリキュア達の恋愛をする姿勢を見て恋愛をするとチームが壊れるというのは自分の思い込みだったと気付き、恋愛するめぐみ達の成長する姿を見て彼女達を信じてみようという気になったとコメントした。実際にめぐみ達に影響されて38話でブルーがミラージュの元へ行き自分の本当の気持ちを伝えようとするぐらいに成長している。
43話でブルーはプリキュアたちの力を借りてミラージュについに自分の思いを告白し、熱いキスまで交わす。
そしてミラージュはその愛により憎悪の心は消え去り、世界は救われることになった。
しかしこれをハッピーエンドとするにはプリキュアたちにもちょっと思うところがあったようで、翌44話では女子だけのパジャマパーティーで神様への愚痴合戦が行われていた。
いおな「恋愛禁止令とか出しておきながら、一番恋愛してたのって神様よね?」
ごもっともでございます……
もっとも、ブルーとミラージュが元鞘に収まったことについては全員が心から祝福している。
だがしかし、恋がこじれるととんでもないことになるというブルーの実体験による警告はあながち間違ってもいない。
なぜなら、この直後から「恋は人を不幸にする」ことを証明しようとする最後の敵が現れるのだから・・・
この邪悪な意思の前にも、恋を避けようとせずに前へ進みたいならば、それだけの勇気が求められることだろう。
現実の話として
ハピネスチャージプリキュア!のシリーズ構成である成田良美はプリキュアシリーズの最初期から関わり続けている最古参のスタッフだが、「プリキュアはシリーズを重ねるにつれて、恋愛に関してまるでタブーのように扱われるようになっていった」という危惧を持っていたようで、その空気感を打ち壊すために本作では恋愛をあえて目立たせるようにしたということを、最終回後に刊行された『ハピネスチャージプリキュア コンプリートガイドブック』にて語っている。
実際、『ハピネスチャージ』の数年前から、スタッフ側が「男性キャラと女性キャラを交流」させるときに、恋愛的なイメージに繋がらないように敏感になっているケースがしばしば見られている。
例えば、『スイートプリキュア』ではシリーズ前半は猫妖精のセイレーンが王子正宗へ少なからず憧れを抱いてしまう様子が度々描かれていたが、セイレーンがプリキュアになった途端にその王子の登場が極端に減らされてしまい、以降は作中で王子への憧れは一切描写されない。(絡みこそあったが、憧れている描写は無く、王子に至っては、セイレーンの事を忘れている様子だった)
また、『ドキドキ!プリキュア』では主人公の相田マナに恋愛をさせようというプロットが様々な事情でことごとくボツになっていった過程が各所で語られている(詳細は相田マナの項目にて)。恋のお相手にするつもりで設定した男性キャラは登場しなくなるもしくはキャラクターの立ち位置の大幅な変更がもたらされ、特に頼れる助っ人として設定されていたジョー岡田は道化のようなコミックリリーフに変貌されてしまった。
プリキュア恋愛禁止令は、そういう制作サイドの空気感を皮肉ったところもあるのかも知れない。
ハピプリ後のシリーズの恋愛描写と男性キャラクターの描写
成田の痛烈な皮肉は制作サイドに割と大きな影響を与えたようで、本作以降の作品ではコアな恋愛描写自体は避けているものの、男性キャラを腫れ物のように扱う不自然さは解消されてきてはいる…と思われてはいるがアニメ本編内で明確に恋愛を描いた『HUGっと!プリキュア』以外は別解釈が出来る・メインキャラに絡ませない・そもそも出ないなどあの手この手で避けている節がまだまだ見られている。主人公カップルが全編に渡って公式からプッシュされた「デリシャスパーティ♡プリキュア」ですら明確な成就描写は避けられた。
「女の子のための」プリキュアシリーズで「素直に恋愛が楽しめる作風ではない」と思われている事は、シリーズに対する「呪縛」であるかもしれない。
Go!プリンセスプリキュア
メンバーが恋をしている明確な描写はなかったが、主人公の春野はるかとカナタ王子が互いを敬愛し信頼しあっているという関係性がある。この2人の間に恋愛感情があるのかないのかはファンの間でも意見が分かれている(カナはるの項目を参照)。コミカライズ版では明確な恋愛描写として描かれており10年後に結婚する約束を交わす展開もあった。
一方、はるかは球技大会でテニスを選び、同じクラスの藍原ゆうきとダブルスを組むが、実はゆうきは幼稚園時代にはるかの「プリンセスになる夢」をバカにして意地悪していた男の子だった。それ以来2人はファミリーデーの回、ゆうきが怪我をして気を落としていた回などでケンカップルの様子を見せている。⇒ゆうはる
また、メンバーの1人である海藤みなみにベタ惚れして許嫁を自称した御曹司が登場した。
魔法つかいプリキュア!
