概要
2013年3月より秋田書店の季刊誌『もっと!』(Eleganceイブ増刊)にて連載された阿部共実の初の長編漫画。単行本は全1巻。
序盤は「ちーちゃん」と呼ばれる女子中学生と、その友人たちとの何気ない日常を描くほのぼのコメディだが、じわじわと重苦しい雰囲気に転じていく。
2014年11月に第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞し、同年12月には宝島社の『このマンガがすごい!2015』オンナ編1位に選ばれている。
あらすじ
ちーちゃんは少しオツムの弱い天然な女の子。
そんなちーちゃんを取り巻く平凡な日々は、ある出来事を境に一変してしまう。
私たちはいつも何かが「ちょっと足りない」——訳もなくそう不安を抱える女子中学生のちーちゃんとナツ。
多感な思春期の複雑な機微が、残酷なほどに深部まで描かれる衝撃的な群像劇。
登場人物
ちーちゃん / 南山千恵(みなみやま ちえ)
この物語の主人公。
中学2年生にしては言動が幼く感情的で、体も小学生に見えるほど小柄。
勉強は苦手だが無邪気な性格なので、周りからは好かれている様子。
同級生のナツとは幼馴染で、旭とは中学からの付き合い。
向こう見ずな千恵のとある行いのせいで、今までの人間関係にひびが入るはめになる。
小林ナツ
千恵の友人のひとりで、彼女を「ちーちゃん」と呼ぶ。この物語の実質的な主人公。
内気で卑屈な上に時折配慮に欠ける性格が災いし、同級生で気兼ねなく付き合えるのは千恵と旭だけ。
学業の成績は芳しくないものの、千恵ほどには悪くない。
自分に比べて恵まれた旭に劣等感を抱いており、その一方で千恵は自分と同レベルだと思い込む。
しかし千恵が起こす一件が原因で、ナツの足場が揺らいでいく。
旭(あさひ)
千恵とナツの同級生で友人。
裕福な家庭で育った才媛。メガネをかけており、一見クール。
強気で無愛想だが友達思いで、千恵が過ちを犯した時には本気で叱る。ただしその接し方は多少独善的。
南山志恵(みなみやま しえ)
千恵の姉。高校2年生で、妹とは正反対に大人びている。
妹思いでもあるのだが、千恵に漏らしたたわいない言葉が作中の事件の引き金となる。
藤岡(ふじおか)
千恵の同級生でバスケ部員。
派手な見た目と乱暴な言動から不良と思われナツには敬遠されているが、実際は寛容で家族のために身を粉にする側面もある。
千恵の事件がきっかけで彼女や旭と親しくなるものの、それがナツとの間に亀裂が生じる要因にもなってしまう。
宮沢(みやざわ)&野村(のむら)
藤岡の友人たち。いつも藤岡と連れ立っている。
奥島(おくじま)
千恵のクラスの委員長。成績優秀で温厚な男子生徒。
千恵に懐かれているが、毎度名前の読み方を「おぐじま」と間違われる。
如月(きさらぎ)
千恵のクラスの副委員長。
奥島と恋人同士と思われるほど仲が良い。