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概要

エフィギア(Effigia okeeffeae)は、アメリカ南西部ニューメキシコ州の三畳紀後期から知られる絶滅したシュヴォサウルス科の属の一つである。二足歩行、長い首、歯のないくちばし状の頭骨など、エフィギアをはじめとするシュヴォサウルス科は白亜紀のオルニトミムス科の恐竜に似ている。しかし、シュヴォサウルス科は恐竜ではなく、ポポサウルス上科類の偽鰐類の一員でありワニに連なる系統である。


現生の主竜類には鳥類とワニ類が現存しており、鳥類と非鳥類型恐竜の形態的多様性は非常に大きく、よく知られている。一方、ワニを含む偽鰐類は一般に祖先的で地味であると考えられている。しかし、このエフィギアはオルニトミムス科恐竜と収斂する珍しい高度に特殊化した特徴を持つ三畳紀後期の主竜類である。頭蓋骨および体骨格のいくつかの派生的な特徴はオルニトミムス科恐竜の状態と同一である。二つの遠縁の脊椎動物分類群における骨格の複数の領域でのこのような極端な収斂は稀で、これはこれらの主竜類が形態進化の反復的なパターンを示していることを示唆している。また、この偽鰐類のグループが後に中生代のオルニトミムス竜類が占めるニッチを占めていたことも示唆している。


発見

標本は、1940年代にアメリカ自然史博物館の発掘隊によって有名なゴーストランチのコエロフィシス採石場(ホイットカー採石場とも呼ばれる)から発掘された未処理の石塊で発見された。この採石場は、初期の獣脚類コエロフィシスのほぼ単一種の化石の集合体で構成されていると考えられていたが、最近ではさまざまな種類の爬虫類が報告されている。いくつかの標本は新しい分類群に属するとされている。エフィギアもそのうちの一体でエフィギアのホロタイプを含む石膏ジャケットは2004年に調査が開始され、その標本はアメリカ自然史博物館の大学院生スターリング・ネスビットによって発見された。エフィギアの化石を見つけたとき、彼は即座にこれは恐竜ではないと認識し、採石場のそのエリアから、残りの石塊を探し出した。ネスビットと博物館の学芸員であるマーク・ノレルは2006年1月、ゴースト・ランチで長年過ごしたジョージア・オキーフにちなんでエフィギア・オキーファエ(Effigia okeeffeae)と命名した。

頭蓋骨には歯の無いの顎、大きな眼窩、後下方に回転した鱗状骨、および前下方に傾斜した方形骨がある。これらの特徴はすべて、オルニトミムス科から派生した恐竜の特徴と一致している。骨盤、尾、椎骨のその他の派生した特徴は、獣脚類に属するクレードを判断する共通の特徴である。


学名の由来

属名はラテン語のeffigia(幽霊)に由来する。種小名okeeffeaeは、ゴーストランチの荒地を描いた画家のジョージア・オキーフに由来している。


地層および産地

ニューメキシコ州中央部のゴーストランチ。チンレ層(ノリアン期-レーティアン期)の「シルトストーン部」内のコエロフィシス採石場から発掘された。



特徴

全長は2mほどで恐竜のように二足歩行を行う動物だった。上記の通りエフィギアはオルニトミムス科の恐竜と非常に似た姿をしていた。軽量で二足歩行の骨格に、無歯の顎と大きな眼窩を持ち、これはオルニトミムス科の恐竜や現生の古顎類(ダチョウ)に類似している。

頭骨の筋肉の研究からエフィギアは植物の柔らかい部分を専門的に食べる植物食動物で、三畳紀の同時代の植物食動物の中でも特異な存在であったと推測されている。

オルニトミムスやダチョウと収斂した体制を持つが、異なる部分もあった。

エフィギアの顎を調べたところ、その弱い顎と鋭いくちばしのために、餌を食べるときには植物をくわえて千切っていたことが示唆された。以前は、ダチョウや他の走鳥類のように餌をついばむと考えられていたが、生体力学的な研究により、その頭蓋骨はそのような力に耐えられないと推定されている。

