概要
アクセスゲームズが開発し、2003年12月25日にサミーから発売されたプレイステーション2用ステルスアクションゲーム。アクセスゲームズの最初の作品である。
当時のサミーはセガを買収していたため、本作の公式サイトのドメイン名は「sega.jp」だった。
主人公はスパイチーム「ファントム」のエージェントであり、テロ計画を調査して阻止するために世界各地で潜入ミッションを遂行する。
様々なスパイ映画をパロディしたシーンが随所に入っている。
村田蓮爾氏がキャラクターデザインを担当している。
ゲームシステム
主人公はビリー・ビショップとシェーラ・クロフォードの2人であり、ゲーム開始時にどちらかを操作キャラとして選択する。
難易度は全4段階から選択できる。最高難易度の「スカーフェイス」は任務中一度も敵に発見されなかった伝説のスパイのコードネームであり、強制戦闘以外の場面で敵に見つかった場合は即座にゲームオーバーになる。
ミッション内では多種多様な「スパイツール」を入手・使用できる。電動カミソリに偽装したスタンガンのスタンシェーバーや、天井に張り付くことができるスパイダーグリップ等の個性的なツールが多数登場する。スパイが使う道具であるためか、日用品に偽装したアイテムが多い。
もう一つ重要になるのは「光学式変装」である。スパイツールの一つである3DAカメラでNPCを撮影することで服装や顔のデータを入手し、樽やロッカー等の個室に入った時にこのデータを使って変装することができる。これによってステージ内のほぼ全てのNPCに変装できる。
撮影時に相手の顔が写っていないと服装データしか入手できず、完全な変装ができなくなってしまうので注意が必要となる。場合によっては会話を盗み聞きして声色データも入手して、より完璧に本人になりすます必要がある。
但し、変装している間は使用できるアクションやスパイツールが制限される。更に光学式変装は見た目が変わるだけなので何度もボディチェックをされるとバレてしまう。敵に怪しまれた時には、服装に合った振る舞いをして相手を欺く「チート行動」でボディチェックを回避することも重要になる。
主人公のスパイスーツ「O・C・T・Gear(オクト・ギア)」には光学迷彩機能も実装されており、壁に張り付いて動きを止めれば自分の姿を透明にすることができる。但し動くと光学迷彩が解除される。
ストーリー
200X年12月24日、スパイチーム「ファントム」のエージェント達はオーストリアのヴォルフガング城に潜入した。この城を本拠地とするテロ組織「エニグマ」を無力化し無差別テロを阻止することが目的である。
城の奥に進んだビリーとシェーラはエニグマ総司令を追い詰めたが、エニグマ幹部であるディートリッヒの計略によって取り押さえられ、更に仲間のニクラスを殺されてしまう。
この悲劇の発端は、2ヶ月前にファントムが出動した一つの任務まで遡る・・・。
登場人物・組織
非合法諜報機関「S.E.A.」
Special Execution Agencyの略称。冷戦時代に両陣営の衝突緩和を目的として設立された組織。
シンボルマークには「The last shields on earth(地球最後の盾)」と記されている。
組織の統括本部は「S.E.A.本部(ホーム)」と呼ばれている。
非合法組織ではあるが水面下で各国政府などの公的機関と繋がりを持ち、国際事件の解決やテロ計画の阻止などを行い、裏から世界平和に貢献してきた。
任務の際には、あらかじめ現地の協力者を用いて隠し場所(デッドドロップ)にアイテム等を設置している。
- イヴ
S.E.A.から派遣されているケース・オフィサー。ファントムに作戦指示を伝える。
素性の全てが謎に包まれた女性であり、ファントム隊員達も彼女の顔を知らない。
PHANTOM(ファントム)
S.E.A.傘下の工作部隊。最も危険な任務を進んで請け負い、S.E.A.内部でも伝説的に語られるチーム。
