概要
『こんな夜更けにバナナかよ』は、渡辺一史によるノンフィクションエッセイ。正式タイトルは、「こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち」。
全身の筋力が徐々に衰えていく進行性筋ジストロフィーという難病を抱え、北海道札幌市に在住していた男性・鹿野靖明を取材したノンフィクション作品。
1人では体を動かせないうえ、人工呼吸器の使用により痰の吸引を24時間必要とする鹿野が選んだ自立生活と、それを24時間体制で支えるボランティアたちの交流が描かれている。
書籍のタイトルは、夜中にいきなり「バナナが食べたい」と言い出した鹿野に対して、ボランティアの一人が心に浮かべた感想から取られた。鹿野の自由奔放な性格の象徴として紹介されるエピソードであると同時に、障害者と介助者との対等な関係がいかに構築されるべきかという、ノーマライゼーションの本質を問うタイトルとなっている。
2018年に「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」というタイトルで映画化。主演は大泉洋。
登場人物
- 鹿野靖明(演:大泉洋)
筋ジストロフィーを患い余命数年を宣告された障害者。手と首から上の筋肉しか動かせないが、口だけはやたら達者。余生を謳歌するため職員たちをこき使う等わがままな性格。
- 田中久(演:三浦春馬)
鹿野を担当する医大生のボランティア。鹿野のわがままに辟易するが、徐々に彼の真意を察するようになる。
- 安堂美咲(演:高畑充希)
久の彼女。久が鹿野にこき使われていることを知り、「障害者だったら何でもやってもいいと思っているんですか?」と苦言を呈する。