なるべく原作に沿って事実のみを記載していますが、主観込みであることをお含みおきください。また、原作コミックス既刊までの記載となります。アニメ視聴のみの方は異なる展開、またその後の展開(ネタばれ)も含まれますのでご了承ください。
概要
ジャンプコミックス(ジャンプSQ.連載中)『憂国のモリアーティ』に登場するマイクロフト・ホームズとアルバート・ジェームズ・モリアーティのBLカップリング。上司と部下の上下関係から友人、ブラコン同士など多彩な関係性を築けるシチュエーションの幅が広いカップリング。
ジャンプSQ.RISE 2018 SUMMERの特集に掲載された原作者監修の『頭の良さランキング』によると、主人公であるウィリアムと同等の頭脳を持ち『英国そのもの』といわれるマイクロフトと、イートン校主席で卒業、薔薇の貴公子と呼ばれ気品と華やかさが匂いたつ頭脳明晰なアルバート。この二人が並ぶと知的でアダルトな雰囲気が漂う。
とはいえマイクロフトは弟シャーロックとの全力戦闘をしたり、アルバートは弟たちに微妙な、いや芸術的な?デザインのセーターを手作りしたりと双方ともにお茶目な要素を持ち合わせているため、ギャグでもシリアスでももってこいである。一粒で何度美味しいのか。
マイクロフトは14巻までが31歳、アルバート27歳。17巻現在では34歳と30歳である。
身長は双方ともに188㎝(マイクロフトはジャンフェスでの原作者の発言、アルバートは17巻プロフィールより)。シャーロックとウィリアムが意図的に同身長であるようにした、という設定を原作者が発言されていることから、この二人の身長が同じであることも意味があると信じている。(近親の身長差が年齢差と対応しているのに、マイクロフトだけは年齢差ではなくアルバートと同じになっている)
出会いから現在まで
コミックス2巻
初邂逅。陸軍情報部が女王直属の特務機関を作ろうとしていることを聞きつけたアルバートが、その長官であるマイクロフトの元に出向き創設に伴う困難を自分が解決してみせる、と宣言。
ウィリアムの教え子にアヘンを売りつけていた麻薬組織の壊滅させることでマイクロフトの目論見の阻害となっていた海軍の駒を潰し、かつその資金と流通ルートを手に入れる。これによりマイクロフトは特務機関「MI6」を創設、見返りとしてアルバートにその指揮権を与えた。
コミックス4巻
インド戦線でのミッションを伝えにマイクロフトがMI6の表向きの顔であるユニバーサル貿易社に来訪。この時点ではまだ腹の探り合い状態、ただしかなり重要な案件をM(アルバートのコードネーム)に一任しているので、任務上での信頼はそれなりに築いている模様。
なおこの時、まだ明かされていないマイクロフトの苗字(マイクロフトは「長官」とのみ呼ばれていたため氏名は全く明かされていなかった)をアルバートが呼ぶことで、シャーロックとの関係をほのめかしている。そんな重要なことを、お兄ちゃんたら…!
コミックス5巻
宮殿宝物庫からある『国そのものに関わる重要機密文書』が盗まれる。犯人は女優で高級娼婦のアイリーン・アドラー。マイクロフトはアイリーンの抹殺および機密文書の奪還をアルバートに命じる。ただし機密の内容は明かされない。アルバートはこの難題をウィリアムに話す。
「また長官に難題を吹っ掛けられてね」と愚痴っているはずなのにウィリアムに「楽しそうですね」と評されるアルバート。そうですか、楽しいですか。
その後色々あって(原作を読んでください)アイリーンを味方に引き込み、アルバートは文書を手に入れる。
アルバートがアイリーンを抹殺しなかったことに「失望した」と告げるマイクロフト。アルバートはそこでマイクロフトに自分たちの正体が『犯罪卿』であることを白状し、自分たちの野望がこの国の改革、貴族社会の解体であることを明かす。そして、マイクロフトに自分たちが私欲に走った際には『歯止め』となってほしいことを伝えた。
憂国の志をもつマイクロフトはこれを承認し、MI6の使用を認める。
ここで初めてアルバートたち犯罪卿は仲間と依頼人以外の人物に自分たちの素性と目的を明かしている。マイクロフトは直接計画に関わるわけではないけれど、実行力を与え、かつ見て見ぬふりをする約束をしているので、ほぼ共犯である。
政府側との内通、秘密の共有。なんて背徳的で美味しい単語が並ぶのだろう。
歯止めとして見張る役目を担ったのでマイクロフトはなお一層アルバートから目を離せなくなるわけですね。なるほど。
コミックス8巻
『ジャック・ザ・リッパー事件』の報告書を読んでユニバーサル貿易社を訪ねるマイクロフト。ただし今回は長官としてではなく「友人として」とのこと。
…えっ?いつの間に友人に???
「楽にしてくれアルバート」
……えっ、いつの間に名前呼びする間柄に???