197X年に結成され、伝説のスパイであるスカーフェイスがリーダーを務めていたが、1990年代初頭の中東での任務中に米軍の大規模爆撃に巻き込まれ壊滅。スカーフェイスも行方不明になった。
これにより事実上活動停止していたが、200X年に再生計画が立案され、ビリー・ビショップをリーダーとする新しいファントムが結成される。
スカーフェイスがリーダーを務めた時期を「旧ファントム」、ビリーがリーダーを務める現在のファントムを「新生ファントム」と呼ぶ。
主人公の一人。ファントムのチームリーダーにして単独潜入工作のプロフェッショナル。
過去に放映されたスパイドラマの台詞である「バック・インザ・ホール(基地で会おう)!」を気に入っており、任務開始時などに「無事に帰れよ」という意味合いで使っている。
体力は高いが、女性に変装することが不可能であり、3DAカメラのデータ保存容量も少なめ。
主人公の一人。ファントムの紅一点。「福音の子供達」と呼ばれる強化人間の一人。
ビリー達とは違い「バック・インザ・ホール!」という台詞を使わない。人との交流をあまり好まないクールな性格だが、正義感は強い。
体力は低いが、女性含め全てのNPCに変装可能であり、3DAカメラのデータ保存容量も多め。
- ニクラス・ナイトウッド
ファントムの参謀。物腰柔らかな優男。
情報分析力に優れ、作戦時にはビリー達と共に潜入しサポートに回る。ビリーとは互いを「相棒」と呼び合う間柄であり、同じく「バック・インザ・ホール!」という台詞を好んで使う。
- サミュエル・バークレー
旧ファントム時代から活躍していたベテランエージェントであり、新生ファントムの結成を指導した。
戦闘技術だけでなく、相手の警戒を解いて接近する手管にも優れており、CIAにも人脈を持つ。
ビリーとシェーラを自分の子供のように大切に思っており、二人を「チャイルド」と呼ぶ。
- マイケル・クァン
ファントムのメカニック工作員。数々のスパイツールを開発した。
優秀な技術者であるが、事あるごとに自分への"感謝"を要求する恩着せがましい性格。
ENIGMA(エニグマ)
東欧を中心に活動する国際的テロ組織。「ENIGMA」はドイツ語で「謎」を意味する。
数多くの国際テロに関与しているが、いずれのテロ事件もエニグマとは無関係な別組織が実行役になっており、代わりにエニグマの紋章を実行役となる組織の施設に掲げている。そのためエニグマ自体の指導層に関する情報は全くと言って良い程集まっておらず、名前通り謎に満ちた組織である。
- ディートリッヒ・トロイ
エニグマの参謀。数々のテロ組織にテロ計画を提供しており、「テロプランナー」を自称する。数多くの無差別テロの糸を引いているが、無関係な組織を使う手法もあってかエニグマの情報はほとんど表に出ていない。
仲間の死を相手に見せ付けるやり方を好む残忍な男。
- ドミトリィ・ヴェデルニコフ
エニグマの総司令。旧ファントムのチームリーダーであった伝説のスパイ「スカーフェイス」本人。
その正体はビリーの父親であり、シェーラに名前を与えた男だった。
その他
- フォレスト・ケイスン
大手製薬会社「ナノテック・ダイン社」の主任アーキテクト。ギャンブル好き。
裏では細菌兵器「ラダー」を開発している。
- ケリー・ウォン
大型カジノ飛行船「メトロポリス」の支配人。
香港屈指の女性実業家であり、密かに黒社会と深い繋がりを持つ。
- ダグラス・ライサンダー
南米の極左ゲリラ「灼熱の世界(ムンド・カリエンテ)」を率いる将軍。
十代半ばでグリーンベレーに入隊しベトナム戦争時代から活躍してきた元英雄だが、殺人そのものに生き甲斐を感じる先天性殺人者であり、軍法会議にかけられ米軍を除隊させられている。その後は亡命し反米国家・組織を転々としていた。
ヘミングウェイの作品を愛好しているらしく、作品内の言葉を引用することが多い。
- アリス・コールマン
天才科学者と称される少女。ラダーの発見者。
コロンビアのプラント施設に軟禁され、ラダーの開発に協力させられている。