概要
プライベートブランドとは小売店や卸売業者が企画し、独自のブランドで販売する商品のことである。略称は「PB」。代表的なものにイオンの「トップバリュ」、西友の「みなさまのお墨付き」などがある。
通常小売業者はメーカーが生産した商品をそのまま販売しているが、プライベートブランドでは小売店が主導権を握りつつ、メーカーと連携して独自の商品を開発する。
プライベートブランドでは卸売業者などを介する必要がないため、小売店はコストを削減できその分価格を安くすることができる。また、宣伝や営業にそれほど費用をかけなくてもよく、その分利益率が高くなる。プライベートの名の通り系列店でしか扱わないため競合他社との差別化にもつながり、ヒット商品ともなれば自社の目玉にもなりうる。
製造は基本的に委託になるが、製造する側からも工場の稼働率を上げられる、確実に買い取ってもらえるので安定した売り上げが出せ自社で在庫を抱える必要がない、顧客層が欲しいものを知ることができる、将来的な新製品の売り込みの地盤を作れるなどのメリットがある。
逆にデメリットは消費者からは生産者が分かりづらいこと(書いてある商品もあるが、基本的には企画した側が窓口になっているためよほどのことがないと知る手段がない)、場合によっては安かろう悪かろうになってしまうこと、販売店側は在庫の管理コストを全て自分で負担しなければならないこと、生産側は自社のナショナルブランドが売れなくなるリスクがあること、などがある。
日本では1960年代からダイエーなどの大手小売りチェーンが展開し始めていたものの、当時のPB商品は低価格であるが品質に難があり、あまり受け入れられなかった。
しかし、高度経済成長が終焉した1980年代ごろより「無印良品」などのPBが浸透し始め、デフレスパイラルに陥った2000年代からは、大手メーカーがPB商品の開発に乗り出したこともあり品質が大きく向上。かつての「安かろう悪かろう」のイメージは払拭され現在では一定の地位を占めており、スーパーやコンビニだけでなく、ドラッグストアやディスカウントストア、ホームセンターや家電量販店も自社プライベートブランドを立ち上げている。一方でそのはしりである無印良品は一つのブランドとして独立し、プライベートブランドではなくなった。
なお、プライベートブランドは基本的にある程度企業の規模が大きくないとコストを負担できないため、大手でなければ展開が難しい。そこでそこまで体力の大きくない中小のスーパーなどは複数の企業でグループを構成して商品企画をする企業を立ち上げ、プライベートブランドに準じたコーポレートブランドを開発して供給を受ける、という戦略を採って大手に対する競争力を確保している(ニチリウグループ、CGCなど)。
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