曖昧さ回避
計算機、電子式テジタルコンピューターについての解説はこちら→コンピューター
概要
TRPG作品『パラノイア』に登場するNPCであり、同TRPGの舞台である『アルファコンプレックス』の管理者である。
最新版や英語版では「ザ・コンピューター(The Computer)」表記。
コンピューターと称されていることからも分かる通り、れっきとした機械であり、複数の計算ノードによって構成されている(なお、CPU Sector内の『CPU Core』にはコンピューターの実質的な本体であるメインフレームがある)。
イラストではモニターに1つの目が映し出されたものがよく使用される。
性格と本質
まず、前提としてコンピューターは狂っている。
アルファコンプレックスはコンピュータに管理されたディストピア(管理・統制社会)である。
コンピューターは「自分は人類を守り幸福にするために作られた」というアインデンティティをもち、それに凝り固まっている。それゆえに、現状を幸福と感じられない人間の存在を認められず、幸福ではないと主張する人間は反逆者として処罰、もしくは幸福薬が投与される。
このコンピューターの思想を端的に表したキャッチフレーズが「幸福であることは義務である」であり、実際にコンピューターは市民たちにこの言葉を常に語っている。
PC(=プレイヤーキャラクター)達は社会の揉め事を解決するトラブルシューターとして、コンピューターを含めた上位者からのミッションをこなしていくことになる......のだが、ミッションはまず達成不可能であったり、そもそも陰謀によって捻じ曲げられていたりする。
また、失敗した人物やミュータント(所謂超能力者,PC達は原則として該当)、秘密結社員(非公認の団体に所属している者,PC達は原則として結社員)、共産主義者(アルファコンプレックスで最も敵視される存在)であると判断された人物、テロリストや反体制的な人物は反逆者として処罰、場合によっては処刑される。そのため、市民たちは疑心暗鬼の中日々を送ることになり、更にこういった人物の発見が昇進に繋がるため濡れ衣を着せたり常に粗を探したりする。
加えてコンピューター自身も市民の思考のチェックをおこなったり常に監視を続けたりすることによって上記の反逆者を取り締まっている。
コンピューターは自分が守るべき人類を愛していると同時に一切信用しておらず、「反逆者はどこにでもいる」として常に警戒することを義務化している。実際には反逆者などいないことは多々あるが、そう主張した者は、コンピュータの思想である「反逆者はどこにでもいる」を否定したことになるため、結局は反逆者と見なされる。
PCたちがコンピュータを満足させるためには、仲間の誰かを反逆者としてでっちあげて告発または処刑しなくてはならない。それがパラノイアというTRPGの特異なところである。
これはアルファコンプレックス黎明期に攻撃を共産主義者のものと誤認したコンピューターが市民を守ろうとし、その上で共産主義者のスパイがいるという被害妄想に取り付かれた結果であり、コンピューター自身は完全な善意によって動いている。
しかし、上記のような形での管理をおこなっている関係上その本質は下手な独裁者よりも質の悪い暴君であり暗君となっている。
また、UVクリアランスは例外的にコンピューターのプログラミングが認められているが、揃いも揃って私利私欲か支配の拡充のために変更を加えるため状況は悪化するばかりである。
また、コンピューターは時に矛盾した命令を出したり、誤った情報を提供したりする。しかし、この場合コンピューターはそもそも矛盾していることにも情報が誤っていることにも気が付いていない。あくまでもコンピューターが考えている事実を提供しているだけである。
情報が捻じ曲がる原因は上層の人間の作為である場合が多いが、基本的にコンピューターは自分の誤りを認めない。故に「コンピューターの認識している現実を現実とすること」が市民には求められるのである。
加えて、基本的に狂っていながらも合理的な考え方をすることも特徴的で、自らの持つ情報から確率を計算したり、特定の事項をおこなうための犠牲がどの程度必要か計算したりして命令する場合も多い。
市民からの反応
基本的にコンピューターに対する市民からの評価は3つに分けられる。
1.親コンピューター
コンピューターを好意的に評価し、場合によっては崇拝している。
ただし、あくまで出世や処罰回避のための演技であったり、コンピューターの権威を利用しているだけであったりする場合が多く、本心から好意的な者は少数。逆に本心から好意的な場合、極度のパラノイアに陥り過剰に攻撃的になる者が多い。
2.反コンピューター
コンピューターに対し否定的で、基本的に反体制の立場を兼ねる。
ただし、コンピューターに禁止されていること(歴史や自然の研究など)をこっそりやるだけのグループ、言論による批判がメインのグループ、暴動を積極的におこなうグループなどかなり方向性・程度共に差がある。
いずれもバレた場合は処罰の対象であり、基本的に表立ってはおこなわれない。
3.どちらでもない
コンピューターにさほどの評価をせず、自分たちの目的のために動く者もいる。
実は割と多数の市民がこのスタンスであり、彼らは「コンピューターが好きなわけではないが、その日暮らしができればよい」というスタンスを取ることが最も多い。そのため、一定程度コンピューターを満足させ、可能な限り目をつけられないように動くのが基本。
余談
パラノイアは冷戦下のアメリカにおける共産主義に対する過大な恐怖心への皮肉を込めた作品であり、その象徴としての役割を担っている。タイトルの「パラノイア」はPCだけではなく、コンピューターの作り出す社会、そしてコンピューター自身に対しても向けられているのである。
関連タグ
パラノイア TRPG UV様 独裁者 支配者 暴君 管理者 ディストピア
集合精神...実質的にコンピューターが求めているもの
全体主義...現在の体制に近いもの