概要
『サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと』の主人公、モニカ・エヴァレットがセレンディア学園に潜入するために用いている偽名および身分。
身分を偽装しての潜入任務ながら、目的と正体と魔術を扱えること以外は一切隠しておらず、日常的な言動は殆ど素である。
経緯
国王から第二王子フェリクス・アーク・リディルの護衛を秘密裏に命じられていたルイス・ミラーの差配によってセレンディア学園への潜入護衛任務を依頼される。引きこもりかつ護衛素人なことを理由にして固辞するも、既に断れないほど準備が進行していたため泣く泣く引き受ける。
貴族や裕福な家の子供が通うセレンディア学園に潜入するためには貴族子女としての身分が必要だったことから、ルイスは事前(モニカに依頼するより前)にモニカに恩があるケルベック伯爵家へ協力を取り付けており、ケルベック伯爵家の養女として現ケルベック伯爵の姓「イートン」を名乗ることになった。なお、ケルベック伯爵家はあくまで口裏を合わせているに過ぎず、正式にケルベック伯爵家の養子になったわけではない。
任務期間は初秋から始まる新学期で進級して最高学年になるフェリクスが翌年の初夏に卒業するまでの1年弱であり、彼の卒業に合わせて中退する予定となっている。
設定
数年前、リディル王国東部ケルベック伯爵量のとある修道院に身寄りのない哀れな少女モニカがいた。ケルベック前伯爵夫人がモニカに亡き夫の面影を見出したことから養女として引き取られ、夫人に可愛がられて幸せに育つ。
しかし、高齢だった夫人は病に倒れてそのまま死亡する。後見人を失ったモニカは伯爵家の人間に疎まれ、伯爵令嬢イザベル・ノートンの使用人としてこき使われてきた。
そして、イザベルが貴族の子女の通うセレンディア学園への入学(正確には高等部1年への編入)が決定すると、モニカも世話係として一緒に編入させられることになった。
上述した設定で学園に潜入している。なお、この設定にモニカの意見は一切反映されていない。
「伯爵令嬢にいじめられているヒロインが王子の目に留まり、やがて王子との禁断の恋に落ちるラブロマンス」の小説を参考にしており、この設定の一環としてイザベルは悪役令嬢を演じ、モニカを表向きにはいじめている。
このような設定にした意図としては、これくらい厄介な事情なら深入りしてくるような者はいないだろうとする牽制と、モニカが17歳付近になっても社交界等に顔を出していない(1つ下のイザベルは既に顔を出している)辻褄合わせである。加えて、貴族の子供が大半を占める学園では平民出身のモニカはいじめの標的になりやすく(シリルやルイスのように売られた喧嘩を買う度胸も無いため尚更)、それに対してイザベルが率先していじめることで学園全体に「モニカはイザベルの獲物」という認識を植え付けてモニカを直接攻撃してくる者を牽制する意図もあった。
一方、この設定により「多額の寄付金を積んで学生寮に一人部屋を得る」ことができなくなったため、モニカの人見知り気質と極秘任務を考慮したイザベルが学園長と交渉して一人部屋代わりに寮の屋根裏部屋を手に入れ、そこで寝泊まりすることとなった。
活躍
編入早々に自己紹介で黙り込んでしまったためクラスから浮いてしまうが、それを見かねたラナ・コレットから何かと世話を焼かれる。
編入初日に人目のない場所で昼食を取るために旧庭園へ入り込んだところ、不正会計事件とその報復事件の調査の一環として囮捜査をしていたフェリクスらに犯人として誤解されて捕まる。誤解自体はすぐ解けたが、今度は報復事件の調査を一任され、紆余曲折を経て犯人を特定する。事件解決直後、フェリクスの机にあった会計記録が目に留まり、一目で改竄箇所を見抜いた才能を見込まれて見直しを依頼され、数字に飢えていたことから喜んで引き受ける。昼休みから放課後までの数時間で過去全ての会計記録を完璧に精査してみせたが、その事務処理能力を見込んだフェリクスによって生徒会会計へ指名される。最初は固辞したものの、フェリクスの圧に負けたことと任務に最適だったことから泣く泣く引き受ける。
結果的に編入二日で護衛対象の傍にいる理由を手に入れたためイザベルやルイスからも快挙と称賛されたが、生徒会役員に選ばれた平民出身者ということで嫉妬の対象となり、後にフィリクスにダンスの練習を手伝ってもらったことが追い打ちとなって学園内の女生徒の過半数を敵に回すことになる。
余談
「貴族の子女」という身分だけなら七賢人として魔法伯の爵位を持っているルイスが自身の養女にするという選択肢もあったが、前々からルイスはフェリクスに警戒されていたため「ルイスの養女」という時点で護衛ないし監視だとバレるリスクが高かった(そもそも妻帯者である彼が10歳年下の少女を養女にすること自体が不自然でもあった)。実際、「ルイスの弟子」であるグレン・ダドリーは警戒されており、それを分かっていたルイスはグレンを囮とするために一切の事情を伝えないままモニカと同時に編入させている。
また、協力を取り付けたケルベック伯爵家は公爵家や王族でさえ迂闊に手が出せないほどの軍事力を有する大貴族(他家が竜害に遭った際には派兵もしており恩義のある家も多い)であり、モニカの正体を探ろうとした輩に対してケルベック伯爵家の名前が牽制になるという意図もあった。
別名・表記ゆれ
関連タグ
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