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考えてもみたまえ。

──われわれは、なぜ永遠を恐れねばならない?

『不死神スタグネイトの問い』


CV:高橋広樹

概要編集

多神教である「最果てのパラディン」世界に実在する、不死と停滞、永遠を司る悪神の一柱。

人類の脅威となる悪神の眷属のうち、不死者「アンデッド」は、スタグネイトの眷属である。


かつては善なる神々の陣営に属していたが、定命の生死の悲劇を見ることに耐えかねて道を違えた神。あらゆる優秀な魂を不死化させ、永遠に停滞した、悲劇のない世界を作ろうとしている。


ウィルの家族、ブラッドマリーガスを不死者に変えた張本神。200年前のデーモンの大侵攻にて『上王』という強敵を討伐できず、封印せざるを得なかった3人の元に《木霊》で顕現し、他に選択の余地のない状況を作った上で、さらに条件付きで不死化の契約を持ちかけた。

その条件は、不死者となった後も上王の封印を守ることを許した上で、いつか上王に対する執着が完全に消えた時、完全な下僕となること。


ウィルの成人の前日、ウィルが一人前になったことにより、上王への執着を喪失したブラッドとマリーの魂を手中に収めるべく《木霊》を顕現させるが、対価を踏み倒そうとしたガスの奥義《存在抹消のことば》を受けて消滅。


しかし、スタグネイトは3英雄の反撃に備えて《木霊》を二分しており、消滅したのはその片方に過ぎなかった。もう一方の《木霊》により3英雄は一瞬で無力化され、3英雄の弟子となったウィルをも手にしようと不死化契約を持ちかける。

ウィルが契約を拒否し、ブラッドとマリーを守るべく立ち塞がると、3英雄のかつての仲間たちの肉体をアンデッドとして使役してウィルに差し向ける。

その戦いの中で「3英雄のついで」から「ウィルという一人の英雄」へと評価を上方修正し、改めて不死化を提案。これを断った(ついでに不意打ちで一撃叩き込んだ)ウィルを無理やりにでも手中に収めようと、眷属の蛇による不意打ちで不死化の神血を注ぐことに成功する。

万事巧くいったと哄笑するスタグネイトだったが、ウィルの両腕には地母神マーテルの炎による聖痕(聖痕を受けた神によって効果が異なり、マーテルの聖痕は病毒耐性を与える)があり、ウィルの身体の大半は聖餐(祝祷術で神々から賜るパン)でできていたため、不死化の毒への抵抗に成功。さらに敵対神である灯火の神グレイスフィールが加護を授けたことで、ウィルを不死の軍勢に加える目論見は崩れる。

ウィルを諦めたスタグネイトは《破壊のことば》の土煙に紛れてウィルを出し抜き、本来の目的であるブラッドとマリーの魂を回収しに向かう。ウィルが二人の下にたどり着いた時にはもはや手遅れで、スタグネイトは目的達成を前に再び哄笑する。

が、マリーの守護神である地母神マーテルが土壇場で顕現し、スタグネイトの手を払いのける。この一瞬によってウィルが《聖なる灯火の導き(ディヴァイン・トーチ)》の祝祷術を行使。ブラッドとマリーを輪廻に還す祝祷から庇わざるを得ないスタグネイトは、3英雄の反撃を許し、そのままウィルの《喰らい尽くすもの》によって切り刻まれ、ウィルに「我が軍門に下らぬ限り、お前に安息の夜はない」と呪詛を吐きながら消滅した。


関連項目編集

最果てのパラディン ウィリアム・G・マリーブラッド グレイスフィール


フレイヤ(ダンまち)…気に入った魂の持ち主をコレクション感覚で集める女神。

































その実編集

ウィルに呪詛を吐きながら消滅したスタグネイト《木霊》だが、実際にはスタグネイトはこの一件でウィルにさらに惚れ込んでいた。

神の《木霊》は、神の力と精神を、人間や精霊の有りように歪めて押し込める物であり、神本来の性質とはやや異なる場合がある。本神曰く「生まれたての《木霊》は、多かれ少なかれ感情的だったり、短絡的だったりと、幼児性を帯びている傾向がある」とのこと。

あの場でウィルの確保が出来なかったことも、ブラッドとマリーを取り逃したことも、顕現した《木霊》の視点で言えば自分がわざわざ降り立った目的を無に帰されたに等しいため怒り狂う事柄だが、本来の不死神は不滅の存在であるため「優秀な駒を三つ四つほど逃してしまった」程度の「至極残念ではあるが怒り狂うほどではない」事柄でしかないのだろう(*1)。のちに《遣い》を通してウィルと再会した際、スタグネイトは当時の《木霊》の醜態を謝罪している。


上記の通り、元々スタグネイトは善神の陣営にあり、グレイスフィールとともに魂の輪廻を司っていた。だが、あらゆる魂を導き、その生死に伴う悲劇を見続けたことで「この世界には悲劇が多すぎる。死によって脅かされることのない永遠の世界を作りたい」という思想を持ち、善なる陣営を離反。妹神であるグレイスフィールとは不倶戴天の敵同士となった。


その成り立ちからも分かるように、神々の中でも定命の者に対して特に真摯。特に強い力を持つ「英雄」を好んでおり、英雄の魂の輝きが老いによって衰え、死によって失われることを厭い、その輝きを永遠の物として留めるために不死化させようとする。自分の《木霊》を殺したウィルを「神殺しの英雄」と認めて執着し、敵でありながら、いつかその魂を不死の軍勢に加えるべくウィルに注目している。


神でありながら定命をよく理解しており、冗談すら交わせる「話せる」神。悪神でありながら、人間に最も親切な神でもある。気に入った英雄には真摯に助言を与え、場合によっては力を貸す。そうして、この神に魅入られた英雄は、自らの意思で不死神の軍門に下る。デーモンの神である次元神ディアリグマのような敵らしい敵ではなく、英雄に適度に力を貸しながら、最終的には堕落させようとする難敵として描かれている。


敵対を明らかにしているウィルに対しても、貸しと称して助力したり、その貸しを返してもらうという体で助力を求めたりと協力者めいた振る舞いを見せる。助言し、力を貸したり借りたりを繰り返して次第にズブズブの関係に持ち込み、いつか不死の軍勢に加えんとしてすり寄ることをやめない。ウィルの守護神であり、スタグネイトの敵対者にして妹であるグレイスフィールはこの手管を熟知しており、ウィルが魅入られてしまわないように心配しきりである。


第一章で顕現した《木霊》は男性形であったが、第三章のクライマックスにて、実は女神であったことが判明。神である以上、性別は大した意味を持たず、おそらくは見初めた英雄に好まれる外見や声を作って接しているとは思われるが、グレイスフィールが「我が姉」と称していることから、本質が女神であることは間違いない様子。



(*1)尤も、怒らないのはそれを成したのが、不死神の好む英雄であればこその、そして英雄に足る高潔な精神から来る行いだったからこその反応とも考えられる。これがデーモンや竜のような、不死神の興味の外にある「俗物」の所業なら、不死神が不快感を隠さないことは想像に難くない。

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