概要
かつて《アクラス召喚院》に在籍していた7人の召喚師。
各々が《魔神討伐隊》の隊長を務める実力者達であり、その腕を見込まれ異界《イシュグリア》の調査チーム《イシュグリア先遣隊》に任命された。
召喚院の最高戦力を揃えた盤石の布陣と目されたものの、結果として誰一人生きて帰る事は無かった。
メンバー
当時、第4魔神討伐隊『クリムゾンクラッド』を率いていた隊長。
重厚な深紅の鎧に、ノコギリ状の刃を持った大剣で武装した壮年の男性。左目に眼帯をつけている。
平民出身でかつてはランドール皇国の軍に所属していたが、最初の召喚師オーンの戦いを目の当たりにした事を切っ掛けに軍に辞表を提出、アクラス召喚院へと移籍する。
平民から叩き上げで上級将官にまで上り詰めた来歴の通りスパルタ気質であり、召喚院では召喚老に次ぐ指導的立場にあった。彼に鍛えられた新人たちはみな優れた人材へと成長したと伝えられる。
実力は指折りで、同じ隊長格のアイリスにも「あの人に勝てるのはオーン様ぐらい」と言わしめている。
イシュグリア調査においては先遣隊の隊長に任命された。
当時、第5魔神討伐隊『リベレイション』を率いていた召喚師。
青い長髪の女剣士で、グリフとは対照的に知的で落ち着いた雰囲気を纏う。
元はランドール皇国の文官だったものの、《エルガイア連邦》の諜報員の嫌疑をかけられた過去があり、それが理由で皇国を去りアクラス召喚院に移ったのではないかと言われていた。
後に実際にスパイであった事が明かされるも、アクラス召喚院においては自分の立場に葛藤している面もあったと補足されている。
グランガイアのどの地域で活動したかについては記録が残っておらず、正体が諜報員ゆえに意図的に消された可能性が高いとされる。また召喚師としては護神十二聖の英霊を好んで召喚していたようであり、その理由は彼女が神域と呼ばれる地域を調査し大戦期の重大な真実を掴んだからだという説も語られている。
当時、第8魔神討伐隊『エバーグリーン』を率いていた召喚師。
緑の甲冑に身を包む艶やかな金髪の女性剣士。明るく前向きな性格の持ち主。一方で恥ずかしがり屋な一面もある。
ランドール皇国の貴族の生まれであり、元は皇族護衛部隊《インペリアルガード》に所属していた。ある日、召喚師の能力に目覚めた事で家族の反対を押し切ってアクラス召喚院に移籍。飾りでしかない騎士団ではなく、本当に人の役に立てる立場になる為の決断だったものの、実家から勘当されてしまう。
召喚院内では常に向上心を絶やさず努力し、実力で魔神討伐隊の隊長に上り詰める。グランガイアの調査では四堕神の一柱アフラ・ディリスが支配する地域ヴリクシャ地方を調査し、四堕神の覇権争いなどの情報を手に無事に生還するという成果も上げた。
当時、第7魔神討伐隊『ゼノブリッツ』を率いていた召喚師。
赤いトサカがトレードマークの豪快な性格の男性。武器は針と刃のついた棍棒。
いかにもヤンキーのような荒っぽい口調と筋骨隆々な外見に反してこれでも研究者であり、召喚院に所属する前はエルガイア連邦の科学研究員だった。自身が身につけた召喚術を平等に使いたいという思いからアクラス召喚院へと移籍する。
召喚師としてグランガイア調査を行った際はアタルヴァ地方を探索し、伝説上の技術者達が残した品々を発見。技術解明に大きく貢献する。召喚院の様々な技術や召喚術研究所の設立も彼の功績による所が大きい。その知識は甥っ子を通してその息子ノエルに受け継がれる事になる。
何事にも極端な性格ゆえに他者との衝突は頻繁にあったらしく、中でもカフカとは犬猿の仲だった事が周知の事実となっていた。
当時、第9魔神討伐隊『ブレイブラスティング』を率いていた召喚師。赤髪の好青年で、イシュグリア先遣隊の中ではミーファに次いで後輩に当たる。武器は大剣。
エルガイア連邦の平民出身ながら、召喚師として類稀な才能を持っており、召喚老の指導によって短期間で最高レベルの召喚師へと成長した。それを驕るような事もなく、礼儀正しさも兼ね備える人格者である。
その有能ぶりから次世代を担う人材として期待されていたものの、実は壊滅的な機械オンチという弱点があり、異界の技術の記録を残せないという調査する上で致命的な問題も持ち合わせていた。グランガイアではリゼリア地方の勢力を駆逐し四堕神の支配しない地域にするという快挙を成し遂げているものの、機械オンチにより肝心のラ・ヴェーダ及び謎の塔の調査報告は世辞も言えぬ残念なものになった模様。
