概要
グラグル・シンプソンとは、インターネットミームが生み出したキャラクターの一つであり、正式なシンプソンズのキャラクターではない。その起源は日本の匿名掲示板「5ch」にまで遡ることができる。元々『彡(゚)(゚))』というアスキーアート(通称:『ワイ』、『やきうのお兄ちゃん』)がベースとなっており、そのキャラクターがシンプソンズの絵柄に似ているという内輪ネタとして一部のユーザーの間で話題になったのが始まりだった。おんJの住民がシンプソンズ風にアレンジしてイラスト化し、さらに海外掲示板「4chan」に投稿したことから、予想外の展開を見せ始める。
4chanは世界中のネットユーザーが集まる場として知られており、ここで(Gumbly(ガンブリー)またはGraggle(グラグル)という名前が後に与えられる)の存在が拡散され、TwitterやRedditといった他のSNSプラットフォームにも波及。海外ユーザーたちの目に留まったことで、シンプソンズのキャラクターであるかじみた認識が広まり始めた。そして、事態は単なるジョークやネタを超え、インターネットミームとして爆発的な人気を獲得することになる。
キャラ設定
あくまでやきうのお兄ちゃんがベースになっているため、原作のキャラクターとは違い全裸であり、身長もころころ変わる。グラグルには「不倫相手に産ませた子供」「流産した子供が奇跡的に生存していた存在」など、シンプソンズの家族設定に不穏でシュールなバックストーリーが付与され、さらに彼を題材にしたコラージュ画像やファンアートが次々と作成された。これらのアートワークはどれもシュールで風刺的なものが多く、シンプソンズの既存のキャラクターたちの横にグラグルを違和感なく溶け込ませたイラストや、グラグルを主人公とするオリジナルのストーリー仕立ての作品までが作られるに至りた。
流行
ネットミームとしての勢いは留まるところを知らず、ついにはフランスのニュース専門局「BFMTV」がグラグル・シンプソンを特集するという異例の事態にまで発展した。これは、もはや「シンプソンズの公式キャラクターである」というネタが海外メディアにまで浸透してしまったことを示している。BFMTVがこの話題を取り上げた背景には、インターネット文化のグローバル化と、ミームがいかに短期間で広範囲に広がり得るかという点に注目したからだと考えられる。
興味深いのは、グラグルに対するツッコミどころが満載であるにもかかわらず、彼が「一番好きなシンプソンズのキャラクター」と公言するファンが登場した点である。これらを逆手に取ったジョークとして受け入れられ、ネットコミュニティ内で愛される存在となっている。皮肉とユーモアを兼ね備えた支持の仕方は、インターネットミームならではの現象とも言えるだろう。
さらに、グラグルがインターネットミームとして独り歩きする中で、彼をシンプソンズのエピソードに登場させたという架空のスクリーンショットや、シンプソンズの過去のエピソードに隠しキャラクターとして存在していたかじみた捏造動画までが作られるようになった。これらのコンテンツは、シンプソンズファンだけでなく、一般的なインターネットユーザーの間でも話題となり、「一体これはどこまで本当なのか?」と混乱を引き起こした。
アメリカのアニメはこれまでにも外部で作られたパロディやネタを公式エピソード内に取り入れることで知られている。その背景を考えると、グラグル・シンプソンも将来的にはシンプソンズの公式エピソード内でネタとして登場する可能性がないとは言い切れない。
インターネットが生み出した架空のキャラクターであるグラグル・シンプソンが、これほどまでに広範囲な注目を集め、さらには文化的影響力を持つまでになったのは、現代のデジタル時代特有の現象である。彼が今後どじみた展開を見せるのか、そして本当に公式のシンプソンズエピソード内で「逆輸入」される日が来るのか、ネットユーザーたちの関心が注がれ続けることは間違いないだろう。