クロッキーとは、短時間で対象物を素早く描画した、主に線画のみで構成された絵のこと。またはその行為自体のこと。
概要
美術用語であり、語源はフランス語で「速写」の意味を持つ“Croquis”である。また同様の物に「スケッチ(Sketch)」があるが。こちらは簡単な彩色を施したり、コンテなどで細かい陰影を着けたりした物のことを指す場合が多い。
- クロッキー → ラフスケッチ → スケッチ
~の順に手が込んだ描画方法と言えるが、それぞれの区別には明確な線引きは無く、あくまでも主観的な目安にしか過ぎない。
描画時間を基準にした場合、5分未満であること、あるいは10分~1時間程度で書き上げた線画の事を指すなど、画家や美術講師によって定義に幅がある。
クロッキーの効果
主に短時間で対象物の特徴を簡潔につかみ取り、それを描画する訓練方法として、美術系の専門学校などで普及している。また画材も普通の大学ノートなどに鉛筆1本あれば行えるため、一般の日本の義務教育でも初等教育の一環として行われている。
プロの画業を志す人間が行うのはもちろんの事。プロになった後でも自らの技量を維持するための最も簡単な訓練法であり、鉛筆デッサン(素描)と共に定期的にクロッキーを描いているプロ作家も多い。近年では5分とか1分などと言った、極めて短い時間を区切って行う「スピードデッサン」と併用される事も多い。
デッサンとの違い
デッサンとクロッキーの他にもスケッチやドローイングなど国によって呼び方が違うとも言われているが、美術の世界ではデッサンとクロッキーは違うものである。その違いはデッサンは正確にモチーフと向き合い時間をかけて対象をクロッキーよりも正確に描き込むことであることに対し、クロッキーは5分~30分などと時間を決めてデッサンよりも少ない時間の中でモチーフと向き合い対象の形を輪郭のみで正確に描くことである。