シュヴォサウルス科の食物となった可能性のある植物に関する直接的な証拠はないが、現存する植物の新芽はシリカ含有量が少ないため構造的に弱い。したがって、シュヴォサウルス類は新芽を優先的に食べていた可能性がある。首の機能に関する詳細な情報がないが、シュヴォサウルス科は地上から1~2メートルの範囲で摂食していた可能性が高い。

このことは、スタゴノレピスやティポトラクスのような同時代の偽鰐類が、頑丈な四肢、シャベル型の吻、高い咬合力から、地下にある丈夫な植物を食べていたと推測されているのとは対照的である。さらに、竜脚類の生物力学的研究から、竜脚類は雑食傾向のある草食動物であったことが示唆された。おそらく条件次第では動物食を示し、体格が大きいことから背の高い植物を食べていた可能性が高い。エフィギアはこのような動物とうまく棲み分けることで競争を避けていたのかもしれない。これらの研究は、三畳紀後期の食物網は、これまで評価されていたよりも機能的に多様で複雑であったことを示している。


三畳紀後期の獣脚類に見られるコエロフィシスのような単純な特殊化されていない体は、同時代の偽鰐類の多様性と対照的である。形態進化の反復パターンは、三畳紀後期の偽鰐類の一部が、その後の恐竜のクレードと同じようなニッチを占めていた可能性を示唆している。オルニトミムスに似た偽鰐類(加えてポストスクスのような肉竜類に類似した偽鰐類や、アエトサウルスのような鎧竜類に類似した偽鰐類)の存在は、偽鰐類に絶滅した後のジュラ紀になって初めて、恐竜が新たな適応の機会を探り始めたことを示唆している。


分類と進化

エフィギアはポポサウルス上科類(Poposauroidea)のシュヴォサウルス科に属しており、この仲間はエフィギア、シュヴォサウルス、シロスクスの3属で構成されている。

いずれも中空の骨、軽量な骨格、直立二足歩行といった特徴を備えており、植物食であったと推測される。

ポポサウルス上科類には同じく二足歩行だが肉食のポポサウルス科、四足歩行で背中に帆のある肉食のクテノサウリスクス科、四足歩行で帆があるがシュヴォサウルス科と似て歯の無い顎をもつロトサウルス科が含まれる。

クテノサウリスクス科に属するアリゾナサウルスは三畳紀中期の地層から産出しており今のところ、この属が最古の偽鰐類なっている。しかし、前述の通り、アリゾナサウルスを含むクテノサウリスクス科は既に特殊な形質を備えている他、ポポサウルス上科類よりも基盤的な側ワニ形類や、鰐類といったクレードが偽鰐類には存在していることから、偽鰐類の起源はより古いと考えられる。

ポポサウルス上科類は側ワニ形類に属し、鎧装類(ロリカタ類 Loricata)と姉妹群を成す。鎧装類はポポサウルス上科類と同じく直立姿勢をとるが、四足歩行を行う点が大きく異なっている。このグループにはティラノサウルスに似た頭部のラウイスクス科といくつかの種、さらにワニ形類が含まれる。このワニ形類から現生ワニ類が派生することとなる。


エフィギアを含む偽鰐類が内温性か外温性だったのかは専門家の間でも議論が分かれている。現存する遠縁である現生ワニ類は外温性でありながら、その体の構造は内温性に通ずる特徴を持つことが知られている。例えば哺乳類や鳥類と同じく二心房二心室の心臓を持つことだ。三畳紀の偽鰐類の骨格構造を見てもその生活様式は活発で優れた代謝が必要だったことを示している。活動性の高さと優れた代謝は内温性に直結する。このため偽鰐類も、特に進化の初期段階では内温性であった可能性がある。


参考文献




関連タグ

爬虫類 主竜類 ラウィスクス類

ポストスクス

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