酷い時には触っただけで装置を故障させるらしく、ゲーム内でも度々ネタにされていた。
アイビーという幼馴染の女性がいる事が小説版で明かされ、そちらは後にサウザンドメモリーズとのコラボの際に新規で立ち絵が用意されプレイアブル化した。
当時、第6魔神討伐隊『デスカラミティア』を率いていた召喚師。斧を武器とする姉御肌の女性。
経歴には不明な点が多く、召喚院に入る前はランドール皇国で魔術を研究していた事ぐらいしか知られていない。召喚院に入った理由も謎だが、魔術師の家系としての才覚を存分に発揮し、グランガイアの魔術文献を読み解いて失われた知識を蘇らせるなどの功績をもたらした。
グランガイアではバリウラ地方を調査し、帝国が残した多くの研究資料を発掘。中でもある闇術師(恐らくシダ)の研究施設で得られた記録は有益で、自分自身の力を高めるのにも役立ったという。召喚術研究所は彼女とロアが持ち帰った知識・技術により設立された。
リベラいわく、料理も上手いらしい。
当時、第10魔神討伐隊『ジャスティンガー』を率いていた若き召喚師。赤髪と褐色の肌が特徴の青年。武器は二振りの短剣。
イシュグリア先遣隊の中では最も後輩であり、実力的には他のメンバーに遅れを取ると見られていたものの、クランツの推薦によりメンバーに選ばれる。潜在能力・将来性という点では召喚老も認める器の持ち主であった。しかし……。
顛末(ネタバレあり)
新たに発見された異界イシュグリアについて、アクラス召喚院は調査の開始を急いでいた。この時代、未開拓地の早期調査は組織の発展に大きく関わる要件であり、とりわけ《アベル機関》に先を越される事は許されぬ事だった。しかし、未知の魔神ひしめくイシュグリアの調査は危険を伴う為、調査メンバーは慎重に選ぶ必要もあった。またエルガイアではランドール皇国とエルガイア連邦が戦争に発展しかねない緊張状態にあり、アクラス召喚院は両国の緩衝役として動かなければならなかった為、召喚老の3人はエルガイアに留まらなければならなかった。
その結果、選ばれたのは魔神討伐隊の中でも抜きん出た実力と確かな経験、実績を持つ7人の隊長達だった。秘密裏に結成されたチーム《イシュグリア先遣隊》はグリフを隊長とするいずれもグラデンスの信頼厚いメンバーであり、グラデンスは彼らなら必ずやり遂げるだろうと信じて疑わなかった。
ゲートからイシュグリアへ入り、かの地を調査しつつランドールへの帰還ゲートがある《滅獄の岸壁》へ向かい、調査報告を終える事。それがイシュグリア先遣隊の任務だった。
しかしイシュグリアに到着早々、部隊は武を求める魔神シュスイの攻撃に執拗に晒される。この魔神が強者との戦いを望んでると気付いたグリフは、隊長の役をクランツに引き継ぎ、自らは囮になってシュスイの注意を引く事に決める。クランツは先輩のロアやカフカを差し置いて自分が隊長に選ばれるのは不相応だと悩むも、ロアもカフカもその人選に異論はなく、むしろ適任だと考え同調した(この二人ではどちらが隊長になっても片方が反抗的になるのが目に見えているのもある)。グリフ一人でシュスイの相手をするのは危険であると知りつつ、グリフの実力を信じてクランツ一向は帰還ゲートの在処へと進んだ。
早速現れたシュスイと激闘を繰り広げるグリフだったが、力の差は早々に感じ取っていた。しかし覚悟を決めてシュスイが再戦の場に指名した地に進み、再び交戦。深傷を負わせクランツ達へのこれ以上の追跡を断念させるに至ったものの、シュスイの強大な力には敵わずグリフはそこで息絶えるのだった。
グリフと離別した後、クランツ率いる先遣隊は新たな魔獣ギュ=ザレグの襲撃に遭う。6人の連携で優勢な戦いが出来たものの、魔獣の強力な攻撃により地盤が崩れ、隊員は崩落に巻き込まれ離散。運良く5人は合流する事が出来たものの、アイリスだけが行方不明となってしまう。必死で捜索を行うクランツ達だったが、いくら探しても見つからず、これ以上は無意味だとしてロアは切り上げを提言する。最優先はイシュグリアの調査報告書をアクラス召喚院に届ける事。カフカもその意見に賛成して、クランツは苦渋の想いでアイリス捜索を中止。必ず増援を連れて捜索に戻る事を誓いつつ、道程を進む事を選ぶ。
