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概要

3年B組金八先生スペシャルシリーズの一つであり、かつての教え子が刺青を入れてヤクザとなり、金八がその生徒との葛藤と命懸け抱擁を描いたストーリーである。

舞台は第2シリーズ終了から2年後の設定である。


あらすじ

金八は保健養護の天路里美と結婚し、長女の乙女も生まれ子宝も儲け、第二子をも授かる順風満帆な生活を送っていた。

だがそんなある日、乙女が腸重積という重病を患い病院に搬送され、緊急手術を行う事になってしまう。しかし、乙女の血液型はRHマイナスのAB型という特殊な血液であり院内には保存血液が無い為、輸血が出来ず手術が行えない状態が続いた。

そこで、金八のかつての教え子達が周りや知り合いに同じ血液型を持つ人物探しに奮闘する。そして、かつての教え子でもある岩沼雄一郎が乙女と全く同じ血液型を持っている事が判明し、加藤と共に病院を訪れる。


だが、岩沼の採血の際に金八はある違和感を覚える。彼の肘より上に不自然な模様が見えたのだ。思わず金八は岩沼の上着を無理矢理脱がせると彼の上半身一面に刺青が彫られていた。その変わり果てた姿に驚愕した金八は彼を張り倒し、そのまま追い返してしまう。

それでも里美の説得から冷静さを取り戻した金八は教え子達から岩沼の身に何があったのか問いかける。そして、岩沼と同じ高校に進学した教え子から事の顛末を打ち明ける。


実は岩沼が通っていた高校では教師が生徒に対する厳しい締め付けが横行していたのだ。更に岩沼達はかつて桜中学で起きた一連の騒動を理由に教師達は問題児のレッテルを貼られてしまう。それを機にあらゆるトラブルが起きれば教師達はその理由を全て岩沼達のせいにし、結果的に身に覚えの無い理不尽な指導を受ける日々が続き、周りの生徒は自身にも弊害が及ぶ事を恐れた事から岩沼の被害を黙殺し、誰も味方に着いてくれない状態が毎日続いていた。

そんな横行に我慢の限界を迎えた岩沼は遂に教師達へ暴力行為と傷害事件を起こし、退学処分となってしまう。そして家族からも絶縁された岩沼はヤケを起こし、自身の苦悩と苦しみを親身になって聞いてくれたヤクザ達に惚れ、極道に入門したのだ。


その荒んだ状況を知った金八は岩沼の元を訪れ、自身の行為を詫び、多くの苦悩を抱えた彼を抱擁した。

その後、岩沼の血液を輸血出来た事から乙女の手術は無事に成功し同時に里美が長男を出産し、金八は家庭の危機を無事に脱した。

だが、金八にはまだやる事が残っていた。それは岩沼を極道の世界から解放させ、元の正しい社会に復帰させる事だった。実は岩沼自身もこのまま極道に留まるのは思い留まっており、組織から抜け出して元ヤクザの堅気(田村高廣)が経営している屋台を手伝っていたのだ。


早速金八はその堅気のもとを訪れる。すると堅気は金八に対してヤクザというのは別に好きでなりたがっている訳では無いと諭す。堅気曰く、ヤクザというのは皆が気の小さい寂しがりやであり、親や教師を含む周りから咎められて最終的に見捨てられた成れの果てであるという。

更に、堅気からは岩沼みたいに荒れ果てた少年達を産み出しているのは金八を含む教師達の指導のせいではないかと指摘し同時に金八がもっと岩沼に親身になって接していればヤクザにはならなかったと一喝する。実際にヤクザ達は岩沼のそんなやりきれない思いに付け込み、褒めればなんでもやるという駒のような扱いをしていると堅気は告げた。


そして堅気は自身もいつまでも岩沼を庇いきれるのにも限界があり、義理も人情も無いこの極道世界ではいつか岩沼も大罪を犯すか、逆に消されてしまうという残酷な現実を金八に突き付けられる。


金八はかつての加藤のように岩沼の様な非行を生み出したのは紛れも無い自分達教師による理不尽な教育指導だとあらためて認識し、それで周りから痛手を受けてもそれは身から出た錆だと堅気からも促された事から決死の覚悟で岩沼を救出しに向かう。


そして、金八が乗り込んだ暴力団事務所では岩沼が組長(阿藤快)達からの制裁を受けていた最中だった。その様子に見兼ねた金八は岩沼には近づかせず彼を極道社会から離させて欲しいと懇願する。すると組長は金八に対し自分達は今まで教師達に対して強い恨みを抱いていたと告げ、小学校の頃は教師中から無視され、出席確認の時には自分だけ呼ばれず、更に中学時代は教師自身が教科書を忘れれば自身の教科書を取り上げ代用し、自身に対しては忘れ物扱いされていたと生徒以前に人間としてもまともに扱ってくれなかった恨みを当てつけるかの様に激しい暴行を与える。

それでも金八は、何度も殴られても立ち上がり顔中血塗れになりながらもただひたすら教師としての不甲斐なさに謝り続け、もう岩沼に関わらない様にと懇願する。そんな直向きな姿に心を打たれた組長は遂に観念し、金八と岩沼を解放した。


そして、帰り際にボロボロの姿の金八に対して岩沼は「先生、カッコいいっすよ‼︎」と初めて自分を本気で見つめ合ってくれた事に感謝を抱いた。


その後、岩沼はかつてのクラスメイトの伝手で山形県の酒田の建設現場に就職が決まった。そして、旅立ちの日に岩沼は金八とクラスメイト全員からエールを送られ、かけがえのない教師と生徒仲間との絆を抱えながら荒川を去って行った。


考察

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