僕たちが生まれる少し前
ひとつの感染症が世界を変えた。
マスクで顔を隠すことは義務となり常識となり
そして文化となった。
僕たちは、お互いの顔をまだ知らない。
曖昧さ回避
1:「新しく日常」の意味。
2:相原瑛人による漫画作品。本項ではこちらについて扱う。
概要
原型となったのは相原瑛人氏がTwitterに投稿した短編漫画『君と僕のくち』。19000以上のRTと91000もの「いいね」を集めて大きな反響を呼青年漫画新レーベル『コミックアウル』(ファンギルド)で長期連載化されるようになった。
2021年には単行本が発売された。2021年10月現在全1巻。
ストーリー
「僕たちが生まれる少し前、ひとつの感染症が世界を変えた」――マスクで口元を隠すことが当たり前の日常となった近未来。世界流行前の時代に密かに思いを馳せる少女・夏木とクラスメイトの秦は、ふとしたことから小さな秘密を共有する仲になり……。
登場人物
秦遥斗
主人公。中央第二高校に通う2年生。
性格は弱気で弟にも「ナヨナヨしている」と言われたことがある。
ややウブな一面もあるがグラビアを見て興奮するなど年相応な一面もある。だが人を守る気持ちは誰にも負けない。
ドローンレース部に所属しており、ドローン操縦技術はかなりいい模様。
同級生の夏木に好意を寄せている。
エリカから夏木にフラれたことにされてしまい、水族館デートに付き合うことになる。
夏木咲
秦の同級生。秦に口元を見られたことがきっかけで付き合うようになる。
過去の世界に憧れており、父親が持っている映画を観ることが多い。
サンドイッチを作る描写があることから料理の腕前はそれなりにあることが分かる(なお、夏木が料理を作るのはこれが初)。
性格は基本的に前向き。
北沢エリカ
ドローンレース部の新入部員でもあり、ドローンレース部部長の妹。
食事中秦に口元を見られてしまい、以後秦と過ごすことが多くなる。
ドローン操縦技術は三流で、秦に操縦を教わっている描写がある。
強気な性格で秦に厳しく当たることもあるが、その一方で秦に甘えることもある典型的なツンデレ。
椎名七美
秦が隔離された施設で出会い、秦とビデオ通話で会話するようになる。理由は「おんなじ感染者同士なら心強いから」。
秦の退院後、彼女はプロのダンサーということが判明する。
相良雅人
防疫隊の一人。あることがきっかけで夏木と出会う。
祖父(故人)はサガラサイクリングという自転車屋を経営していた。
家族構成は父、母、弟の三人。
世界観
冒頭のナレーションで分かるように主人公が生まれる前にひとつの感染症が蔓延したという設定になっている。
時代設定は墓石に刻まれている年から2042年であることが明かされている。
東京都(恐らく23区)は感染拡大を防止するために防疫壁で囲まれている。
先述の理由から公共の場でのマスク着用が義務付けられ、一定の世代にとっては口元は生器と同じ扱いになっており、性的興奮の対象になっている。その影響で現代の倫理にそぐわないとしてメディアで口元が写されることはなくなっており、ニュースで口元にモザイクがかけられている描写がある。
このような風潮を嫌い、通行人のマスクを剥ぎ取ったり大規模なデモを行う過激派団体も存在する。
世界人口は約15億人と、現実のそれと比べて大幅に減少しているということが分かる。
関連項目
おじゃる丸:登場人物が全員マスクを着用する話がある。ある意味予言?
斉木楠雄のΨ難:「鼻を観て興奮するか?鼻は日常的に見ているから興奮するわけがない」と主人公が読者に問いかける本作と似たような場面がある。
素顔同盟:似たようなことをした作品。微笑んでいる仮面を付ける事が法令で義務付けられている設定になっている。