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クリスクロス

くりすくろす

かつて電撃文庫から刊行されたライトノベル。
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クリス・クロス混沌の魔王の表記揺れ

概要

第一回電撃ゲーム小説大賞〈金賞〉受賞作品。作者は高畑京一郎。
代表作に「タイム・リープ あしたはきのう」があり様々なメディア展開がなされ映画化もされた。
初版は1997年2月25日。現在は絶版となっている。日本で最初に大規模ネットワークRPGを題材にしたSF小説。
内容の酷似から同レーベル後年に出版された作品、ソードアンド・オンラインの元ネタとも言われている。

内容

電脳空間に実現された仮想現実を遊びとしたアミューズメントに、不意に訪れた危機と、そこに閉じ込められた参加者たちの絶望と希望を中心に描く。
バーチャル空間の広大なダンジョンが舞台で、プレイヤーたちは出現位置がランダムに割り振られ、まず仲間を探すことからゲームは始まる。
ダンジョン内ではすべてのアイテムとモンスターのリソースが限られており、これらを如何にして他人より早く入手するかの競争も、ゲームを盛り上げるエッセンスとなっている。

物語

国内のとある大手電子機器メーカーが世界最大級のスーパーコンピューターMDB9000、通常『ギガント』を開発。
その性能を世界に知らしめる一大イベントとして、世界初のバーチャル空間を利用したアトラクション『ダンジョントライアル』を発表した。
世界最大のスパコンを最新技術のVR(バーチャルリアリティ)とはいえゲームに利用することに批判もあったが、プロジェクトの発案者であり、天才電子工学者である江崎新一の「最先端技術を結集し、それを多くの人に体験させることで未来のビジョンを示し、日本の技術力を世界に再確認させる」という鶴の一声によりプロジェクトは推進され、完成となった。
お披露目に先駆けて『ダンジョントライアル』は一般からのβテスターを募集。抽選に当選した主人公はログインし盗賊キャラクターのゲイルと名乗る。そしてダンジョン内で出会った仲間たちとパーティを組み、刺激溢れるバーチャルRPGを満喫していた。

しかしその感動もつかの間、ゲイルらプレイヤーはいつの間にかログアウト出来なくなってることを知る。それと同時に、”死亡”したキャラクターは本来消滅し、自動的にログアウトさせられる仕様が変えられ、”死体”が消えないことに気が付く。そればかりかダメージを受けた時に感じる痛みが、明らかに強くなっていた。

そこに突如「魔王」を名乗る何者かが、「ダンジョントライアル」に参加するすべてのプレイヤーに向けて恐ろしい宣告を下した。
曰く「ログアウトができないのは仕様であり、『ダンジョントライアル』の最下層に到達し、ラスボスである魔王ギガントを倒してゲームをクリアすることだけがこの世界から脱出する唯一の方法であること。
そして、今まで有効にされていた痛覚のセーフティを解除したことで、与えられた攻撃に即した痛みを感じるようになったこと。それゆえこの世界で「死亡」した場合、現実世界でもショック死することが一方的に告げられた。
「今までのシステムではゲームに対して真剣味が足りないのです。本当の臨場感は本当に「死ぬ」ことで与えられる。ここまでやってやっと仮想現実は”現実”となるのです。それでこそ最高のゲームとなるでしょう」
そしてプレイヤーに紛れてユーザーをそれとなく誘導する役であったGMらを、強力な電光で処刑し、残されたユーザーの希望を断った。
GMはゲイルらに”魔王”はプロジェクトリーダーの天才電子工学者、江崎新一であることを言い残し死亡した。
今、プレイヤーたちの生き残りをかけたデスゲームが始まる――

登場人物

当作品はゲーム内で起きた事件を中心として描かれる関係で、プレイヤーの本名は明かされず、登場人物の名前はほぼすべてゲームキャラクターのものとなっている。
ここで紹介するのは主人公パーティのみであるが、劇中には多数のライバルパーティが存在する。

ゲイル
本作の主人公。職業(クラス)は盗賊。砂色の髪に同色の瞳、肌は浅黒く痩せ形。彫りが深く鋭い目つきをしている若者。
クラスに盗賊を選んだ理由は「普段は我関せずを決め込みながら、いざパーティが窮地に陥ると舌打ちをしつつも手を貸してしまう」というロールプレイ設定のため。
死のゲームとなった「ダンジョントライアル」唯一の生還者。
※ただし”魔王”出現前にゲームオーバーになったプレイヤーは何も知らず無傷で生還している。

シェイン
リーダシップのある大男でクラスは戦士。ロールプレイは渋めの脇役を好む。
実は運営スタッフの一人であり、プレイヤーをそれとなく誘導するため身分を隠して参加しているGM(ゲームマスター)の一人。彼がゲームの異常に最初に気づきログアウトできない事実を知る。その後、紛れ込んでいたゲイルたちパーティの目の前で”魔王”により処刑された。