友人として来ているから「M」とは呼ばないのだろうけども、それにしてもいきなり名前で呼ぶ親密さに面食らう。
その後も「兄弟共々上手くやるんだな」「そちらもくれぐれも兄弟仲良く」とお互いに裏がありそうな応酬を交わしつつ、わりと楽しそうである(主観)。
コミックス12巻
ウィリアムが『犯罪卿』であることが新聞に公表され、矢面に立つモリアーティ家。アルバートは女王に呼び出され、宮殿を訪れる。その際待っていたのがマイクロフトだった。謁見前にモリアーティ計画のことを陛下に話したかを尋ねるアルバートに、マイクロフトは否定する。
中立を宣言してはいるものの、犯罪行為を黙認している時点で味方寄りとも思えるのですけどもね。
この時マイクロフトは「アルバート」と、アルバートは「ホームズ卿」と互いを呼んでいるのが心の距離感を表しているようにも見える。少なくとも女王は当事者かつMI6の指揮官としてアルバートを呼び出しているのでこの場では「長官」と「M」であっても良いはずなのだけれども、そうではないのはやはり「友人関係」が表に出ているからであろうか。
コミックス14巻
最後の事件のその後にて。爵位を返上し女王の恩赦も断りすべての発端である責任をとってロンドン塔幽閉を望むアルバートの決断を「あいつらしい」と評したマイクロフト。
「あいつ」???
「彼」ではなくあいつ、と言えるほど心の距離が近いんですかお兄さん?
そしてあいつ「らしい」と言えるほどアルバートをよくご存知なのですか???
色々と問題発言である。
この時も思ったんですが、距離が縮まる行程をもっと見せてくださいお兄様方。そんないきなり親密な態度をとられてもこちらも心臓の準備ができません。
なおこの時すでに幽閉されたアルバートが窓で鳩と戯れているシーンが描かれているのだが、これがのちの衝撃となる。
コミックス17巻
空き家の事件が解決し、ウィリアムがアルバートと面会したことでアルバートの閉ざされていた心が開かれる。再び三兄弟が一堂に会し、食事会を開催することに。その招待状をアルバートがマイクロフトに届けに行く。
ここで、3年もの間マイクロフトが塔に幽閉されていたアルバートに伝書鳩を使って雪の日も嵐の日も手紙を届けていたことが判明する。
「さすがに少しやつれたな」とアルバートの見た目を気遣うマイクロフト。
「明けない夜を過ごす私に生きる糧を届けてくれた」
「暗闇の中にいる私に君(チャーリー/伝書鳩)が一筋の光を与えてくれた」
「随分アルと仲が良さそうじゃないかチャーリー」
色々衝撃過ぎて頭が追い付かなかった神回。
まず。
3年も欠かさず手紙を書かれてたんですか?マイクロフトお兄様。嵐の日に鳩飛ばすなんて、火急でもない要件に?それほど重要だったと?国そのもので夜遅くまで残業している忙しいマイクロフトが、アルバート宛の手紙を書くのは欠かさなかった、マイクロフトのアルバートに対する情のかけ方がかなり重い。
つぎにアルバート。
手紙が生きる糧となっていた、と。確かに幽閉中はかなり病んでおられた模様ですが、それを手紙を読むことで正気を保っていたと、そういうことでよいでしょうか。孤独の部屋で、自分のすべてだったウィリアムを失った状態で心の支えになるって、ものすごいことだと思うのですが。「光」だったんですねそうですか。
チャーリーが懐いてしまうほどアルバートも手紙を届けに来るたびに可愛がっていたのでしょうね、どれだけ到着を心待ちにしてたのかと。
これを本人にではなく鳩に語るあたりが素直でないアルバートらしいしそれを見つめるマイクロフトの視線が柔らかい(この時は終始柔らかかった)
そしてマイクロフトの「アル」呼び。
……アル、ですと!!??!?!?
作中でアルバートのことを「アル」と呼んでいる人はおらんのでは!?(ボンドがアル君、とは呼んでいる)なおこの時もう「アルバート」とは普通に呼んでいる。おそらく「M」と呼んだ回数より多い(数えてないが)。
だからいつの間にそんな呼び方をするようになったのか、そこを教えてください長官。
この二人、どうやら塔の中と外とで物理的に逢えない間も手紙で関係を深めている模様。どう考えてもお互いに特別な存在であることを示した65話は神回といえる。
なお、招待状を渡すアルバートはこれまで見たこともないような柔和な微笑みで、あなた身内以外の人にこんな表情を見せるような方でしたか?と目を瞠る。それとももう身内なのでしょうか。それなら納得です。
おまけ・17巻末プロフィール
アルバートの「近況」の項目に「今後についてはマイクロフトが調整中」と記載される。
「マイクロフト」「調整中」の2語から結婚式の日取り!?と界隈で噂された。
おまけ2・2022年バレンタインデー
チョコレート獲得数で、なんとウィリアムと同立でマイクロフトが1位となった。なお前年はアルバートが1位である。原作者がチョコを食す1位のキャラをツイッターで公開してくれるため、2年連続でファンの悲鳴が上がった。
総括
原作漫画をメインに解説をしたが、アニメでは醜聞事件(アイリーンの事件)の際に、マイクロフトの方がアルバートに目をつけ調査して呼び出している。いつどこで目を付けたのか気になるところである。また、最後はアルバートが逮捕される際に立ち会っている。アニメではMI6を立ち上げていないため、アルバートは「M」となっていない。おそらく軍属のままなのではないかと思われるが、異動したとも言われてないので部隊の異なるマイクロフトがなぜその場に立ち会っているのか、依然として謎のままである。
ミュージカル版では醜聞事件の前に、バスカヴィル家の事件のことでアルバートがマイクロフトに事件のもみ消しを依頼しているオリジナルエピソードがある。
また、二人でデュエットをするシーンもある。
双方とも主人公ではないため、二人で登場するシーンはそれほどない。互いの関係について細かな描写は端折られているので、突然距離が縮まっていることもしばしばある。だが確実にこの二人は距離を詰めていて、その結果が17巻に出ている。
今後も登場するたびに「いつの間に!?」という悲鳴が上がりそうで、実に楽しみである。