概要
『文豪とアルケミスト』に登場する横光利一×川端康成のカップリング。
このタグを用いて投稿する場合、腐向けタグとの併用や、文アル【腐】など、住み分けタグの使用が望ましい。
ゲームにおいて
横光・川端の二人ともが新感覚派に属する。
新感覚派時代についての横光・川端回想と、横光が川端について堀辰雄に語る回想が存在する。食堂の夏メニュー「かき氷」でも、新感覚派ならではの回想を見ることが出来る。
二人での双筆神髄も特殊ボイスが実装されている。
また、横光は転生(2回目以降)、助手(クリック時と放置時)、絶筆ボイスの計4種において川端に言及しており、「川端康成の盟友」としての位置づけが強調されている。これらの台詞はサービス開始(川端未実装)時から実装されており、二次創作でネタにされる事も多々あった。
川端が横光に言及するボイスは実装されていない。
以下ネタバレ注意
横光・川端の回想は、ろの段「蠅」で戦闘開始時に発生する。
内容は二人で新感覚派時代を懐かしむというものだが、二人の対照的な性格がよく表れている。川端が横光の没後25年間生きたこととも合わせ、二人のテンションの差には大いに深読みの余地がある。
両方ともがベテラン声優であるので、その演技は必聴。とても切ない。
史実において
二人は横光が23歳、川端が22歳の時に、二人の恩師である菊池寛の紹介で出会った。菊池は川端に、「あれ(横光)はえらい男だから友達になれ」と言ったという。その言葉通り、二人はその後、何かと行動を共にする友人となる。
出会ってから数年後、川端が主導して同人誌「文藝時代」が創刊され、横光・川端はその中心的作家としてやがて新感覚派と呼ばれるようになっていく。
新感覚派時代、横光が実験的な意欲作を次々と発表する一方、川端は試行錯誤の不遇な時期であり、新感覚派の双璧と呼ばれながらも二人の評価には大きな差があった。しかし川端は決して横光に嫉妬することなく、常に横光のフォローに努め「川端は横光の女房役」と揶揄されることもあった。
横光・川端の作風や性格はことごとく対照的であり、横光が陽・男性的・叙事的・鉱物的・好奇心旺盛で孤を好む性格、川端は陰・女性的・抒情的・植物的・争いを好まず人と和す性格…等と対比されて表現されることが多かった。そんな二人が無二の友人であることに周囲はよく疑問を感じていたようだが、川端は横光を頼り、横光は川端に甘えるという、対照的であるからこその良好な関係を築いていた。
なお、新感覚派時代の二人を語る場合、評価が横光>川端であったことから、川端・横光ではなく横光・川端と呼ぶことが通例となっている。
新感覚派時代が5年ほどで終わった後も、二人の友情は続いた。
戦時下において横光は菊池らとともに文芸銃後運動に参加し、戦後は「文壇の戦犯」として名指しで非難を受けた。文学論における迷走などもあり、一時期は「文学の神様」とまで呼ばれた横光の評価が徐々に下がっていく中でも、逆に評価が上がりつつあった川端は変わらず横光をかばい続けた。
自身への非難や敗戦の衝撃から体調を崩した横光が亡くなった際、川端も弔辞を読んだ。切々とした慟哭の言葉は川端から横光への愛情を感じさせ、読む者の胸を締め付ける名文である。ぜひ読んでください。
横光没後も横光の評価は下がり続けたが、その間も、また横光が再評価され始めてからも、折につけ川端は横光の人柄の良さを褒め称える随筆を書いている。
二人が友人としてともに在ったのはおよそ四半世紀であったが、川端は横光没後もさらに四半世紀生きた。