プリキュア側が異性にときめくような描写は皆無であるが、これはみらいとリコの2人には恋愛を持ち込まない方針が最初から決められていたことが大きい(『魔法つかいプリキュア! オフィシャルコンプリートブック』より)。本作では「みらいとリコの2人の関係性を描く物語」がコンセプトであり、ここに恋愛を入れると片方だけのドラマになるという理由で避けられたということ。本作ではどんなシーンであろうがみらいとリコを常にセットで扱うことが徹底されており、恋愛に限らずみらいかリコどちらかのみをメインにしたエピソード(いわゆる個人回)というものがほぼ存在しない。
一方、追加戦士枠であることははこのあたりの制限が緩かったようで、恋愛まで発展することはなかったものの、男性キャラと触れ合い親密になる描写がみらい・リコよりも格段に多い。コミカライズ版の書き下ろし漫画ではことはが漫画のオリジナルキャラクターの男性とがっつり恋愛する話がある。
また、34話は長瀬まゆみが他校の生徒との初恋話だったことで、ブルーが介入するネタがpixivで投稿されていた。
キラキラ☆プリキュアアラモード
主人公である宇佐美いちかが剣城あきらに一目惚れする。しかしあきらはキュアショコラに変身する女の子であり、いちかがボーイッシュなあきらを男性と勘違いして一目惚れするというオチ。
このようなパターンは過去に花咲つぼみと明堂院いつきで前例があるが、第6話という序盤でのまさかの展開は視聴者を驚かせた。
いちかが物怖じしないキャラということもあり、恋心の発露の描写はつぼみの時よりもはるかに直接的に描かれている。いちかから自らデートに誘おうとしたり、あきらに他の女の影があるといちかが嫉妬したりと、ギャグ方面の描写ではあるが、プリキュアシリーズで「プリキュア側の方が異性との出会いに貪欲」とするのはハピプリでも見られなかったものでもある。
2クール目にて今度は所謂イケメン枠として敵キャラクターのジュリオ/黒樹リオが登場。謎の転校生としていちかの同級生女子をメロメロにする描写こそあったが、プリキュア側に対する行動は悪意を強調する演出も相まって別段恋愛までは発展しなかった。代わり(?)に後々仲間入りした後は実姉であるキラ星シエルとの(やや一方的ながら)仲睦まじい姿が度々描写されている。
25話ではナタ王子が琴爪ゆかりに求婚し紆余曲折の末断られるというエピソードが登場、この回では一見男女の恋愛をテーマにしながら実際はゆかりとあきらの友情を深める結果となっている。
また恋愛と呼べるかははっきりしないが、先代プリキュアであるルミエルがノワールにその博愛を自分だけに向けるよう迫られ、プリキュアとしての使命を優先するため断ってしまったことが全ての始まり(早い話がブルーとキュアミラージュの男女逆転版)であることが終盤で語られている。
HUGっと!プリキュア
片想いであるものの、ほまれはハリーに恋愛感情を持っており、二人がメインの話がたびたび放送されている。ただし、ハリーはキュアトゥモローに想いを馳せており、ほまれはハリーに告白するもそれを理由に断るという、めぐみ以来の失恋エピソードが描かれている。
また恋愛感情ではないものの、ビシンがかなりハリーに執着していることもありハリーを巡ってほまれとビシンが戦闘を繰り広げる様子は一部視聴者からは今カノVS元カノの三角関係みたいだと評されていた。
輝木ほまれの旧知の友人にしてスケート王子の若宮アンリは当初ほまれとの関係性がもしや恋愛に絡むのではと思われたが、愛崎えみるの兄愛崎正人との関係性が別の意味で話題をさらっていった。
また、主人公である野乃はなの初恋の相手がジョージ・クライであり、ジョージもはなのことが好きというのが関係者から語られている。そしてこの二人の現在および改変前の未来での関係が、この作品の根幹ともなる要素として描かれている。(詳しくはジョジはなやアナザーはなの記事を参照してほしい。)
はなはクラスメイトの阿万野ひなせに想いを寄せられていたり、最終回で夫(誰かは明言されていない)が病院に駆けつけるなど未来では結婚をしている描写がある。
「キュアエールさんガチ勢」であったクラスの男子の千瀬ふみとは新たな未来世界でアカルイアス社の社長となったはなの秘書を務めている。
スター☆トゥインクルプリキュア
プリキュアメンバーの5人には特段の恋愛描写はなかった。あえて言うなら、プルンスは宇宙アイドルマオの大ファンであったが、紆余曲折を経てマオがユニとしてプリキュアの仲間に入った後はそのような様子は見られなくなり、普通に仲間として接していた。
プリキュアと恋愛関係にならずに絡むクラスの男子生徒キャラとして軽部タツノリ(通称カルノリ)が出てくる。