実はアイリスは無事ではあったものの、隊と合流するのは後回しにするつもりでいた。孤立という状況は諜報員として秘密裏に活動するには絶好の機会であり、自分を探してくれているであろうクランツ達に負い目を抱きつつ、己の務めを全うする事を決める。その矢先に魔神モーラが現れ、封神ルシアスの神徒を騙りながらアイリスを奸計にかけようとする。しかしグランガイアでの独自の調査によりルシアスの真実を知っていたアイリスはモーラの言葉が罠だという事を見抜いていた。アイリスはあえて騙されたふりをして、クランツ達が先へ進む為の時間稼ぎの為にモーラの誘いに乗る。そして頃合いを見て芝居を放棄し、モーラと交戦した。
戦いはアイリスの劣勢に傾き、疲労が蓄積してきていた所にギュ=ザレグが再び出現。ギュ=ザレグは一度逃した獲物も分身体を生み出して追跡するという習性を持っていた。油断していたアイリスは魔獣の攻撃により致命傷を受け、無念のうちに事切れる。そして彼女の持っていた多くの情報がモーラの手に渡り、失われてしまうのだった。
帰還ゲートを目指して進む5人の隊は、先ほどの魔獣が追跡してきている事を察知。戦闘準備にかかるが、その時ロアは近くの遺跡を見て、ある装置の存在を確信。妙案が浮かんだという体で一人ギュ=ザレグを引きつける事を申し出る。心配をかけないよう軽口を叩いて仲間を送り出すロアだったが、彼の策は魔獣を巻き添えにした自爆作戦だった。ギュ=ザレグを誘い込みいざ決行を図ろうとしたタイミングで、ロアの考えを見抜いていたカフカが戻ってきて、作戦変更を余儀なくされる。そんなロアにカフカは自身が手に入れていた魔神化の術を披露。呉越同舟の共闘に打って出た。
激しい戦いによりロアは回復の見込めない重傷を負い、カフカも魔神化の副作用により再起不能に陥る。もはやなす術は無いと悟ったロアは、せめてギュ=ザレグを道連れにと、当初の予定通り装置による自爆を決行するのだった。
残り3人となってしまったクランツの隊に、更なる障壁として魔神カロンが立ち塞がる。カロンはクランツ達を危険分子としては今は取るに足らぬと見ていたものの、僅かでもこの地の封印を解く可能性があるものとして、小さな芽のうちに摘んでしまおうと考えた。クランツはその魔神の強大な力を感じ取り、先輩の召喚師達がしてみせたように、自分も足止め役となりミーファに調査報告書を託し一人逃す作戦を決意。一人も逃さぬと迫るカロンにリベラと共に斬りかかった。
しかし、天賦の才を持つクランツがリベラと二人がかりで戦ってもなおカロンとの力量差は果てしなく、二人は瀕死に追い込まれてしまう。逃げたミーファを追う為にクランツらにとどめをさそうとするカロンに二人は死力を振り絞って立ち上がる。そして最後の力をこめて放った一撃によりカロンは思わぬダメージを負い、ミーファの追討は諦めざるを得なくなった。クランツとリベラは命を使い果たし、仲間と家族への想いを口にして崩れ落ちた。
最後の一人となったミーファは《滅獄の岸壁》へ辿り着くも、そこには帰還用のゲートはどこにも無かった。絶望し、アクラス召喚院への疑念と怒りを膨らませるミーファのもとへ、またしてもギュ=ザレグが現れる。
孤軍奮闘の末に、ミーファはようやくギュ=ザレグを完全に滅ぼす事に成功。しかしエルガイアへ帰還する術が無い事は変わらなかった。ミーファは死んでいった仲間達の想いを胸に、絶対に生き延びてその無念を晴らす事、自分達を見捨てたアクラス召喚院へ復讐する事を誓うのだった。
真相は、アクラス召喚院に先を越される事を阻止しようとアベル機関が帰還用ゲートを破壊してしまったというものだった。しかしアクラス召喚院はその時、ランドール皇国とエルガイア連邦の橋渡しとして両国を奔走しており、帰還用ゲートが破壊された事に気付けなかったのである。
それから後の数十年、イシュグリア先遣隊メンバーは生死不明の扱いとなり、彼らの率いていた魔神討伐隊は欠番となった。
この出来事はゲーム内の『グランガイア戦記』及び『グランドクエスト』にクエスト形式で実装された。また『グランドクエスト』の方はノエルによる当時の状況再現という形の為、全員が生還を果たすというIfルートが組み込まれていた。
本筋の物語では、アクラス召喚院が再びイシュグリアに足を踏み入れた事で唯一の生存者となったミーファと再会。しかしイシュグリアで生き抜いてきた彼は魔神の力を取り込んで人ならざる姿へと変貌し、また自分達を裏切った召喚院への恨みによりもはや帰る意志はなく、むしろ召喚老であるグラデンスとオーンに敵意を持って対峙する事になった。