リリス
本作のヒロイン。クラスは戦士。勝気であるが我儘ではなく人を思いやれる少女でゲイルらパーティーのリーダー。外見は金髪でビキニアーマーをまとっている。魔王との最終戦にゲイルとともに到達したが戦闘中に死亡する。

ユート
クラスは魔法使い。水と風の属性を操る。いかにも素直そうなお坊ちゃん風の小柄な少年。自己紹介時に間違えて本名を言いそうになった。江崎新一の仕掛けた罠「現実世界の病院」が仮想空間であることを見抜くも、メディカルスタッフに殺害される。

ミナ
クラスは魔法使い。火と地の属性を操る。魔王の間まで到達したが「現実世界の病院」の中でメディカルスタッフにより殺害される。

モルツ
クラスは僧侶。小太りで打算づくの男。プレイヤーの中で僧侶を選ぶものは少なく、自分が大事にされるために僧侶を選んだ。そのため戦闘ではまったく貢献せず、他者の傷は長く放置するが、自分は小傷でもすぐに回復させ、パーティが危機に陥るや見捨てて逃亡し、自分には希少価値があるのだから大事にしろと言外に態度で示す。それを「目に余る物」として”魔王”直々に処刑された。

江崎新一
天才も名高い電子工学者であり博士号も持つ、スーパーコンピューターMDB9000”ギガント”および、「ダンジョントライアル」のプロジェクトリーダー。
しかし「ダンジョントライアル」を「現実以上の仮想現実」にするため、ゲーム中の死が現実の死に直結するシステムを構築し、何も知らない参加者を絶望の淵に追い込んだ狂人。
「江崎さん、あんた分かっているのか。これは殺人なんだぞ!」
「そうは思いません。プレイヤーには勝てるチャンスがあるのですから」


VR空間「ダンジョントライアル」

体感システム

ダンジョントライアルはバーチャルリアリティを駆使したMMORPGである。
参加者は専用カプセルに入り、ゲームの世界に接続される。カプセル内ではヘッドホン内蔵の全方位ヘッドマウントディスプレイを装着し、体の各部位には電極が据えられる。これによってプレイヤーの思考をゲームキャラクター・アバターとリンクさせる。電極は筋肉の動きを察知してアバターに反映。同時にバーチャル空間での触覚や痛覚をプレイヤーに与える役割をもつ。また薬品と軽度の催眠によって感覚は補強され、現実に「そこにある」かのような臨場感を実現させた。視覚・聴覚はもとより熱さ・寒さや物の肌触りまで完璧に再現している。
ただし痛覚だけはセーフティが設けられ、どのようなモンスターや罠のダメージを受けても、プレイヤー本人には「ちょっとした痛みを感じる」程度までに抑えられている。

アバター作成

キャラクターは容姿・体格を自由に設定できる。
顔立ち、肌、髪の色など本人が事細かく設定できるほか、設定をランダムにコンピューター任せにすることもできる。再現度は高く実際の人間ともほぼ遜色がない。もちろんプレイヤーの意志通りに表情を動かせ、他のプレイヤーアバターと会話することもできる。

ゲームシステム

目的
ゲームの目的は、ダンジョン最深部に到達し魔王ギガントを滅ぼすというシンプルなもの。
階層は五つと少ないが、一つの階層が数百人のプレイヤーの出現位置を全く被らせない程度には広大で立体構造をしているため、探索には大変な苦労をする。

ダンジョン探索
マップは各自が自分で作成しなければならず自動マッピング機能は存在しない。ただしパーティを組めば、各自が歩き解明した情報を共有することができる。(自分のマップに通路が記載されてない場所でもメンバーが踏破していれば反映される)また、松明などの照明道具や照明魔法が無ければ闇に閉ざされてしまう。もちろん照明効果には時間制限があり、消費したアイテムは再利用できない。

また、このゲームはモンスターやアイテムの数は限られており、すべてのリソースが有限となっている。レベルを上げるにはモンスターを倒す必要がある。武器や防具の入手も基本的にモンスターが身に着けていたものや、所持していた宝箱から得るしかない。魔法を使うための触媒や、回復アイテムも同様である。特殊効果のある武器防具はすべて隠されている。
これらを理解し、如何にして他のライバルパーティより早くレベルを上げ、アイテムを得ることができるかがダンジョン攻略のカギとなっている。

ダンジョン内施設
ダンジョン内には回復のできる泉が多数設置されており、その周辺にはモンスターの入ってこれない結界が張られ、安全地帯となっている。
また地下四階にはクラスチェンジのできる女神像があり、一つのクラスに付き3系統の上位職が用意されている。

このゲームには、ゲーム機のRPGによくあるような「死者蘇生」の魔法や道具は存在しない。
HPがゼロになればゲーム失格となりアバターは消滅。プレイヤーは強制的にVRシステムから排出される。――はずだった。

余談

同作品は、過去に文化放送でラジオドラマが展開されていた。

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