ヒーリングっど♥プリキュア
妖精が成人女性にトキメく回があったもののギャグチックな描写(勿論失恋)に終わっており、前作に引き続きプリキュア4人の恋愛描写はなかった。
少年敵幹部にダルイゼンやケダリー、隣のクラスの益子道男という男子生徒のキャラクターが出て来たが、やはり前作の軽部タツノリと同じ恋愛に絡むようなキャラクターではない。
トロピカル〜ジュ!プリキュア
前作に引き続きプリキュア5人の恋愛描写はないまま最終決戦に突入。
というか今作品、メインキャラの男性がカニやタツノオトシゴくらいしかおらず、ゲストキャラも男子はほとんどプリキュアメンバーと絡まない。前作のダルイゼンのような少年敵幹部や、前々作の軽部タツノリや前作の益子道男のようなプリキュアと恋愛関係にならず絡む男子さえ出てこないのである。
「今一番大事なことをやる」のがトロピカる部の方針だが、その「今一番大事なこと」の中に恋愛は入っていなかった様子。
劇中でアンデルセンの『人魚姫』やヨーロッパ民話の『シンデレラ』が出てきたため、メンバーの誰かが恋をするのではと予想していた視聴者もいたが…。
(一部、視聴者に「湿度の高い百合」と呼ばれるカップリングも存在する。)
デリシャスパーティ♡プリキュア
なんと、久しぶりの主役キュアの幼馴染メインキャラとして品田拓海が登場。
更には公式の紹介イラストにプリキュアや妖精たちに交じって拓海によく似たマントと仮面の少年が描かれており、早くも展開が予断を許さない状況となっている。
もっとも、拓海のほうがゆいを気にかけている一方で、ゆいの方は全く何とも思っていない様子であり、彼女の方が禁止令に抵触しそうな状況では無い。
ただし幼少期からお隣さんとして長年連れ添った家族としての二人の絆は強く、またそういう意味でのゆいから拓海への好感度は非常に高いようであり、恋愛を一切介さないままに夫婦のような行動をとる二人が時おり描かれている。拓海がゆいに抱く恋心は全く伝わらないのだが、二人の間にはそれ以外ほとんど障害がなく、互いの両親からはほぼ公認に近い状態で周囲からも応援されており、そういう部分まで含めて幼馴染恋愛もののかなりベタなパターンの一つをわりと順調に歩んでいる。
最初からクライマックスな反面いっさい進展の無い二人であったが、第40話(ブラぺの正体バレ回)にしてようやくゆいの拓海に対する「当たり前」という感情が大きく揺さぶられることになった。その後に二人の意見が対立しゆいの判断ミスによって拓海の命の危機を招くが、それでもなお拓海がゆいを支えて立ち直らせたことでついにゆいの拓海に対する認識が無意識レベルで変わり始めたようである。
最終回のラストではゆいは世界を見て回る旅に拓海を最初に誘っており、その際に劇中で今まで一度も描かれたことのない女性らしい微笑みを向けていた。明確な成就こそ描かれなかったものの拓海への好意をゆいが自覚しかけていることが仄めかされており、それまでの夫婦的な幼馴染描写も合わさって将来結ばれることを示唆する鈍感系主人公のラブコメを男女逆転したような形の結末となっている。
ひろがるスカイ!プリキュア
今作ではシリーズ初となるレギュラー男子プリキュアとしてキュアウィングが登場。
オープニングやエンディングではシリーズ初のレギュラー成人プリキュアであるキュアバタフライとのコンビが強調されており、はやくもおねショタの波動を漂わせているが、果たして…。
関連タグ
プリキュア赤点禁止令→ 第12話での新たな衝撃
作中で描写された恋愛ネタ
誠めぐ - 誠司とめぐみ
ブルめぐ - ブルーとめぐみ
ブルミラ - ブルーとミラージュ
誠ひめ - 誠司とひめ
裕いお - 裕也といおな
ファンミラ - ファントムとミラージュ
誠ゆう - 誠司とゆうこ(推定。詳細は該当項目)
ファンゆう - ファントム(ファンファン)とゆうこ(但し、“恋愛”として見るならかなり微妙)
違反者・反対派
(作品順。異性との関係が描かれた者のみ。妖精は人間に変身できるもののみ掲載。個別記事のあるカップリングは矢印の後に関連タグ掲載。※は相手の側から片思いされたケースで、プリキュア側にその気がない限り「違反」として扱われるかは微妙)
ふたりはプリキュア
※固有名は全く出てこないが、平均月一回男子部の生徒からラブレターを貰っているという(全員断っていることは間違いない)。
ふたりはプリキュアSplash☆Star
プリキュア5
フレッシュプリキュア
ハートキャッチプリキュア
スイートプリキュア
スマイルプリキュア
ドキドキ!プリキュア
魔法つかいプリキュア!
花海ことは(ジェイド:漫画版の男性のオリジナルキャラクター)