概要
叙事詩『シャー・ナーメ』に登場する英雄。白い髪の持ち主であったため白髪のザール(ザール・ザル)の異名を持つ。
父親は竜退治の英雄サーム。だがサームは生まれたばかりの息子の容姿を不吉なものと感じ、エルブルズ山に捨ててしまう。霊鳥シームルグに拾われたザールはダスターン・エ・ザンド(大いなる策略)という名を与えられシームルグの雛と共に育てられる。青年へと成長したザールはやがて噂となりサームの耳にも届く。息子を捨てたことを後悔していたサームは山に向かい彼と再会。シームルグはザールに自分の羽根をお守りとして与え、サームはザールの名前を与え今後ザールの願いを何でも聞き入れることを誓った。
カブールを訪れた時、ルーダーベ姫と結婚しようとするもの彼女はあの悪名高いザッハークの曾孫であったため周囲から反対を受ける。周囲を納得させるためにザールはいくつもの試練を越えることになる。父サームも当初は反対だったが先述の誓いでザールに味方し手紙で反対派のマヌーチェフル王を説き伏せ、またザールとルーダーベの息子がこの先イランを何度も救う英雄になると予言を受けたため了承し二人は無事結婚することになる。
その後妊娠したルーダーベは難産となるも、ザールは羽根を使ってシームルグを呼び出し助言を受け帝王切開を行う。こうして誕生したのがロスタムでザールはその後もロスタムを助ける役回りとしてシームルグと共に登場する。
しかし晩年はロスタムが異母弟シャガードに暗殺されシャガードもロスタムの反撃を受け死亡する事件や孫ファラーマルズがバフマン王に殺されるなど悲劇に見舞われることになる。