概要 *
主に物を観察し精密かつ立体的に描写すること、モチーフをどのようにキャンバスに配置するかなどが求められ、描写力・空間把握能力・モチーフ構成能力を図る目的で美術大学等の試験に取り入れられている。
しかし、現在では批判的な言葉として使われることが多い。
歴史 *
日本の近代芸術の基礎は明治維新の西洋絵画の論法を輸入し、日本画は元あった大和絵と組み合わせ、洋画は西洋の手法をそのまま生かしたものであった。
その西洋の画法中の練習に、当時最先端だった石膏デッサンなどがあった。
批判される理由 *
批判される理由としては、主に美術界の風潮が挙げられる。
現代芸術が登場した今はデッサンをひたすら行い、前述の能力を向上させていくするという練習方法は時代に不釣り合いなのではないかということが言われる。また、学生の貴重な時間を奪うことで創造性が失われるとも批判される。
本当に悪いものなのか *
悪い面だけではなく、良い点は確かにある。
デッサンは自分の表現したいものの前段階であるという考えのもと、カリキュラムが組まれることが多いが、目的である描写能力は確かに培われる。事実、日本の美術大学生の写実的描写は高水準であると言われている。
その他小ネタ
違う批判の対象として、日本芸術界は美大に入らないと評価されないというものがあるが、美大がある時代に美大入らずに評価されている画家は少なからずいる。そもそも、芸大美大に入ったからといって必ず専業画家になれるわけではない。
デッサンができなくてもクリエイターになる道はたくさんあるし、美大に入って創作家になっても売れるまで何十年と掛かる時もある。
デッサンができない=美大に入れない=クリエイターになれない、と悲観的にならずに考えて欲しい。